目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
竜さん買い取ります

 竜が倒れ、一瞬遅れること、闘技場の中は歓声に包まれた。


「うぉーーーー!! 嬢ちゃんたちスゴすぎだぜぇー!」

「くっそぉ!! すげぇけど掛金返せー!!」

「今までで1番凄かったぞー!!」


 NPC……このゲームの中の人達が口々に叫んでいる。

 私はそれを呆然と突っ立って聞いていた、正確には動くことができないほど疲弊していた。


「あ、そうだ……ノゾミちゃん……?」


 そう呟いた瞬間、私は倒れ込み、竜の目の前に無防備にも横たわってしまったのだ。


「Grrrrr……」


 竜は動くことはできずとももう意識を取り戻し、その目は確実に私を捕らえている。


「竜さん、ごめんね? 仕方ないとはいえいっぱい痛い思いさせちゃったね?」


 私がそう声をかけると竜は唸ることをやめ、私の目をジッと見つめてきた。


「どうなるかわかんないけどさ? 絶対私があなたをここからだして、外の世界へ連れて行ってあげるから……ね? あ、それとも私たちと一緒に冒険する?」


 横たわりながら竜さんにそう話しかける。


「Grrrrr??」


 私の言葉が通じたのか通じてないのかわからないけど、竜さんはそっと目を閉じた。


「さてと、ノゾミちゃんどうするのぉ~?」


 倒れていたはずのキョウちゃんが頭の上で仁王立ちで立っている、姿はシスター風の衣装にもどっている。


「……キョウちゃんってみかけによらず、すごいの履いているんだね」


 そう言って私は顔を逸らす。


「……ノゾミちゃんのバカぁ~~~!!」


 自分が悪いんじゃん!?タイツ履いててもそれだけ近かったら透けるに決まってるでしょ!?だからスパッツにしようて言ったじゃん!?


 ――――――


 ブスっとした顔のキョウちゃんと闘技場の受付へ戻ってきた。


「あ、あなたたちすごかったねー!」


 受付のお姉さんが出迎えてくれる。


「はい、これ報酬の賞金ね」


 金貨の山が受付台に積まれ、それを遠目で見ている人達がザワつく。


「おいおいおい、なんだあれ?」

「ほんとに始まって2日目の額か、あれ?」

「あいつたちはヤバい、初日からヤバい」


 結局目立っちゃったじゃん!?と私はキョウちゃんを睨むように見るが、キョウちゃんもまだ私のことを怒っているのかムッスーと擬音がでるくらいの顔で私を見ている。

 わかった、そっちがその気なら私も私で話進めるからね!!


「お姉さん? お話があるの、出来れば偉い人……呼んでくれる?」

「え? えっと? そ、その内容は?」

「さっき私たちが戦った竜さん……ください」


 私はにっこりとそう告げることが出来た。


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?