冒険者アカデミー本部ユグドラシル、街の中心の大樹の横にある大きな建物……そこの屋根から吊り下げられた看板にそう大きく書かれていた。
私達はここに倒したモンスターの素材引き取りをしてもらいに来た。
「い……キョウちゃん、建物が大きくて人がいっぱいだよ!?」
私は"初めて"この目でこんな光景を見た。
ただそれだけで目から涙があふれそうになり、この世界へと送ってくれた家族に感謝する。
元の……現実の世界では絶対に見れなかった光景、唯一の名残はこの光景を家族と見れなかったことだ。
「あはは~、こんなことでいちいち感動してたらこの先やっていけないよ、ノゾミちゃん~」
そう言って、キョウちゃんは建物の入り口に手をかける。