王宮最上階 闘技場
アレンたち鬼族5人vsガンツ
スーロンたちが最上階に到達する数分前―――
「――――ッ」
「「―――――ッッ」」
ガーデルとギルスが合流した直後に、アレンたちとガンツとの戦いが始まった。
ガンツが先制攻撃と言わんばかりに「大咆哮」を放つ。それを読んでいたセンとガーデルが彼とほぼ同じタイミングで「大咆哮」と「咆哮」をそれぞれ放った。
爆音波のぶつかり合いを制したのはセン姉妹となり、ガンツは爆音波による全身の拘束状態にかかった。
(“咆哮返し”……成功。今よみんな!)
センはアレンたちに目配せをする。それだけで彼女の意図を察したアレン・ギルス・ルマンドはセン姉妹の前に出て、ガンツに一斉攻撃を放った。
“戟閃”
“獄炎槍”
“魔力光線”
アレンが雷纏った貫手をガンツの脳天に放ち、ギルスの炎熱と暗黒の複合魔法とルマンドの光の「魔力光線」がガンツの胴体を穿った。
「………!!」
3人の殺意がこもった攻撃を全てモロにくらったガンツだが、倒れることはなかった。
「か、たい…!頭蓋が頑丈過ぎる」
貫き手を放ったアレンはその手を押さえて悔しそうに言う。
「獣人族は物理系の攻撃には打たれ強いって有名だ。そんな細腕では俺の頭蓋は割れねェ」
「魔法攻撃をくらっても、随分平気そうだな?」
「クク、モンストールの力を取り込んでから魔防もそれなりに上がったからな。テメーら程度の魔力じゃあ倒れねェよ」
ギルスの言葉にガンツは見下した態度で挑発する。それに反応したルマンドが前に出てガンツに手を向ける。
「なら、これならどう?」
“念衝波動”
ルマンドの十八番技 「神通力」を全開で発動し、念力の強力な波動を飛ばす。
「――ッ!“神通力”か!めんどうな……!」
全身を念力で縛られもの凄い力で締め付けられる激痛を味わうガンツ。口から血を吐いて顔を歪めるが、彼の全身からどす黒い魔力が噴き出し、同時に爆発的な力を発揮してルマンドの「神通力」を真正面から打ち破った。
「………!?」
「ハッ!ちょいと苦労したが、こんなもんよ。俺のパワーはSランクモンストールを簡単に殺せるレベルなんだぜ。
次は、俺の番だ――」
そう言った直後、「神速」で駆けだし、炎と闇の属性を同時に纏った爪を武器に攻撃しにかかる。
(二つの属性魔力を同時に纏わせた!?そんな技術まで会得してるの!?)
内心で驚愕しつつもアレンは「
“
“
互いに火花を散らしながら爪を刃のように振る二人。激しい爪撃の合戦がしばらく続いたが、力が勝っているガンツに押し敗けてしまい、顔を切り裂かれて吹き飛ばされる。
センに受け止められて大ダメージは防げたものの、アレンの顔右半分には痛ましい裂傷が刻まれてしまった。
「目は見える?失明してない!?」
「大丈夫。ちゃんと見えるけど、血が邪魔……」
アレンはそう言いながら簡易包帯を右目の上部分に素早く巻いて止血する。
「スピードはほぼ互角だけど、力はアイツが圧倒的に上みたい。あんなクズでゴミのくせに、真正面から打ち合うと負けてしまうなんて……っ」
アレンは怒りや悔しさを滲ませてガンツを睨む。しかし彼が既にアレンの間近まで迫っていた。
「誰がこれで終わりだと言った!?切り刻まれろ!!」
容赦なくアレンとセンに炎と闇が混じった魔力爪を振り下ろそうとしたところに、ギルスが割って入って黒い爪で対抗する。
“
ガンツを上回る高純度の闇属性の魔力を纏った、悪魔を思わせる様相の魔爪でガンツに対抗する。態勢を立て直したアレンもギルスと並んで再び爪撃を繰り出す。
二人の爪撃にガンツは一旦下がって爪を解除する。
「一人じゃ俺とまともに打ち合えない雑魚どもが!これなら余裕で全員潰せそうだなァ」
「………舐めるなクソ野郎。私たちでお前を殺すんだ!!」
負けてはいけない、絶対に。仲間だった鬼たちを虐げ凌辱し、尊厳を奪って残酷に殺した
アレンのそういった気持ち・意思は4人にも伝わり、言葉が無くとも為すこを理解する。
「行こう」
「命懸けで」
「負けちゃダメ」
「本気の本気を」
「出し切ろう。そして、アイツを必ず殺す、ここで!!」
そして5人は一斉に「限定進化」を発動する。体が一回り大きくなり、内なる力もさらに増加された。
5人の、特にアレンの進化した姿にガンツは頬に汗を垂らす。