と、言うわけで、私とキョウちゃんは街にある総合ショップにへやってきた。
普通に脱・初心者装備なら総合ショップの周りにある個人経営店を周り、安く、使いやすいを見て周りまた冒険に出て稼ぎ、装備を一新しを繰り返す、らしい。
でも、私たちは違う、初回からの討伐報酬、そして100m走での賞金&昨日のあれからの定期収益も手元にある。
「さぁ、ノゾミちゃん! どんな装備買っちゃう~? 見た目重視? それとも性能重視? それとも両方欲張っちゃう?」
両方だとお金が少し足りないかな~?武器を諦めたら防具だけはいけそうだけど、初期のナイフだけだと心もとないからな~とキョウちゃんはぶつぶつ言っている。
「ねぇ、キョウちゃん、私たちってどうせ戦う時ってあの
「いいね、いいね~!! そうしちゃおう~!! ちなみにノゾミちゃんはどういう武器にする~?」
「んっとね……大体は想像してるだけど、売ってるかどうか……なんだよねぇ、多分扱いとしては鈍器? になるかなぁ?」
そう伝えるとキョウちゃんは総合ショップのマップを開き、鈍器が売っていそうなお店を探してくれる。
「ノゾミちゃんが鈍器かぁ~、想像つかないなぁ~? 釘バットとか棍棒とか~?」
「ん~、そんないかにも鈍器! っていうものじゃないよー?」
広い総合ショップを2人で歩く、それだけを見れば休日にウィンドウショッピングをしている学生にも見えるだろう。
しかし、ここは仮想空間、生きるためには強くならなければならない。
特にこの'ネームレス・オンライン'においては装備によって生死が左右される。
この世界で死んでも現実では死なない、だけど死ぬほど痛い思いはする。
きっとそれはとてつもない痛みだろう、そしてこの世界にステータスは存在しない、故に装備が大切になってくる。
「それにしても私たちのあの変身? みたいなのってなんなのかなー? 魔法とかそういうのもない世界だったよね?」
私は疑問に思っていたことを口に出す。
「ん~? 知っているけどちょっとこういう場所で言うのはねぇ~? 誰が聞き耳をたてているかわからないから~」
「えー? じゃあ今日の宿で教えてね!」
「わかったよ~」
そうこう会話をしているうちに目的の鈍器専門店にたどり着く。
「じゃあちょっと聞いてくるね……!!」
私は緊張しつつも店主さんに声をかける。
「あ、あの!! 十字架の鈍器ってありますか!!」
そう声をかけるとNPCであるはずの店主さんだが、目を丸くし、まじまじと見てくる。
「あるには、ある、だが高価だぞ? 金はあるのか?」
値段を提示され、私はキョウちゃんに確認をする。
「うんうん~、性能も申し分ないし、見た目もよし、それにしても十字架か~、ちょっと予想外かも~」
そう言って購入を許してくれる。
「えへへ、昔お母さんが読んでくれた本でね、主人公の女の子が十字架の鈍器を使っているお話があったのを思い出したからさ?」
購入する旨を店主さんに伝え、お金をポーチから店主さんに渡す。
「お、おう? 始まって2日目だってのに随分嬢ちゃん稼いでいるな?」
店主さんはそう言って、十字架を手渡してくれた、ズシッとした重みがあり、これからはこの子が私の
「そっか、そっか~……じゃあ私も同じやつお願いします~!!」
キョウちゃんがそういうと再び店主さんはまじまじと私たちを見てくるのであった。