少女はゆっくりと瞼を開いた。
確かに瞼を開いたはずなのに、その瞳にはなにも映らない。
(暗い…なにもない。)
まるで世界が闇に飲み込まれたように、何も見えない。
不思議に思いながら、少しの不安と焦りをもって何度も瞬きを繰り返すうちに彼女はようやく理解した。
自分は深い暗闇の中にいるのだと。
(死んだのか?あれでもう全部終わったのか…?………くそっ!なんだったんだ私は!!)
苦痛も何も感じない。
本当に終わったのだろうか。
結局何も出来なかったことが悔しい。
感情の行き場も失い、自分自身がどうなったのかすら分からない。やるせない。
(これからどうすればいいのだろう…。)
不確かな思考と確かにそこにある暗闇。
どれほどそうしていただろうか。
一瞬の出来事だったのか、それとも永劫とも思える長い時間が経っていたのか彼女にはわからなかった。
ただ、確かなことが一つ。
遠くから声が響いたのだ。
低く、そして力強い声で。
「 光あれ 」
その言葉は、闇を切り裂くように響き渡った。