1. プロローグ
小説。文字だけでストーリーを伝え、面白さや感動を与えるもの。漫画のように絵をつけることで、より視覚的に感情を伝えられるのはもちろんだが、何よりも素晴らしいのはストーリーそのものだろう。
物語の骨格を成すストーリー。それは、読者を惹きつけ、ページをめくる手を止めさせない魅力的な要素だ。しかし、物語を真に特別なものにするには、それだけでは足りない。もっと深い、読者の心に響く何かが必要なのだ。
それは、読者に物語を通して何かを伝えること。つまり、読者が物語の中に入り込み、登場人物たちの喜びや悲しみを共有し、自らの経験と照らし合わせながら、考え、行動し、心を動かせるような仕掛けがあることだ。
もし、そうした仕掛けがなければ、物語はただの絵空事になってしまう。読者にとって、物語の世界に入り込み、そこで得られる感情や思考こそが読書の醍醐味なのだから、それができない物語は退屈なだけだ。そして、もし作者がそのことに気づかずにいるなら、それはとても残念なことだと思う。
小説には様々なジャンルがある。ラブコメ、ミステリー、ファンタジーなど、書き方によって色々な形になるものだ。その中でも特に人気なのは恋愛物だろう。書店に足を運べば、必ずと言っていいほど恋愛小説のコーナーが設けられている。
でもあたしは、そういう作品はあんまり好きじゃない。というか、嫌いかもしれない。いや、はっきり言ってしまえば大嫌いだ。
恋愛物は、主人公とヒロインの間に障害があればあるほど盛り上がる。主人公が障害を乗り越えて愛を貫く様を描くことが主題となるからだ。
だけどあたしは思うのだ。そんなに障害が必要なのか? 本当に必要なのか? 障害がある方が燃えるってことは、結局主人公のことをそれほど真剣に想っていないんじゃないかと思う。障害を乗り越えることだけに焦点を当て、相手そのものへの理解や尊重が欠けているように思えてならない。
逆に障害のない恋愛ものはどうだろうか。本当の気持ちを言えず、自分の本音を押し殺して、表面的な関係だけを維持し続ける。お互い傷つかないように言葉を選んで、相手の望む姿を演じ続ける。
そうやって作られた偽物の幸せの中で、主人公は果たして幸せなんだろうか? 少なくともあたしには、全然ハッピーじゃないように思える。心の奥底にある感情を押し殺し、相手に合わせるだけの関係は、本当の愛とは言えないのではないだろうか。
だから本当に小説の恋愛は成り立つのだろうか。という疑問しかない。
でも、そんな作品があるなら、とても素晴らしいことだと思う。登場人物たちが互いの個性を尊重し、心の奥底で繋がり合えるような、そんな恋愛小説に出会ってみたい。