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蠱師と銀毛狼
華蕩樹
BLファンタジーBL
2024年10月23日
公開日
26,600文字
連載中
 舞台は世紀末華國の江湖。邪派として迫害されし秘密結社蠱道会のもとに、バリツの使い手である英國人スティーブ一行が訪れた。世の近代化の波は武林にも及び、洋人の試合出場や奥義書の流出が始まる。
 その余波は蠱道会をも飲み込んだ。スティーブらが強奪を図る蠱道秘籍とは、手にする者を陰極あるいは陽極へと導く奥義書であった。そして主人公スンが放った引誘蠱に引き寄せられたのは、幼少期の夢に現れていた運命の美青年・銀毛狼。

多彩な英傑が登場する番武侠譚。

・主要登場人物・
「スン」蠱道会に所属する蠱師。感受性の高い真面目な若者。
「銀毛狼」ブラン族の美青年。大陸の広範囲に伝わる伝説の銀毛狼の一人。その銀髪の容姿から部族内で異形視されていた。
「リン」蠱術や武芸の習得に加えて古琴も奏でる文武両道の蠱道会の代表者。厳しさと優しさを兼ね備えた人望の厚い青年。
「中山あお」剣詩舞に京劇や西洋歌劇の要素を取り入れた劇団の亜細亜女子聖剣詩舞社の創立者。また西山教の教祖でもあり教団本部を稽古場にしている。
「リュウ道士」リンが一目置く質実剛健の道士。中年に差し掛かってなお厳しい鍛錬を自らに課し続けている。堕落を忌み嫌うが時折り麻雀や京劇鑑賞程度は嗜む。近代化の影響には眉を顰めることも多い。

「スティーブ」自らが運営するバリツ・クラブの代表にしてアヘン売買の元締め。拷問も躊躇わぬ強行派。自論を実践することについては厳しいため支持する部外者も少なく無い。
「麻希」執事カフヱーの給仕。金剛砕に雇われていた元蔭間の和族。生い立ちこそ貧しいが、生まれ持った気品の高さから作法の習得に心血を注いでいる。その様子をスティーブに評価され側近として扱われている。
「金剛砕」大和國の武術団体である吸気会の分派金剛流柔術の開祖。裏では阿片窟を兼ねた蔭間を経営している。自らの名の由来となった奥義金剛砕は離れた巨石をも砕く。

・用語・
「蠱道秘籍」読む者の陰陽の気が高まる奥義書。陰の者は番の者を惹きつけ、妊娠や出産が可能な肉体と化す。また外骨格蠱の装甲を纏うことで防御力も向上する。陽の者は身体能力が飛躍的に上がり、番の気配を察知する能力も向上する。
「江湖」非主流派社会、裏社会、芸道世界などの広い意味を持つ。
「軽功」身の丈を超える跳躍から宙を自在に飛行する達人まで様々な練度がある。

序幕 かの日の夢の妖しの君へ

幼き頃の夢の中には

美しい青年が現れていた


彼は子どもと手をつなぎ

手を振っていた


髪はともに銀色に輝いて

私の手を取ると微笑みかけた


大人になり

そのような夢を見なくなったが


人外めいた美しき姿は

今も私の脳裏から離れない


妖しの君よ


そなたはいったい何者なのだ


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