「って待て待て、現実世界に帰るためにはあのカエルが居なきゃいけねーじゃん」
くそ。なんでこういう時に限って居ねーんだあのクソガエル。
「ほう、現実世界に帰りたいのかい?」
リオル・ダ・マオウフニャフニャは言った。
「あ、はい……。でもカエルが居ないと……」
「いや、出来ないことはないよ」
「ホントですか?」
「うん。そこの泉があるだろう?」
リオル・ダ・マオウフニャフニャは視線で泉を差した。
「そこに『現実世界にカエルケローーーーーーーーーーーーーーーー!』って叫びながら飛び込めば戻れるよ」
なにその罰ゲーム。
「くそー、背に腹は代えられん……」
俺は助走をつけて、泉に走り出した。
「現実世界にカエルケローーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ザッバーン! と泉にダイブ。これで現実に戻れる……。
って思っていたが、泉の底まで沈んでも、現実に戻ることはなかった。
(ゴボボ……あれ……まだか……ゴボボ……)
苦しい……。息が続かん……。
このままじゃ異世界で更に異世界転生してしまうううううううううううう。
命の危険を感じ、俺は急いで泉の底から上に泳ぎだした。
「ガハッ! ゲホッ! あー! アブねえ! 死ぬところだったゲホゲホ!」
泉の傍でゼエぜエ言っている拍子に、ゲーミングチェアに座るリオル・ダ・マオウフニャフニャの姿が見えた。
リオル・ダ・マオウフニャフニャはフッと吹き出してから、
「ああゴメンゴメン。今の嘘。ホントにやるなんて思わなくて」
……てめえ鋼の剣でぶった切るぞ?
「いやホントゴメンってば。そんなに睨まないでくれよ」
「……帰る方法知らないんですか?」
俺はビッシャビシャの状態で、何とか怒りを抑えて聞いた。
「知ってるっていうか、僕レベルなら出来るんだよ」
じゃあ最初からやってくれませんかねええええええええええええええ(激憤怒)。
「……お願いしても良いですか?」
「オーケー。じゃあまたね」
リオル・ダ・マオウフニャフニャは、パチッと指を鳴らした。
すると、パッと舞台は現実世界に戻った。
「よし、目標は決まった」
まずはハトノショを探す。あの掲示板に居るはずだが……。
ハトノショ『書いてる小説の主人公が頑なに異世界転生して困ってます。どなたかアドバイスください』
居たあああああああああああああああああああああ!
色んなジャンルの板で同じ質問してる。
その困ってる主人公がここに居るぞ。
ゼッテー逃がさねえからな。
もうここは最初っから個人情報バリバリ開示して聞くわ。異世界転生しねーためだ。
マッモ『たぶん、俺がその作品の主人公です! 山田マモルです! 異世界転生しすぎて困ってるので直ちに作品を書くのを止めてください!』
俺の返信に反応したのは、ハトノショではなく、
T大生『病院に行きましょう(病院のURL添付)』
うるせえ外野は黙ってろ。
匿名希望の覇王『そのまま異世界で幸せになれば良いと思うよ。異世界転生できるものならな(怒)』
またテメーか。どんだけ異世界転生してーんだ。マジで代わってやりたいんだけど。
ああああ『大変ですよね、お互い頑張りましょう』
おまえもまたテキトーな名前でテキトーな返事をするな。
怒られ侍『せ、せせせせせ拙者も異世界転生して困ってるでござる!』
そしておまえはなにキャラを演じている。
宇宙の波動を受け取りし者『ファンファンファンファンファンファンファンファン』
再びヤベー奴きたああ。
某管理人『なんだろう……。嘘つくの止めてもらっていいですか?』
論破王もおおお?
どんだけ前と一緒の奴が来るの?
どんだけ前と一緒の反応すんの?
この掲示板コイツらしか居ねーのか?