「さて……」
掲示板はダメだ。もう次の作戦に行こう。
作戦その➂逆張り。
転生したくなるほど恥ずかしいことをすれば、逆に生き残れるんじゃねえか説。
俺は早速、上下青のジャージ姿のまま渋谷駅前に繰り出した。
「ねえ、今からちょっと遊ばない?」
俺は渋谷駅前で歩いていた制服姿の可愛い女子に話しかけた。
「何ですか?」女子は怪訝な顔をする。
「いやー。ちょっとキミと遊びたいなって☆」
「気持ち悪い……」
女子はツカツカとその場を去った。一連の流れを見ていた人たちが、俺を指さしてクスクス笑う。
恥ずかしい……恥ずかしいいいいいい……。
今にも転生したくなるほど恥ずかしいぜ……。
いや、まだまだぁ。
「ねえそこのキミ」
「ごめんなさい急いでるので」
女子は去っていった。
「そこの可愛らしいキミ」
「あ、ナンパとか受け付けてないんで」
女子は去っていった。
「キミ可愛いねー。今から遊ばない?」
「彼氏居るんでごめんなさい」
女子は去っていった。
は、恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。
今にも転生したいぜ。
あのクソガエルの所に行きたいぜ。
でもこれで逆に転生しないんじゃね?
つーか俺ってモテない?
こんなとこで衝撃の事実発覚?
モブだから?
って誰がモブだバカヤロウッ☆
「ちょっといいかな?」
不意に、警察官に話しかけられた。
「あ、あのー、何でしょう?」
「さっきからナンパしまくってる怪しい人が居るって通報があってね」
「あ、それボクのことですうう」
「何が『ボクのことですうう』だね! いい加減にしなさい!」
いやホントすみません。
「身分を証明できるものは?」
「あ、保険証なら」
俺は警察官に保険証を渡した。
「あのねえ。この春から高校生だろ? 彼女が欲しいのは分かるけど、節操ってもんをだね」
「あ、はい……」
「なにかトラブルにでも巻き込まれたらどうするつもりだね?」
おっしゃる通りです。
「まあ今回は――ってキミいいいいいいいいいいいいいい!」
突然、警察官は俺に向かって叫んだ。
「な、何ですか?」
「それそれそれ!」警察官は俺の胸を指さす。「爆発しそうだって! 爆発しそうだって!」
「……へ?」
自分の胸を確認してみると……。いつの間にか心臓部に爆弾が仕掛けられていた。
ピッピッピッとタイマーがカウントダウンしていく。
「みんな逃げろおおおおおおおおおおおおお! 爆発するぞあの少年が!」
警察官が叫んだ。ワーッと一斉に俺の周りから人が居なくなる。そして、
『チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!』
爆弾が爆発した。
パッと、舞台があの泉に切り替わる。
(え、えええええええええええええええええええええ?)
ただ恥ずかしい思いをした上に説教受けて終わったんだけどおお。
しかも最後は皆俺から遠ざかっていくっていう寂しい終わり方ってなに?
あんな酷な罰ゲーム受けるために現実世界に戻ったんじゃないんだけど。
「やあ、見ない顔だね」
と、何者かが話しかけてきた。
振り返ってみると、そこには、ゲーミングチェアに座った金髪の美青年が居た。