96. Story.8 ~【年下彼女】~①
結愛先パイとの温泉旅行楽しかったな。無事に誕生日も祝えたし。春菜ちゃんやサキちゃん、衣吹ちゃんもお土産喜んでくれたし良かった。
放課後。あたしは今本屋にいる。次の課題で発表者に選ばれてしまったからだ。とりあえず必要な本を見つけて部活に行かないと。結愛先パイと一緒の時間が減っちゃうよ!
あたしは本棚を回って目的の本を探した。そして見つけた。この本ならあるだろうと思ってたけどやっぱりあったか。その本を取り、ふと違う本棚を見るとカバー付きの小説が置かれている小説棚を見つける。
「あれ?前に見たときはなかったけどなぁ。新しく出来たんだね。」
少し気になるので、適当に一冊手に取ってみる。その小説のタイトルは……。【年下彼女】。えっ!?何これ。初めてみるやつだ。ちょっと興味があるかも。あたしは目的の本とともにその小説も一緒に購入する。
そして学校に戻りそのまま部室に向かう。少し遅くなっちゃった。結愛先パイ怒ってないかな?そう思いながら扉を開ける。するとそこにはいつもとは違いパソコンを使っている結愛先パイがいた。
「戻りました結愛先パイ」
「おかえりなさい凛花」
「あれ?結愛先パイ。パソコン?何か調べものですか?」
「ええそうね。調べものと言うよりは……勉強かしら。いや以前の復習ね。」
「結愛先パイ頭いいのに、勉強なんて尊敬しちゃうなぁ。何を勉強してたんですか?」
「え?女性同士でする時の体位だけど?」
一瞬時が止まる。ん?今なんて言ったの?この人。結愛先パイはパソコンから目を離さず淡々と話す。
「何で調べてるんですか!?そんなの!?尊敬したあたしの気持ちを返してください!」
「大切なことじゃない。あなたはすぐイキまくるから、何でもいいんでしょうけど。この前ので思い出して他のがないか調べてるのよ。」
結愛先パイ言い方……。だって!あたしだって結愛先パイを気持ち良くさせたいけど、力が入らなくなっちゃうんだもん!仕方ないじゃん!
それから結愛先パイはパソコンの電源を落として椅子を回転させてこちらを向いてくる。そしていつもの悪い顔をしながら口を開いた。あーなんか嫌な予感しかしない……。
「特訓しましょう凛花。」
「なんの特訓ですか?」
「あなたが簡単にイカない特訓。」
「嫌ですよ!それあたしにエッチなことするつもりですよね?あたしだって好きでイってるわけじゃないし……。」
そう言うと結愛先パイは立ち上がりあたしに近づく。あっまずい。逃げないと。でも逃げる場所がない。
「週末特訓よ凛花?これは私と凛花の問題なの?わかるかしら?身体の相性はとても重要なの。それこそ世の中のカップルやご夫婦が別れる原因の1つなんだから」
「はい……。」
「よろしい。さて帰ってネットで買わなくちゃ。試したいのもあるし!」
もう何も言えない……。結愛先パイが怖いです……。でも結愛先パイの言う通りかもしれないし、もっと一緒にいたいし、それにあたしも結愛先パイのこと気持ちよくさせてあげたいなぁ。結愛先パイとの甘い時間が増えるなら頑張ろうかな……。こうして週末結愛先パイと2人で特訓することになった。
家に帰り、課題を終わらせる。集中してやればあたしだってこのくらい楽勝なんだよね。無事課題が一段落したので、今日購入した小説を少し読んでみることにする。
「うん。【年下彼女】シンプルな題名だけど、こういうのが面白かったりするんだよね。」
【年下彼女:あらすじ】
主人公の中原瑠衣(なかはらるい)は高校に入学したばかりだが既に学校で人気者となっていた。それは彼女の容姿も理由の一つではあるが、実は彼女はとある理由で男子生徒から告白され続けているのだ。そんな日々を送り、2年生になったある日彼女は一人の後輩の女子生徒。青山聖奈(あおやませな)から告白されてしまう。その子は昔の自分と同じ学校の人気者で、当然断ろうとするのだがどうしてもと言ってくるため渋々了承してしまう。その後彼女と交際することになるがその子はとても積極的ですぐに手を繋いだりキスをしたりとどんどん進んでいき……。
内容としては、主人公の女の子が後輩の女の子と付き合うことになるんだけど、その女の子がとても積極的で主人公が振り回されるっていう感じだった。
まぁありきたりと言えばありきたりなんだけど、それが良いんだよねぇ。特に主人公が攻めているときに受けの子が反撃してくるところとか、すごく良い。あとお互い裸になって抱き合っているシーンも良かったかなぁ。それからあたしはしばらく読み続けてしまう。気付けば外は真っ暗になっていた。