26. Story.3 ~【恋花クローバー】~④
【小説:恋花クローバー】
私は雪菜の笑顔を見た時から惹かれていた。彼女はとても明るく、つい構いたくなっちゃう存在。毎日の花壇への水やりも私の仕事、それを手伝ってくれる雪菜。この気持ちはどんどん大きくなる。
だけど……。
放課後になった瞬間、私は教室を飛び出した。今日こそは絶対に告白するんだから! って意気込んで向かった先は、校舎裏にある花壇だった。そこにはいつものように雪菜がいて、水をやっている。その姿を見て思わずキュンとしてしまう。
これは隠さないといけない。この関係を終わりにしたくない。初めて出来た部活の後輩、そして親友。それでも……もう伝えなくちゃ。嫌われてもいい。この気持ちを伝えたい。お願い私が幸せになれるように、クローバーあなただけは私を見守っていてね。
私は幸せのクローバーを握りしめながらゆっくり雪菜の元へ向かうのだった。
-小説実演-
あたしは結愛先パイのマンションに着く。大きく深呼吸をしてインターホンを押した。すぐに中から足音が聞こえてきて扉が開かれる。そこから出てきたのは、普段よりも少しおめかしした結愛先パイだった。
「凛花。会えなくて寂しかったわ。さぁ中に入って。」
約2週間。あたしは結愛先パイと会っていなかった。会えなくて寂しくなった。もう迷いはない。今日は覚悟を決めたから。中に入るとあたしは何も言わず結愛先パイに後ろから抱きつきそのまま押し倒す。
「いたっ……凛花?」
「はぁ…はぁ…結愛先パイ……」
「どうしたの…?何かあったのかしら…?変よ凛花?」
「あたしが欲しいんじゃないんですか?結愛先パイ?」
そう言ってあたしは結愛先パイのお腹に手を当てる。すると結愛先パイの顔はみるみると赤くなっていった。あたしは知っている。結愛先パイはいつもあたしにこうやって恥ずかしめる。あたしが可愛くて仕方ないからだよね?
「り……凛花……待って……。せめて布団で……」
「嫌です。待ってって言う割に抵抗しないんですね結愛先パイ?もしかしてあたしとキスしたいんですか?」
「ち……違うわ。そんなこと……。」
「じゃあ何で顔真っ赤なんですか?期待してるんですよね?ならいいじゃないですか。」
あたしはそのまま顔を近づけていく。すると結愛先パイは手で自分の口を塞ごうとする、あたしはその手を剥ぎ取るとそのまま結愛先パイの唇を奪った。いつもあたしがされている濃厚な大人のキス。しばらくして結愛先パイの力が抜けていった。
そこであたしは結愛先パイの手を掴むとゆっくりと下に下ろしていく。結愛先パイの体はビクッと跳ね上がる。それがまた可愛い。
しばらくすると結愛先パイの口から甘い声が漏れてきた。
「結愛先パイ可愛い。ほら自分でしてみてください。あたしに見せるように」
「そ……それはダメ……。」
「でもして欲しいですよね?だからあたしを呼んだんでしょ?」
そう言いながらあたしは結愛先パイの身体に手を伸ばす。結愛先パイは観念したようで、あたしの言葉に従う。服の上から身体を触ると結愛先パイはビクッと震えだす。そして結愛先パイは我慢できなくなったのか、あたしの名前を何度も呼び始める。
あたしは結愛先パイの耳元で囁く。
「結愛先パイ……好きです。」
今度は首筋に舌を這わせる。結愛先パイの身体が大きく跳ね上がった。それを合図にして、あたしは結愛結愛先パイの上にまたがり真っ直ぐ結愛先パイを見る。ああ、やっぱり美人だなぁ。あたしはとてつもなく結愛先パイが欲しい。
すると結愛先パイは私の首に腕を巻き付け、自分に引き寄せてくる。そして目を閉じてその時を待っている。今日はあたしが【恋花クローバー】の朝霧華乃だから。あたしが結愛先パイを……。
☆★☆★☆★
あたしはシャワーを浴びて着替えた後、リビングに戻る。そこには結愛先パイがいて、ソファーに座っていた。その表情はどこか嬉しそうだ。あたしは結愛先パイの隣に座る。
「まったく……身体痛いわよ凛花?」
「すいません。ずっと会えてなかったから……」
「ふふっ。本当にしょうがないんだから」
結愛先パイはあたしの頭を撫でてくれた。凄い心地良い……。もうこのまま寝ちゃおうかな……。そんな事を考えながら、結愛先パイにもたれかかる。結愛先パイは何も言わずにあたしを抱き寄せてくれる。それがまた嬉しい。
「ん?あら?凛花のカバンから出てるのって【恋花クローバー】かしら?あなたも読んだのね?あーなるほど。あれを演じてたのね、通りでおかしいと思った」
「まぁ……はい。でもおかしいって?」
「だって凛花が積極的に攻めてくるなんて今までなかったじゃない?」
結愛先パイは微笑みながら言った。改めて言われると恥ずかしい。
「最初は朝霧華乃だったと思います。でも途中から結愛先パイを気持ちよくさせたいって頭でいっぱいでした。だから分からないです。でも読んで良かったです。なんとなく結愛先パイの気持ちも分かったような気もしますし。」
「そう。それなら良かったんじゃない?とりあえず今日のは貸しにしてあげるから」
結愛先パイが悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。あたしはその言葉の意味を理解して赤面する。
「次は守れないかもね?あなたの初めて?」
「うぅ……。」
「ふふっ楽しみね?さてご飯でも食べましょうか、凛花手伝って。そんな荷物持って、泊まっていくんでしょ?」
「あ。……はい。あと!これ……マグカップ可愛いの見つけたんですけど……お揃いの……」
「……ありがとう凛花。嬉しいわ。でもここで渡すのねあなた。タイミング悪いわね。凛花らしいけど」
そう言われてあたしはまた顔を赤くする。やっぱり結愛先パイにはかなわない。結愛先パイはすごい笑顔でそのマグカップを受け取ってくれた。
やっぱり……好きだなぁ。
普段は小悪魔で意地悪だけど、そんな結愛先パイと一緒にいたいと心からそう思っているあたしがいるんだ。