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23. Story.3 ~【恋花クローバー】~①

23. Story.3 ~【恋花クローバー】~①




 GWも終わり、今日から学校が始まる。休みの間は衣吹ちゃんと買い物に行って、サキちゃんとご飯食べて、春菜ちゃんとカラオケに行ったくらい。結構遊んでいたな……。


 連休中は結愛先パイの事は特に意識してなかった。うん。やっぱりあたしは結愛先パイの事は恋愛感情で好きではない!そう結論づけよう!


 でも久しぶりに今日会えるので衣吹ちゃんと一緒に買ったあのマグカップを持っていく。結愛先パイ喜んでくれるかな……?


 喜んでくれると嬉しいけど……。


 学校につき教室の自分の席につく。周りのクラスメイトはけだるそうにしている。まぁあれだけ休みならそうなるよね。これが五月病の正体だろうね。ガラガラっと扉が開き担任の先生が来た。


 いつも通りホームルームが始まり連絡事項や宿題についての説明がある。そして来月の中間テストのことも説明された。春菜ちゃん……また泣き出しそうだけど。大丈夫かな?


 そしてお昼。あたしはサキちゃんと春菜ちゃんと衣吹ちゃんとご飯を食べている。するとサキちゃんが話し出す。


「来月中間テストかぁ。また小鳥遊先輩にお願いして、お泊まり勉強会でもやる?」


「絶対やりたい!小鳥遊先輩教え方上手だもん!私36点も取れたんだよ?凛花ちゃんお願いしてみて?」


「一応聞いておくよ。」


 春菜ちゃんの中で36点はいいと言う認識なのは不明だけど……。ちなみにサキちゃんとあたしは普通レベル。衣吹ちゃんは頭がいい。またあのお泊まり勉強会かぁ……身体が持たなそうだなぁ。


 放課後になり、あたしは部室に行く。すると結愛先パイはまだ来ていなかった。めずらしいな。また買い物してるのかな?とりあえずあたしはスマホをいじりながら結愛先パイが来るのを待つことにした。


 しかし、いくら待っても結愛先パイはこない。どうしたんだろう……。何かあったのか心配になる。電話しようと思った時ちょうど結愛先パイから着信があった。


「もしもし結愛先パイ?」


 《凛花。久しぶり元気だった?ごめんなさい連絡遅くなって。》


「何かあったんですか?」


 《家庭の事情で学校をしばらく休むことになっていたのを伝えるの忘れていたわ。》


 えっ……。休み?しばらくって?不安になったあたしは思い切って聞いてみた。


「あの!次はいつ会えるんですか!?」


 《来週には学校に行くから心配しないで、日曜日には自宅に戻るから》


「はい……わかりました。」


 《凛花ごめんなさい。今まで一人だったから伝えるの忘れていたわ。また来週学校でね?》


 結愛先パイはそう言って電話を切る。あたしは急に寂しさが溢れてきた。泣きそう。誰もいない部室。渡そうと思ったプレゼントの包み。


「はぁ……帰ろう……。」


 ため息とともに呟く。結愛先パイがいないんじゃここにいてもしょうがない。帰る準備をして部室を出る。


 そして帰り道、ふと本屋に寄ることにした。最近小説演劇同好会の活動してないな。小説も読んでないし。せっかくだから何か買って読もう!


「結愛先パイは来週までいないんだし!時間はある!そうしよう!」


 あたしは小説の棚に足を運ぶ。今まででは考えられないくらい、自然と百合小説の方へ足が動く。どういうのがいいかな?女の子が可愛いのがいいなぁ。特に結愛先パイに似ている子が主人公だとなおさらいい!そんなことを考えていると一冊の小説が目にとまる。


「新作だ。【恋花クローバー】だって!どんな話なんだろ?」


【恋花クローバー:あらすじ】

 この物語の主人公、朝霧華乃は高校2年生。そして一人だけの園芸部。ある日中庭の花壇に水をやっているとそこで運命の出会いをする。相手は新入生の女の子。名前は高坂雪菜。そして彼女の笑顔を見て華乃は心を奪われる。雪菜は華乃と同じ部活に入りたいと入部希望する。二人は仲良くなり、そしてお互いに惹かれあう。そしていつしか友達以上恋人未満の関係になっていく。二人の恋の行方はあの日のクローバーだけが知っている……。


 また切ない話が出たんですけど……。うーん。なんかこの話あたしと結愛先パイに似てる?この話を読めば、もしかしたら結愛先パイの気持ちも分かったりして?よし!決めた!


 あたしはその本を手に取りレジに向かう。家に帰ってゆっくり、【恋花クローバー】を読むことにしたのだった。

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