ハトノショ『何で主人公の名前を知ってるんですか? 小説投稿サイトで私の作品を見てくれてる人ですか?』
ようやくハトノショからの反応があった。
マッモ『違います。俺がその山田マモル本人なんです。あなたが書く作品と俺の人生がリンクしてるらしいんです。だから作品を書くの止めてください。もう何回も異世界転生してるんです。俺は現実世界で楽しく過ごしたいんです』
間もなく、ハトノショから返事が来た。
ハトノショ『アンチですか?』
ちげえええええええええええええええええええええよ。
本人だっつってんだろが。
マッモ『これが俺の身分を証明するものです!』
俺は掲示板に、なりふり構わず保険証の写真を添付した。
しかしハトノショからの返事はなく、
名無しさん『個人情報きたああああああああwwwwwww』
名無しさん『はい魚拓取りましたwwww』
名無しさん『うわあ、人生終わりましたねwwww』
名無しさん『山田マモルくん、ね。これからネットの伝説になるなwwwww』
名無しさん『みんなで山田マモルを広めようぜwwwww』
名無しさん『明日から山田マモルって名前で書き込むわwwwwww』
ここには腐った人間しかいねえのか?
まあいいや、異世界転生しないためなら何でもするわ。
「……ん?」
ハトノショから返事が来た。
ハトノショ『XXXXXXXXXXX←これ、私の捨てアドです。こちらにメール下さい』
何かを感じてくれたのだろう。俺は早速、ハトノショのアドレスに送信する。
俺『信じてくれましたか? 俺が山田マモルってことを』
ハトノショ『はい』
俺『じゃあ直ちに書くの止めてください! マジで異世界転生しすぎて困ってるんです!』
ハトノショ『何回目ですか?』
俺『異世界転生の回数ですか?』
ハトノショ『そうです』
ええと、光の鎧のログボは……。
俺『十一回です!』
しばらく返事はこなかった。
ハトノショ『何でそれ知ってるんですか? 十回目と十一回目は書きだめているだけで、まだ投稿してないですよ?』
俺『だから俺がその本人だから知ってるんですって! 信じてください!』
ハトノショ『……信じますけど、書くのを止めることは出来ません』
何でだよ。出来るだろそれくらい。
ハトノショ『封印されし腕が勝手に動いて書いてるんです』
中二病か。
俺『じゃあ百歩譲って転生しないようにしてください』
ハトノショ『それが出来たら苦労してません!』
そうだったわ。こいつ書く主人公が頑なに異世界転生してるって悩んでるんだった。
俺『分かりました。俺がアイディアを出してあげます!』
数分間、返事は来なかった。
ハトノショ『メールだと伝わらないこともあるので、一度お会いしてみませんか?』
やっと来た返事がそれだった。
俺『別に良いですけど、遠くに住んでたりしたらキツくないですか?』
ハトノショ『大丈夫です。私も山田マモルさんと同じ東京住みですから。しかも近くに住んでます』
俺『え、何で俺が住んでるところ知ってるんですか?』
ハトノショ『いやさっき掲示板に保険証を載せてましたよね?』
そうだった。バカか俺は。
俺『あ、いや、今のは試したんです』
ハトノショ『山田マモルさん、もしかしてバカですか?』
はいそうですバカですよ。すみませんねバカで(ガチギレ)。
ハトノショ『じゃあ今から○○公園で会いましょう』
近所の公園だった。ホントに住んでたのか、俺の原作者のハトノショがこんな近くに。
「ええと、この公園で待ってりゃ良いのか?」
ホントに来るんだろうか……と思っていたら、
「山田マモルさん……ですか?」
女子が話しかけてきた。振り向くと、セーラー服姿の女子がそこに居た。三つ編みで、黒ぶちメガネをかけている。
「ええと、そうですけど……」
「良かった……。私がハトノショです」
ハトノショが女子という可能性を考えてなかったため、俺は面食らっていた。ちょっと可愛かったこともあった。
「どうも、ヨロシク。山田マモルです」
女子はマジマジと俺の顔を見つめる。
「えーと、ハトノショさん? 俺の顔に何か着いてる?」
「いえ、私が描写した男子そのものだったので驚いて」
容姿もハトノショが書く小説とリンクしているらしい。
「それで、山田マモルさん。異世界転生しないアイディアを出してくれるんですよね?」
「あ、ああ。ちょっとその作品を見せてくれないか?」
「うーん、書きだめてるのは自宅のパソコンにしかデータが無いので、まずは私の家に来てもらえますか?」
ハトノショの家か……。
でもなあ……。
そこに行くまでに転生したら元の子もないし……。
って待てよ……。
原作者のハトノショと一緒に行動するから逆に安全か。
「分かった。案内してくれ」
「はい、私についてきてください」