竜が倒れ、一瞬遅れること、闘技場の中は歓声に包まれた。
「うぉーーーー!! 嬢ちゃんたちスゴすぎだぜぇー!」
「くっそぉ!! すげぇけど掛金返せー!!」
「今までで1番凄かったぞー!!」
NPC……このゲームの中の人達が口々に叫んでいる。
私はそれを呆然と突っ立って聞いていた、正確には動くことができないほど疲弊していた。
「あ、そうだ……ノゾミちゃん……?」
そう呟いた瞬間、私は倒れ込み、竜の目の前に無防備にも横たわってしまったのだ。
「Grrrrr……」
竜は動くことはできずとももう意識を取り戻し、その目は確実に私を捕らえている。
「竜さん、ごめんね? 仕方ないとはいえいっぱい痛い思いさせちゃったね?」
私がそう声をかけると竜は唸ることをやめ、私の目をジッと見つめてきた。
「どうなるかわかんないけどさ? 絶対私があなたをここからだして、外の世界へ連れて行ってあげるから……ね? あ、それとも私たちと一緒に冒険する?」
横たわりながら竜さんにそう話しかける。
「Grrrrr??」
私の言葉が通じたのか通じてないのかわからないけど、竜さんはそっと目を閉じた。
「さてと、ノゾミちゃんどうするのぉ~?」
倒れていたはずのキョウちゃんが頭の上で仁王立ちで立っている、姿はシスター風の衣装にもどっている。
「……キョウちゃんってみかけによらず、すごいの履いているんだね」
そう言って私は顔を逸らす。
「……ノゾミちゃんのバカぁ~~~!!」
自分が悪いんじゃん!?タイツ履いててもそれだけ近かったら透けるに決まってるでしょ!?だからスパッツにしようて言ったじゃん!?
――――――
ブスっとした顔のキョウちゃんと闘技場の受付へ戻ってきた。
「あ、あなたたちすごかったねー!」
受付のお姉さんが出迎えてくれる。
「はい、これ報酬の賞金ね」
金貨の山が受付台に積まれ、それを遠目で見ている人達がザワつく。
「おいおいおい、なんだあれ?」
「ほんとに始まって2日目の額か、あれ?」
「あいつたちはヤバい、初日からヤバい」
結局目立っちゃったじゃん!?と私はキョウちゃんを睨むように見るが、キョウちゃんもまだ私のことを怒っているのかムッスーと擬音がでるくらいの顔で私を見ている。
わかった、そっちがその気なら私も私で話進めるからね!!
「お姉さん? お話があるの、出来れば偉い人……呼んでくれる?」
「え? えっと? そ、その内容は?」
「さっき私たちが戦った竜さん……ください」
私はにっこりとそう告げることが出来た。