——気がつくと、カイは見知らぬ場所に立っていた。周りには異様な光景が広がっている。
まるで神話か中世の時代のようだ。壁には不自然な光が漂い、地面は石畳が広がっている。目の前には巨大な扉がそびえ立っていた。
「ここ、どこだよ……まさか、ダンジョン?」
カイが戸惑いながら呟いたその時、頭の中に突然声が響いた。
『選ばれし者よ、ここは神の修練場である』
「えっ、だ、誰だ!?」
周りを見回すが、誰もいない。ただ、声だけがどこからか聞こえてくる。
『君には神になるための試練を与える。この試練に耐え、力を得よ』
「神?試練?……な、何言ってんだ!?」
カイは理解できず、ただ叫んだ。しかし、声は容赦なく続ける。
『さあ、始めるぞ』
すると巨大な扉が音を立てて開いた。ダンジョンだと思っていたカイの目の前には広大なフィールドが広がっている。
空には見たこともない生物が飛び交い、地面には奇妙な植物が点在している。カイは恐怖で動けなくなっていた。
「こんなこと、信じられない……!こんな場所でボクなんかが生き残れるわけないよ!」
——こうして、ただの高校生、しかもいじめられっ子のボクが『神の資格』を得るための修行が、途方も無い試練が始まろうとしていた。
思い出せばあの時、あの部室に入らなければ、こんな事にはならなかったのに。
あれは、今から数分前の出来事だった。