92. プランXYZ
あたしは今自分の部屋でゴロゴロしながら考えている。それは週末の結愛先パイとの温泉旅行のデートプランだ。偶然にも結愛先パイの誕生日と重なったんだけど……。はぁ。なんであたし結愛先パイの誕生日聞かなかったんだろう。まぁそんなこと考えてももう遅い。今は喜んでもらえるようなデートプランを考えよう!
うーん。結愛先パイは落ち着いた場所とかのほうがいいかな?それなら水族館とか……いやこの前行ったよね……。じゃあ動物園とか?でも動物って結構見飽きるっていうし……。いろいろ考えたけど結局どこに行けばいいのかわからない。あたしって本当にこういうところダメだな。
「はぁ……。どうしよう……。」
悩んでてもしょうがない。ここは他の人に聞いてみよう!あたしはスマホを手に取り電話をする。まずは春菜ちゃん。やっぱりこういうのは春菜ちゃんだよね?
《もしもーし。どうしたの凛花ちゃん?》
「あっ春菜ちゃん。ごめんね。ちょっと相談があって。」
《うん。いいよ。なんでも言ってみて。》
さすが春菜ちゃん。優しいな。あたしは今までの経緯を話した。
《えっとつまり、小鳥遊先輩の誕生日に温泉旅行に行くけど旅館以外決まってないってことね?はいはい。それなら任せて。えっと行く場所は……》
春菜ちゃんは旅館から近い観光地をいくつか教えてくれた。やっぱり春菜ちゃんはすごい。
《あとはプレゼントだけど、旅館近くの工芸館でスノードーム作りの体験が出来るみたいだよ。》
「スノードーム?なんか可愛いかも!」
《何か買ってあげるのもいいけど、そういうのもいいんじゃない?思い出も作れるし、小鳥遊先輩好きそうだし。》
「そっか!ありがとう春菜ちゃん!また何かあったら連絡するね!」
《うん。いつでも待ってるよ。私にお土産よろしく!》
そうして通話は終了した。春菜ちゃんはちゃっかりしてるなぁ。次はサキちゃんに聞いてみる。
《もしもし。》
「あっサキちゃん。今大丈夫?」
《うん。どうかしたの?》
良かった。ちょうど電話が繋がった。早速本題に入る。
「あのさ、週末に結愛先パイと温泉旅行に行くことになったんだけど、どこに行ったらいいか迷っちゃって……。」
《そうなんだ。それで私がアドバイスすればいいの?》
サキちゃんは意外にも美味しい蕎麦屋さんを教えてくれた。なんかネットでも隠れた名店と話題らしい。これならきっと結愛先パイも喜んでくれるはず!
《ちなみにその蕎麦屋さんのそば粉で作った特製手打ちうどんも絶品だって!》
「本当に?食べてみようかな?」
《じゃああとで地図送っておくよ。じゃあ楽しんできてね!》
そして電話を切る。サキちゃんありがとう!これで当日困ることは無さそう! 最後に衣吹ちゃんに相談してみる。衣吹ちゃんは頼りになるし、いつも助けてくれる。
《もしもし。凛花ちゃん?何かあったの?》
「うん。実はね……」
あたしは今までの経緯を衣吹ちゃんに話す。
《それ私に聞いちゃうの?もう本当に凛花ちゃんはひどいなぁ。でもそういうところ可愛くて好き。頼ってくれて嬉しいけどさ。》
「ごめんね。つい甘えちゃった。」
《いいよ。むしろどんどん甘えて。》
衣吹ちゃんは少し笑っているようだ。
《とりあえず私は凛花ちゃんが行きたい場所でいいと思うよ。凛花ちゃんが選んだ場所なら小鳥遊先輩も喜ぶはずだよ。私ならそうだから。》
確かにそれも一理あるかもしれない。あたしは結愛先パイと一緒にいたいし、喜んでもらいたい。
《あとは誕生日なら旅館の人に相談すればケーキとか用意してくれるかも。サプライズで》
「本当に!?電話しなきゃ!」
《凛花ちゃんは本当に可愛いな。好きな人に一生懸命で。まぁそれが私じゃないのが残念だけどさ》
うぅ。ごめんね衣吹ちゃん。あたしには結愛先パイしかいないんだよ。本当にごめんなさい。
《ふふっ冗談だよ。頑張ってね凛花ちゃん。応援してるよ。》
「ありがとう。頑張る!」
こうしてあたしはみんなにたくさん相談してデートプランを決めた。当日は絶対に結愛先パイに喜んでもらうぞ!