35. 結愛先パイのお仕置き(前編)
今日は土曜日。テレビでは梅雨明けが発表された。これで憂鬱になることもないよね。といいたいところだけど……。あたしは衣吹ちゃんとキスをしてしまった。そしてあたしも初めて1人で……。あの後衣吹ちゃんはあたしに普通に接してくる。まるで何もなかったように……。
ちなみにあたしは今結愛先パイの家で小説演劇同好会の活動中だ。
「ねぇ凛花。あなた何回リップ塗ってるの?そんなに乾燥してるかしら?私の家?」
「えっ……?」
「それとも、キスでもしたいの?そんなにアピールして?」
「キスなんかしたくないですよ!?変なこと言わないで下さいよ結愛先パイ?それより、次の小説の演目を……。」
結愛先パイはいきなり机を叩く。その音にビックリして、あたしはビクッとする。そして結愛先パイはあたしのことを睨みつけて、あたしに向かってこう言った。
「凛花。あなたなんか隠してるわね?言いなさい。」
「なにも隠してませんよ!なんですか急に!」
「じゃあどうして私から目をそらすのかしら?それにあなたがそんなに率先して小説を演じようなんておかしいわ?」
結愛先パイはそう言ってさらにあたしに近づく。結愛先パイの息遣いまで聞こえる距離だ。これはマズイ……。
「まさかとは思うけど、あなた先週水瀬さんの家に泊まったらしいじゃない?ヤったんじゃないわよね?」
「何をですか!ヤってはいませんよ!」
「ヤっては?ふーん。そう。」
結愛先パイはそう言うとニヤリとした表情をする。もしかしてこの人……気づいてる!?あたしにはわかる。絶対にバレているんだ。だって目が笑ってるもん。すると勢いよくあたしを押し倒してくる。
「痛ったぁ……。もうなんなんですか結愛先パイ!」
「何って?浮気したんでしょ?お仕置きが必要じゃない。」
「浮気って……。」
「私が気づかないとでも思っているの?あからさまにリップ塗って。水瀬衣吹とキスしたのね?」
やっぱりバレていた。まあ、そりゃそうだよね。こんなにわかりやすいことないし。
「あれは違うんですってば!」
「ふふっ。なら……二度とそんなことしないようにしてあげる。」
そう言って結愛先パイは強引にあたしの唇を塞ぐ。さっきよりも深く濃厚な口づけだ。舌まで入れてきた。これじゃあ抵抗できない。それに気持ちいい……。力が入らない。
あたしの頭の中では警報音が鳴り響く。このままだとダメだ。なのに身体が動かない。このままじゃまた結愛先パイのペースに……。
「ふふっ。凛花は可愛いわね。もっといじめたくなっちゃう。」
「だめですよぉ……。これ以上は……。あたし……」
あたしの言葉を聞いた結愛先パイは少しだけ微笑むと再び唇を重ねてくる。そして今度は服の中に手を入れ、身体に触れてくる。それだけで頭がクラクラする。ヤバい……。本当に止まらなくなる……。
あたしの理性はどこかに行ってしまったようで、今は快楽を求めるだけになっていた。そして結愛先パイが耳元で囁く。
「ねぇ凛花。もっと欲しい?」
「結愛先パイ……。もっとほしい……。もっと気持ちよくして……。」
「あら?素直になったわね?今日は特別にいつも以上にしてあげるわ?」
そう言うと結愛先パイは再びキスをしてくる。舌も絡ませて濃厚なキスだ。そしてそのまま押し倒される。
「凛花……可愛い。大好きよ……。」
結愛先パイの手つきはとても優しく丁寧だった。それがとても心地良い。
「結愛先パイ……好きぃ……」
それからあたしは、ただひたすら結愛先パイを求め続けた。結局昨日は結愛先パイにずっと責められ続けてしまった。朝起きてもまだ余韻が残っている感じだ。筋肉痛だし、喉痛くて声でないし……。
「おはようございます結愛先パイ。」
「えぇ。おはよう凛花。ふふっ。声ガラガラね?気持ちよすぎちゃったのかしら?」
「誰のせいですか!全く!おかげでひどい目に遭いましたよ!しかも、明日からは学校あるんですよ!?どうしてくれるんですか!もう動けませんよ!」
「何よ。あなたが浮気するからいけないんじゃない。」
その前にあたしと結愛先パイは別に付き合ってないし。でも確かに浮気と言われればそうなんだけど……。
「凛花。あなた昨日ので終わりだと思ってないわよね?」
「どういう……意味ですか?」
「今日は日曜日。休みだから。時間はまだまだあるしね?」
そう言うと結愛先パイは部屋から出ていく。きっとご飯を作りに行ったんだろうけど……。ちょっと待って!?あたし、今日一日結愛先パイに好き放題されるの!?