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21. やっぱり無理!

21. やっぱり無理!




 結愛先パイの家は部屋が多いので、1人1部屋で寝ることができる。そしてあたしが布団に入ると結愛先パイがその部屋に入ってくる。そしてカギを締める。


「えっ……結愛先パイ!?なんかありましたか!?」


「凛花。……続きしよ?」


「何を言ってるんですか!?みんないるんですよ!?声や音が聞こえますから!」


「安心して。この部屋、父の趣味の映画鑑賞の特別防音の部屋なの。だから誰にも聞こえないし、何も聞こえない」


 あたしが焦っていると結愛先パイが近づいてくる。そして顔を近づけてくる。これはまずい……。なんとかしないと……。あたしは結愛先パイの顔に手を当てて言う。


「あたし。今そういう気分じゃないですから。疲れてますし。」


「嘘。凛花はいつも私がキスしようとすると逃げるものね。」


「なっ……。」


 バレてる……。どうしよう……。このままだと結愛先パイに流されてしまう……。何か策はないのか……。


 すると結愛先パイはあたしに抱きついてくる。結愛先パイの吐息が耳にかかってゾクッとする。


「ダメですって……結愛先パイ好きな人いるんですよね?あたしになんでこんなことするんですか?あたしで遊んで楽しいですか?」


「……。鈍感なんだから。分かるでしょ、あなたが好きだからよ。」


 結愛先パイはそう言って唇を押し付けてきた。結愛先パイとあたしの舌が絡み合う。結愛先パイはあたしに体重をかけてきた。あたしは耐えられなくなって倒れてしまった。


「好きって……それあたしと同じ。小説に感情移入してるからですよ!あたし女の子ですよ?」


「違う。凛花が女の子だなんて分かってるわよ。でも凛花を見ているとドキドキするの。一秒でも長く凛花と一緒にいたい。ずっと凛花と一緒に過ごしたいと思うのよ。私はあなたが好きなの」


 結愛先パイは真剣な表情で言う。そんな顔されたら断れないじゃん……。あたしは結愛先パイのこと……。


「ずるいですよ……結愛先パイ。あたしだって……我慢できません……。あたしも結愛先パイが好きです……」


 あたしがそう言うと結愛先パイはまた唇を重ねてくる。あたしは抵抗せずに受け入れる。結愛先パイの手が服の中に入ってこようとする。


「凛花?震えてる?」


「その……慣れなくて……嫌とかじゃないんですけど…」


「ふふっ。可愛いわね凛花。大丈夫よ?怖くないから。」


 そう言って結愛先パイはあたしの服を脱がせていく。結愛先パイの手があたしの身体を触ってくる。結愛先パイの手が優しく撫でるように動くたびに、体がビクンとなる。恥ずかしい……。


 しばらくすると結愛先パイはどんどんエスカレートしていく。すごく敏感になってるせいか、少し触れられただけでとても気持ちいい。さっきから声も我慢できてない。力も入らない。あたしはただ身を任せているだけ初めて感じる感覚。


 ダメ……これ以上したら戻れなくなる。まだ怖いけど、もっとしてほしいと思ってしまう自分がいる。それからはお互いの体温を感じながら、2人で溶け合っていくような時間を過ごした。



☆★☆★☆★



 次の日起きてみると結愛先パイは隣にいなかった。時計を見ると10時になっていた。昨日のことを思い出し、急に恥ずかしくなる。結局してしまった。


 結愛先パイに触られるのは嫌じゃなかった。結愛先パイ、本当にあたしでよかったのかな?結愛先パイならいくらでも相手はいるだろうに……。あたしじゃなくても……。あたしは着替えてリビングに行く。


「おはよう凛花ちゃん!」


「ずいぶん遅いなぁ。凛花は」


「凛花ちゃん。どうしたの?浮かない顔して。」


「え?いやその……。なんでもないよ。」


 みんなが話しかけてくれる。あたしは笑ってごまかす。それからみんなでお昼ご飯を食べたり、勉強会をしているうちに夕方になった。帰る時間になり、みんなが家に帰る。そして結愛先パイとあたしが家に残される。もちろん部活動だと結愛先パイは言っていたけどさ……。


「あの結愛先パイ?あたしが残る必要あるんですか?」


「えぇ。だって凛花のこと好きだもの。もう少しだけ一緒にいたいわ。ワガママかもしれないけど許して。」


「そっそうですか……。」


 ストレートだなこの人……。でも嬉しいかも……。そんなことを考えていると結愛先パイはいきなりあたしを抱きしめてくる。


「ちょっ……ちょっと!?」


「凛花……」


 結愛先パイの吐息が耳にかかる。あたしはゾクッとして動けない。


「結愛先パイ……。ダメですよ……こんなことしちゃ……」


「そうよね。やっぱりダメよね。ねぇ凛花?今日はもうしないから、少しだけこうしててもいい?」


「えっ……」


 結愛先パイはあたしを抱きしめる。結愛先パイの温もり、そしていい匂いがして、幸せな気持ちになる。しばらくして結愛先パイは満足したのか離れてくれた。あたしの顔は真っ赤になっている。こんなこと毎回されたらあたしおかしくなりそう。




 そして次の日。あたしはいつも通り教室に向かう。そして自分の席に座る。昨日の夜。結局あまり寝れなかったな……なんて思いながらぼーっとしていると、隣の水瀬さんから話しかけられた。


「おはよう凛花ちゃん。週末は楽しかったね?」


「えっうん。水瀬さんが来てくれるとは思わなかったけど。」


「私ってそんなに人付き合い悪そうかな?昔からそうなんだよね……。あまり誘われないって言うか……。」


 それはね、水瀬さんが美人すぎるからだと思いますよ。と心の中でツッコミを入れる。


「でもね。凛花ちゃんが行くって言ったから私も一緒に行こうと思ったんだよ?」


「え?」


「あっ授業始まっちゃう!またあとでね。」


 そう言いながら水瀬さんは前を向く。なんか……勘違いするところだったよ……。水瀬さん可愛いところあるな。こりゃ……モテるわけだよね。

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