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103. 親友

103. 親友




 結愛先パイが学校に来なくなってから一週間が立つ。明日からもう12月だ。あたしは心に穴が空いたかのように、毎日を過ごしていた。


「おはよう凛花ちゃん。」


「うん……。おはよう衣吹ちゃん……。」


「凛花ちゃん……。」


 こんなに毎日がつまらないなんて、あたしの中で結愛先パイは本当に大きな存在だったんだな。ここ最近の授業も集中できないし、先生に怒られてばかりだ。そんな日々が続いたある日のこと……。


 あたしが帰る準備をしていたらサキちゃんが声をかけてくる。


「あっ凛花。今日と明日暇?」


「えっ?あっうん。何も予定ないよ」


「それなら私の家に泊まりに来ない?家族旅行で誰もいないんだ。どう?たまには私とも遊んでよ」


「サキちゃんの家に?そう……しようかな。最近サキちゃんと遊んでなかったもんね。」


 あたし達は久々に二人で遊ぶことにした。そして、サキちゃんの家に行く前にコンビニでお菓子やジュースを買って、サキちゃんの家に向かう。久しぶりに二人きりだから少し緊張する。しばらく歩いてサキちゃんの住むマンションに着く。サキちゃんの部屋はイメージと違ってすごい女の子らしい部屋だった。


 可愛らしいぬいぐるみとかがあってすごくいい匂いがした。なんか落ち着く。それから話をしたり、ご飯を食べたりして過ごしているうちに夜になっていた。


「あっ。」


「どうしたのサキちゃん?」


「メッセージ来てる。春菜と水瀬さんも来るってさ。」


「本当に?楽しくなりそう!」


 その後、春菜ちゃんと衣吹ちゃんも合流して4人でゲームをして楽しかった。けど、やっぱり結愛先パイがいないのは寂しいなって思った……。この心の穴を埋めることはできなかった。しばらく女子会は続き、春菜ちゃんが話し出す。


「あっ!もうお菓子と飲み物ないよ。買って来なきゃ!……凛花ちゃん付き合って?」


「うん。いいよ。サキちゃんと衣吹ちゃんは何が食べたい?」


「じゃあ私チョコレートケーキ食べたい。買って来て」


「私は抹茶プリンがいいかな」


 あたし達は近くのコンビニに行ってお菓子と飲みものを買いに行った。大量に買ってしまった……。食べれるかな……?そしてサキちゃんの家に帰る途中、春菜ちゃんがあたしに話しかけてきた。


「ねぇ凛花ちゃん。少しあの公園のベンチで休まない?」


「え?」


「ほら行こう。」


 サキちゃんの家は歩いてすぐだ。なのにわざわざ……。あたしに何か言いたいことがあるんだろうな……。あたしは仕方なくついていくことにする。しばらく沈黙が続く。すると、春菜ちゃんが口を開く。彼女は真剣な表情をしていた。


「ごめん凛花ちゃん。私頭良くないからさ、傷つけちゃったら申し訳ないんだけどさ……凛花ちゃんさ小鳥遊先輩と付き合ってるの?」


「えっ!?」


 突然春菜ちゃんにそう言われて、あたしは驚いてしまう。あたしが答えられずにいると、春菜ちゃんがまた口を開いた。


「やっぱりそうなんだね。きっとサキちゃんも水瀬さんも気づいてると思うよ。だって凛花ちゃん小鳥遊先輩の話になると顔真っ赤にしてるじゃん。それにたまに小鳥遊先輩のこと目で追ってたりするしさ。」


 うぅ~恥ずかしい。確かに無意識のうちに結愛先パイのこと考えてたかもしれない。でもバレてたなんて……!!あたしは観念して正直に話すことにした。これでみんなに嫌われてもあたしは自分の気持ちに嘘はつきたくない。


「うん。あたし。結愛先パイと付き合ってる。すごく好きなの。変かもしれないけど。」


「確かにね……。うん、わかっちゃいたよ。小鳥遊先輩はかっこよくて可愛いし、優しいからね。でも、私は応援するよ!親友としてさ!」


「春菜ちゃん……」


「凛花ちゃんを見てると本当に恋をしているみたいな反応してるの。そこに男とか女とか関係ないのかもね。だから頑張って!私もできる限りサポートするよ。」


「ありがとう……!!」


 なんだか涙が出そうになった。あたしを応援してくれる人がいる。それが嬉しくてしょうがなかった。それからあたしと春菜ちゃんはサキちゃんの家に帰った。そしてあたしはサキちゃんにすべてを話した。衣吹ちゃんは知ってるもんね。


「あー……うん。そうだと思ってたよ。凛花はわかりやすいからさ。」


「まぁ私は知ってたけどね。」


「えっ!水瀬さん知ってたの?」


「だって。私、凛花ちゃんのこと好きなの。でも振られちゃったから。みんなで行った海の旅行の時に。」


 あたしは少しだけ申し訳なさそうにする。衣吹ちゃんはそのまま春菜ちゃんとサキちゃんに色々説明していた。その話を聞いてさすがに驚いていたけど、すぐに納得していた。『水瀬さんを振るなんて罪な女だね凛花ちゃんは』なんて春菜ちゃんに言われたけど。


 衣吹ちゃんはともかく、春菜ちゃんとサキちゃんに事実を伝えて良かったかも。2人も応援してくれると言ってくれたし。すごく心強い。あたしは結愛先パイが好き。このままじゃダメだよね。あたしも頑張らないとな。

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