キョウちゃんと2人今日は普通の宿を探し、腰を落ち着けた。
「ふぅ~どこからお話しようかぁ~……」
キョウちゃんは初日からの出来事を色々説明すると言っているが、難しい顔をしている。
「お話することが難しいなら無理にしなくてもいいよ?」
知りたい気持ちはもちろんあるがそれでキョウちゃんが強い負担を感じているのなら今はまだ無理に聞こうとは思わない。
「ううん~、いつかはきちんとお話しないといけないことだし~……」
そう言って沈黙が訪れる。
沈黙で待つだけだとアレなので私は備え付けのお茶をいれはじめる。
ポッドにお水を入れお湯を沸かし始めた。
「ノゾミちゃん、まずは私の事から少しだけ話すね?」
お湯が沸き、お茶を入れる準備をしているとキョウちゃんが口を開きました。
お茶を入れ、キョウちゃんの前に置き、私もキョウちゃんの前に改めて座る。
「私はこのゲームに雇われた側の人間なの、現実では特にみんなみたいにハンデを背負っている訳でもなく、このゲーム内の出来事を管理する側としてこのゲーム内にいるの」
それはなんとなくだけど、チュートリアルの受付をやっているくらいなんだからそうかなとはおもっていた。
「そして管理する側の特権としてチュートリアルを受けた人の中から1人を選んで、一緒に冒険をできることができるの、そうすることでより一層ゲーム内の出来事を管理観測できるからね……? もちろん一緒に行くことを拒まれたら次の人を探すんだけどね~?」
なるほど?それで選ばれたのが私?
「ノゾミちゃんはこの世界との相性がいいことはチュートリアルでわかってたし、あまりこの世界のこともわかってなさそうだったし? 私の特権能力"人物コピー"で着いていくと面白くなるかなーって思ったの」
なるほどなるほど?
「人物コピーってなに?」
「簡単に言うとコピーした人と同じ力を持てる……かな、ノゾミちゃんだとこの世界との相性がいいってところが私にも適応される、そして相性がいいからあの"魔法少女"の状態にもなれる」
「なんで相性がいいとなれるの?」
「んっとね、この世界は魔法、魔術はないって言ったけど、ぶっちゃけある」
ん?どういうことだ?
「何度も言ってるけどこの世界では想いが強ければ強いほど、その想いは具現化される、でも簡単にそんなこと言っちゃうと世界は魔法とか魔術のオカルトパワーの世界になっちゃうでしょ? だから相性がよく、想いが強い子だけが使えるの、わからないままにね」
な、なるほど?
「だからこそ私たち管理者はそういう子と一緒に冒険に出て、様子を見たりもするの」
まぁ拒否されちゃったらどうしようもないんだけどね~と独り言も聞こえた。
「ゆくゆくはそういう能力、力があるって告知もされるけどまだまだ当分先かな~、今はこの力がどういう影響があるかのデータ取りの最中だから」
何となく理解はできた。
「じゃあ私がその力……相性が良くなかったらキョウちゃんは一緒に冒険してくれてなかった……?」
脳裏によぎった言葉がそのまま口から出てしまった。
キョウちゃんはキョトンとした顔つきで笑いだした。
「あははは~? 別にそんなの関係ないよぉ~? ノゾミちゃんはノゾミちゃんだもん、ノゾミちゃんとなら楽しい冒険ができるだろうなぁ~って思ったから一緒に行くことにしたんだよ、まぁ、その場合はこんな無茶なことはしてないけどね~?」
これはひどい……でも嬉しい言葉でもある。
「ありがとう、キョウちゃん」
「どういたしまして~? 難しいお話したらお腹空いちゃった、ご飯食べに行こう~」
そして私たちは再開する。
あの忘れていた人と。