ーー天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって、地を照らせ。
その声が響いた瞬間、少女は目を覚ました。
(…次はなにが起きるんだ…。しるし…?)
目を開けると、声に導かれるように、雲の上からこれまで満遍なく降り注いでいた柔らかな光が、突然激しくなり、まばゆい光量を放ち始めた。
(くそ、眩しくてよく見えない。)
手で光を遮りつつ目を細めるが、あまりの光量で詳細がわからない。
そしてその光は徐々に中空の一点に集まり、やがて二つの輝く球体と、それらの周りを取り囲むようにして小さな光の束へと変化していった。
その二つの輝く球体の、一つの光が次第に大きくなり、やがて少女がかつて何度も見上げたーー勤勉にも毎朝昇り、見たくもない景色を照らしていた太陽の姿となった。
もう一つはそのままの大きさを保ちながら、少女がその姿をぼんやりと見つめていた、夜空にぽっかりと浮かぶ、あの月へと形を変えた。
小さな光は、その中でも大小と光の強さを変えて無数の星々となった。
太陽はさらに高く昇り、雲を追い越し、更に天へと空を駆け上がる。
そして月と無数の星々は反対側へと勢いよく飛び去り、やがて見えなくなっていった。
(太陽と…月だ。)
その光景を、少女はまだぼんやりとした視界の中で見つめていた。
第四の日である。
その日から、世界には日が昇り、沈み、月と星々が夜空を彩る光景が定着した。
昼と夜が巡り、季節が移ろい、時が流れ始めた。
世界は、あまりにも――
あまりにも光彩に満ちていた。