「もたもたしてらんねぇ……!」
「僕も同意見だよ……!」
ウィンダムが両手を振ると同時に四方八方から魔法攻撃が大量に飛んでくる。全てオリハルコン製手甲での武撃で打ち落とす。
武装“絶拳”
襲い掛かる全ての魔法攻撃をいなしてウィンダムを捉え、全力でぶん殴る。
「ぐ………はっ」
血をまき散らして吹っ飛んだがまだ致命傷には至っていない。よろよろと立ち上がり、奴はまたあの不気味で邪悪に満ちた笑みを浮かべる。
「凄い……凄いよカイダコウガ君!僕の想像以上だ……!僕の領域内で食い下がるどころか、僕をこんなに追い詰めてるのだから……ハァ、ゼェ」
「けっこう息切らしてんじゃねーか。もうひと頑張りすればテメーを殺すことができそうだな」
「そうかもね。そしてこれ以上中途半端な大技をちまちま放っても無駄みたいだし、僕もそろそろ尽きてしまう。
だから、次で全てを出し尽くして、キミを葬ることにするよ――――」
そう宣言した直後のウィンダムの全身からこれまでどは比較にならない規模の魔力が発生する。禍々しくどす黒い闇色の濃い魔力がウィンダムの両手に集まり凝縮されていく。
(あれは………くらってはいけない。マジで消されるかも)
離れた位置からでも伝わる超高密度で超強力な魔力。言った通り、奴は次のあの一撃で決めるつもりだ……!
くらってはいけない。かといって俺があの魔力による攻撃を避ければ、この国が一瞬で更地と化すだろう。アレンたちも高園たちも、ついでに獣人どもも消えて無くなるだろう。
「国や獣どもはどうでもいいけど、仲間たちを消させるわけにはいかねー」
腹を決めた俺も、リミッターを限界ギリギリまで解除する。
6500%――――解除
数分後にはこの体は完全に崩壊して、ドラグニアの時みたいに動けなくなってしまうだろう。だが俺も、この一撃に全てを懸ける!
打ち負けるもしくは外せば敗北確定………上等!
「キミも、全てを出し切ってくれるようだね」
「力を全て引き出す。そして全力をぶち込んでやる。これが決まらなきゃ、テメーの勝ちになる」
「そうか!まあ僕も同じだよ。持てる全てをこの一撃に込める。久々のフルパワーだ……!」
「嬉しそうだな!」
「まあね!!」
会話が終わり、俺とウィンダムはそれぞれ最後の一撃を放つ態勢に入る。
(全ての力を……この左脚に!)
「連繋稼働」を発動して力のパスを始める。完全フルパワーで打つべく手や足の指など細部に至るまでパスを回していく。前腕・肘・上腕・肩………つま先・足底・アキレス腱・ふくらはぎ・脛・膝裏・上脚筋………体幹の細部――――
(いつもより時間がかかる。けどその分、今までにない力が巡っているのが分かる。とてつもない一撃が、出るぞ……!!)
そして最後に、左足全体に全ての力がいきつこうとしている。同時に左足にオリハルコン製の鎧で武装硬化させる。
「さぁ、こっちは準備できたぜ――――」
顔を上げてウィンダムの方を見ると、奴の正面に化け物の口腔が発生していた。あれも全部魔力で出来ているみたいだ。そしてその口から闇色の光輝く魔力が渦巻いている。あれをこっちに一直線に撃ち込むつもりか!
「待たせた、ね……!さァ、決着をつけよう…!!」
「ああ――」
そして―――俺とウィンダムは、合図も無しに同じタイミングで、
互いに最後の一撃を放ったのだった―――――
6500%フルパワー “
“
駆け出して右足を軸に左脚をフルスイングで蹴り放つ。対するは視界を覆うほどの巨大な闇を纏ったシンプルな巨大レーザー。
俺の捨て身の蹴りとウィンダムのレーザーが、激突する。
「「―――――――ッッ!!!」」
お互い声にならない叫びを上げながら全力をぶつけ合う。しばらく拮抗が続き、俺の全身から血が噴き出る。体の限界はとうに超えて崩壊が進んでいる。普通なら痛みのあまりに力を緩めてしまっているだろう。
だけど俺は、ゾンビだから!死なない、痛みも何も感じない!!
この一撃を奴にぶつけることだけに集中できる!!
「―――ぉぉオおおおあああああああああああああああ!!!」
次第にレーザーの線が短くなっていく。蹴りで削がれていってるのだ。同時にウィンダム本体にも近づけている。軸足に推進機エンジンを搭載してブーストさせているから自動的に進めているのだ。
「………………っ、くうううううウウウウウウウウ!!」
ウィンダムのくぐもった叫びとともにレーザーの射出力がさらに上がる。が、俺も負けてられない!!
「~~~~~っ、あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”――――」
そして、レーザーを全て蹴り消して、化け物の口腔ごとウィンダムに最後の蹴りを全身全霊で叩き込んだ!!
衝突音、そして肉を穿つ感触。それらを感じたと同時に浮遊感も生じた。
そこから俺の意識は途絶えたのだった――――