「さてノゾミちゃん~? これからどうしたい?」
どうする?ではなくどうしたい?似ているようで、似ていない問いかけ。
このゲーム内ではなんでもできる。
「……なにしよっか?」
当面の移住食には困らなくなった、それこそなんでも出来るがウリのこのゲーム、何をするにしても悩む。
「うーん、装備を整えたから冒険もしたい、でもある程度の知識……一般常識も身につけたい、でもそれをしようとしたらお金が必要」
うんうん、と隣で相槌をうつキョウちゃん。
「冒険に出るにしても最低限のマナーとかもある……よね?」
「あるにはあるけど、まぁまだみんな初心者だからねぇ~、手探りでやっていくのが現状じゃないかな?」
「冒険者アカデミーの受付にクエストボードってあったよね?」
「あるねぇ~」
ふむと顎に手をやり考える私。
やはり手持ちはあるものの何もしなければすぐには……無くならないけどいつかは途切れてしまう。
「クエストを受けて当面のお金を稼ごう、このゲームって冒険ランクみたいなのあるんだっけ?」
「あるにはあるけど、推奨されないだけでなんでも受けれるよ~」
なんともまぁ……裏を返せばそれだけ一攫千金も狙えるがその実力に見合っていないとそれ相応の手痛い損失が出るってことか。
「勉強か、冒険か……はたまたそれ以外のことか」
それ以外となるとスポーツ?でも昨日の100mだけでだいぶ目立ってしまったのに他の競技でも同じように記録を作ってしまうとさすがに悪名が轟くことになりそうだし……うーん。
「悩んじゃうよね~、なんでも出来るって言われちゃうと逆に何をしよう~? ってなっちゃう、わかるよ~」
目の前で腕を組みうんうんとうなづいているキョウちゃん。
「そんなノゾミちゃんに実戦練習も兼ねて提案があるんだけどどうかな~?」
「実戦……練習?」
なんの実戦だろう?
「私たちってほら、ただの学生だったでしょ~? それなのにいきなりなんの練習もなしに冒険に繰り出したら怖いし、危ないでしょ?」
確かに、昨日いきなり襲われた時は正直ダメだと思った。
「そこで~! 闘技場! 闘技場で実戦練習もしつつお金も稼ぐ~! どうかな~?」
なるほど、闘技場?闘技場……?
「待って、待って、闘技場ってことは同じプレイヤー同士が戦うってこと?」
「ん~、そういう大会もあるけど、近隣で捕まえた……っていう設定の魔物とか、遠くで悪さしてて捕まえた……っていう設定の魔物とかとか、色々といっぱいいるみたいだよ~? 私たちはその魔物に勝てるとお金が貰える、負けそうになったらその魔物は即、昏睡させられる……っていう仕様になってるよ~?」
なるほど?確かにいい練習になりそう……かな?
勝てばお金も稼げるし。
「いいね、闘技場……行こう!」