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だから……何でまた異世界転生するんだよおおおおおおおおお!
いずみ
異世界ファンタジー冒険・バトル
2024年10月23日
公開日
24,259文字
完結
山田マモルは悩んでいた。

ここ最近、異世界転生しては現実世界に戻るという日々を繰り返していることに。

そのループを打ち破ろうとするが、それを嘲笑うかのようにバカみたいなトラブルが次々と襲いかかり、マモルは異世界に飛んでしまうのだった。

通算11回目の転生を果たした時、異世界の救世主と言われているリオル・ダ・マオウフニャフニャと接触し、マモルの運命は大きく動き出す!

第1話 避けられぬ運命?

 まただ……。

 また俺は、異世界転生した……。

 これで七度目だ。


「くそ……何でだよ……」


 一回目、トラックに轢かれて異世界転生←分かる。


 二回目、工事現場の近くを歩いていたら上から瓦礫が落ちてきて異世界転生←分かる。


 三回目、近所のコンビニで強盗に巻き込まれて異世界転生←まあ分かる


 四回目、隕石がピンポイントで俺に直撃して異世界転生←まあ分からないでもない。


 五回目、本屋で立ち読みしてたら本からワニが出てきて、食われて異世界転生←?????


「五回目だ……。五回目から強引になってんだよ……」


 六回目、家で引きこもっていたらドラゴン(現実世界に居るワケねーだろ)が俺の部屋に突進してきて異世界転生。


 そして今回(七回目)は宅配で頼んだカレーが爆発して異世界転生とかおかしいだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。


 なに? 何でそんな異世界転生すんの?

 どういう運命握ってんの俺?


 別に異世界とか来たくないんだけど。

 異世界で無双とかしたくないんだけど。


 もういいから。

 俺には明るいリアルが待ってるんだよ。


 せっかく血反吐を吐きながら受験勉強を頑張って良い高校に入れるって時にさあ。

 こっから俺の青春物語が始まるって時にさあ。

 何でそれを無に帰すかの如く異世界転生すんの?


「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 俺は目の前の泉に向かって叫んだ。周りに生い茂る木々が、それに呼応してシャワシャワ揺れる。


「ようこそゲロ」


 不意に、後ろから話しかけられた。

 そこには現実世界ではあり得ない大きさのアマガエルが居る。五十センチくらいはあって、本当に気持ち悪い。


 コイツの顔を見るのも七回目。

 なんでもコイツは、この異世界に転生してきた者が最初に会う『チュートリアルガエル』らしい。


「ど、どうも……」俺は引きつった顔で言った。


「異世界で楽しむ? それとも……」


 俺はこのカエルの『それとも』の先の選択肢を六回使っている。


「現実世界にカエルゲロ?」


 この『現実世界にカエルゲロ?』を選択すると、俺の場合は現実世界の三月二十四日に戻れる。

 が、今のところ、帰っても三月三十一日の夜十一時五十九分までには必ず上下青のジャージ姿で異世界に転生してしまうのだ。


 どんだけ家に引きこもっても、強引な運命が襲い掛かってきて異世界転生してしまう。

 そう。俺はまだ、四月に入ることが出来ていないのだ。


「あ、あのー、カエルさん?」


「なんでしょうかゲロ?」


「もしかして俺がここに来たの初めてじゃないの知ってたりします?」


「はいゲロ。これで七回目ゲロね」


 コイツの記憶も引き継いでんのね。


「あのー」


「なんでしょうかゲロ?」


「異世界に転生しない方法とかってあります?」


「そんなの無いゲロ。人生は、いつ何が起こるか分からないゲロ」


 確かにいつ何が起こるか分かんねえわ俺の場合。


「あのー、もしかして、俺ってこの異世界の救世主的な感じ? だから頑なに異世界転生するとか?」


「そんなことないゲロ。マモルはこの世界じゃモブみたいな役割ゲロ」


 もうちょっとオブラートに包めないの?

 あ、紹介が遅れたけどマモルは俺の名前ね。フルネームは山田やまだマモルです。

 モブじゃないです。


「この世界の救世主はリオル・ダ・マオウフニャフニャだゲロ」


 なにそのテキトーな名前。


「彼は今、序盤の盗賊と戦っているゲロ」


「へ、へえ……」


 とりあえず、俺が転生する理由は、この世界の救世主だからというワケではないらしい。


「そろそろリオル・ダ・マオウフニャフニャが爆炎剣ばくえんけんを覚える頃ゲロ」


 いや聞いてませんし。


「あのー、じゃあ現実世界に帰してくれませんかね?」


「分かったゲロ」


 パッと舞台は変わり、俺の部屋に戻った。

 日付は三月二十四日。

 上下青のジャージ姿のまま。


「こっからだ……」


 今回こそ、今回こそ四月まで転生しないようにするぞ。

 ええと、まずは家に引きこもること。

 それは大前提。

 そしてドラゴンとか意味解んねえのが来ても大丈夫のように、常に神経を研ぎ澄ませて――。


『ドガアアアアアアアアン!』


 と、家に何かが衝突した。部屋が揺れるほどの衝撃。


「な、何が起こって――」


 考える間もなく、俺の部屋にグレイと呼ばれる灰色の頭デッカチな宇宙人が入ってきた。


「アバヨ、チキュウジン」


 言うと、宇宙人は銀色の銃で俺を撃った。ビーッという音と共に、俺の体は消滅した。


「ようこそゲロ」


 気づけば、俺はあの異世界の泉に居たのだった。


(え、ええええええええええええええ?)


 またああ?

 しかも今回は瞬殺だったんだけど。

 策を練る間もなかったんだけど。


 つーかなんだったのアイツ?

 地球に降り立つや否や最短ルートで俺を撃ってきたんだけど。

 何なの?

 俺を転生させるRTAでもしてんの?


 そもそも何で当たり前のように宇宙人襲来?

 俺の記憶が確かなら現実世界に宇宙人とか居なかったはずだけど気のせい?


「これで八回目ゲロね」


 ちょっと黙っててくんないかな。


「マモルみたいに見た目も存在感もモブみたいな奴が転生してくるのが不思議ゲロ」


 なんでこんなナチュラルにディスってくんのこのクソガエル。


「そろそろリオル・ダ・マオウフニャフニャが鉄の剣を買う頃ゲロ」


 だからリオル・ダ・マオウフニャフニャのことなんて聞いてねえっつーの。

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