この日は、クラスメイトたちから1日中注目される日になってしまった。

授業中も何故か毎回先生に指名されるので、気が休まることが無かったのだ。

――放課後

エイダと一緒に教室を出ると、溜め息をついた。

「はぁ……今日は何だか疲れた1日だったわ」

「そうね、全ての授業で指名されていたものね。やっぱり試験で1位を取ったからね。ユニスの実力を見たかったんじゃないの？」

「もう、明日は勘弁して欲しいわ」

その時、前方から担任の先生がこちらに向かって歩いてきた。

「あ、良かった。ユニスさん、まだ帰っていなかったんだね」

「はい、そうですけど」

立ち止まって返事をする。

「今日は何か用事でもあるかな？」

「いいえ、別にありませんけど」

すると先生が安堵の表情を浮かべる。

「あぁ、良かった。実は大事な話があってね。今から談話室に来てもらえないかい？」

「大事な話ですか？　分かりました」

「それじゃ、先生と一緒に談話室に行こう」

次に先生はエイダに声をかけた。

「エイダさん、気をつけて帰りなさい」

「はい、先生。またね、ユニス」

「うん、またね」

エイダが去っていくと、先生は笑顔で私を見た。

「それじゃ、行こうか？」

＊＊＊＊

　談話室に到着すると、早速先生は扉を開けた。

「ユニスさん、中へ入りなさい」

「はい」

言われるままに中へ入ると、すでに先客がいた。1人はSSクラスの1組を担当する先生で、もう1人は青みがかった髪に青い瞳の少年。そして後1人は……。

「あ！」

思わず、驚きの声が出てしまった。その少年は私に勉強を教えてあげようかと声をかけてきた少年だったからだ。

「僕のこと、覚えていたようだね」

少年はニコニコ笑いながら話しかけてきた。

「え？　アンディ。知り合いだったのか？」

青い髪の少年が首を傾げた。

「うん。以前に一度会ったことがあるんだよ。ね？」

アンディは私をじっと見つめてくる。

……そうだ、完全に思い出した。

ライトゴールドの髪の少年は、アンディ。『ニルヴァーナ』のゲームの中で、メインヒーローとして登場している。彼は空間魔法が得意で、数少ない転移魔法を使える人物でもある。

そしてもう1人はザカリー。彼は水魔法が得意で、自在に水を操ることが出来る。

2人とも高魔力保持者で、いずれヒロインと出会い……甘い恋愛を繰り広げていくことになるのだ。

「そうか、アンディ君は彼女と知り合いだったのか。それではユニスさん、ここに座りなさい」

「はい」

言われるまま座ると、担任の先生は私の向かい側に着席した。

「ユニスさん、何故いきなり呼び出されたか不思議に思っているだろう？」

SSクラスの先生が話しかけてきた。

「はい、あの……私、誓って試験で不正はしていませんから」

もし試験結果で呼び出されているなら、もう一度否定しておかなければ。

「勿論、そんなことは分かっているよ。今日1日、授業の様子を見させてもらったけど、全て完璧に答えられていたしね」

「え……？　それじゃ……」

今日、先生から何度も指名されていたのは、私の実力を見るためだったのか。

「そこで提案なのだが、ユニスさん。SS１のクラスに編入する気はないかい？　君のように優秀な生徒を一般クラスで埋もれさせたくは無いんだ。君も知っているだろうけど、SSクラスではより高度な授業を受けるうことが出来るよ。この2人も是非、君を同じクラスに招きたいと言ってるんだよ」

するとアンディが声をかけてきた。

「ユニス・ウェルナー。僕たちのクラスへおいでよ。一緒に勉強しよう？」

それは思いがけない提案だった――