休み時間に入ると、一斉にクラスメイト達がリオンの元に集まってきた。
全員が転校生のリオンに興味津々の様子で話しかけてくる。
「この学園に来るまでは何処の学校だったんだ?」
「何処に住んでいるの?」
「魔法の属性は何だい?」
「え? あ、あの……」
リオンは自分が注目されていることに驚いているのか、助けを求めるように私に視線を向けた。
うん、だけど……。
席を立つと、リオンが驚いた顔で私を見上げる。
そこで私は集まってきていたクラスメイトに声をかけた。
「皆、リオンと仲良くしてあげてね」
「もちろんよ」
「当然さ」
「今日から友達だもんな」
私の言葉に皆が頷き、私は「またね、リオン」と声をかけるとエイダの元へ向かった。
「え? ユニス!?」
背後でリオンが私の名を呼ぶ声が聞こえたけれども……ごめんね、リオン。
貴方はゲーム中で、友達が全くいなかった。
だから……今、ここで友達付き合いというものを学んで頂戴!!
「ユニス、あの子が婚約者だったのね?」
エイダはすぐに尋ねてきた。
「うん、そうなの。学校にお願いして私と同じクラスにしてもらうようにしたんですって」
リオンはクラスメイトたちに取り囲まれて、姿が見えなくなっている。
「皆、転校生に興味津々ね。側についてあげなくて良かったの?」
「うん、いいのいいの。あの年代の男の子は、今のうちに沢山友達を作っておかなくちゃね」
「ユニス……」
エイダが驚いたように目を見開く。
「な、何?」
何かおかしなことを口にしてしまっただろうか?
「やっぱり、随分変わったわね。何だか……彼のお姉さんみたい」
「お、お姉さん!?」
でも、言われてみれば今のリオンは私にとって年の離れた弟みたいな存在かもしれない。
とてもではないが、婚約者と言われてもピンとくるはずもなかった。
「あ、ごめんね。変なこと言っちゃって」
「ううん、大丈夫よ」
その後、休み時間が終わるまで私はエイダとおしゃべりを続けた――
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午前中の授業が終わり、先生が教室を出ていくとチラリとリオンに視線を移した。
そう言えば、お昼はどうするのだろう? 私から誘ってみようかな?
「リオン、一緒にお昼に……」
そこへ、先程リオンの周りに集まってきたクラスメイトたちがやってきた。
「リオン、一緒に昼に行かないか?」
声をかけてきたのは、クラス委員長のハンスだった。彼の背後には5人の男子生徒たちもいる。
「え? え〜と……」
リオンが私を見つめてきた。
「リオン、ハンス達と一緒にお昼に行って来なさいよ。私も友達と一緒に行ってくるから」
「え? ユニス」
「それじゃあね」
私は手を振ると、リオンを残して席を立ってエイダの元へ向かった。
「エイダ、お昼に行きましょう」
「ええ。……でもいいの? 彼はあなたの婚約者なんでしょう?」
小声でエイダが尋ねてきた。
「そうよ。でもね、今のリオンに一番大切なのは……」
「友達を作ることでしょう?」
「そういうこと、それじゃ食堂へ行きましょ」
「そうね」
私とエイダは連れ立って、食堂へ向かった。
私と一緒にいてはリオンの交友関係が広がらない。これも全てはリオンの為なのだから――