雲が流れ、水が波打ち、時の流れに合わせて変わりゆく世界。朝と昼と夜が巡り、再び新しい朝が訪れた。
今度は、光に照らされ、少女は確かに目覚めた。
夢の中で何かに語りかけられていた気がする…
(あれは確か……だめだ。くそっ。思い出せない。何かすごく大事なことだった。)
しかし、その内容は霧のように曖昧で、記憶の片隅に消え去っていた。
そうしてまだ頭がぼんやり靄に覆われている中、それを晴らすかのように、再びあの声が響いた。
「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」
その言葉に従うように、世界はまた変化した。
目の前には、乾いた大地が広がり始めた。それは少女の知る地面とは違った。石畳もなく、道もない。
ただ土と石塊が散らばる荒々しい大地であったが、それでも彼女にとっては、どこか見覚えのあるものだった。
(地面じゃないか…。声に合わせて世界がどんどん形作られていくのか…?)
そして、水は一つに集まり、それは彼女の見たこともないほど途方もなく大きな水溜まり――
いや、盗人の濡れ衣を着せられて、逃げ込んだ森の先で見たあの大きな湖のように広がっていた。
世界は、絶えず変化に満ちていた。
しかし、その変化はこれで終わりではなかった。
少女は、目の前で次々と変化していく世界のその姿に息を呑んだ。
その移ろいは、あまりに早く、現実離れしていた。だが同時に、どこか彼女の知る世界に近い何かが感じられた。
(本当になんだってんだここは…。)
それは驚愕と気味悪さ、そしてわずかに胸の奥に響く高鳴りが入り混じった感覚だった。
その時、再びあの声が響き渡った。どこまでも届くような、深く静かな声。
「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」
その言葉に応じるように、荒れた大地から緑の芽が次々と顔を出し始めた。
それは、少女の知らぬような植物たちだったが、どこか生命の力強さを感じさせる青々とした草木であった。
それから、様々な形の種を抱えた草や、色とりどりの実をつける木々が、次々と芽吹き、勢いよく成長していく。
わずかな瞬間のうちに、その光景は草原となり、森が広がり、自然の息吹がこの地を覆い尽くした。
こうして第三の日が訪れた。
世界はあまりにもーーー
あまりにも色彩に満ちていた。