・宇加部 由良
インタビュイー:2-Cクラスメイト
インタビュアー:柴野江 あやめ
「由良さん? いい人だよー」
「勉強も教えてくれるしね」
「ねー」
「カラオケとかも誘ったら来るし」
「いつもは委員会であんまり予定合わないこと多いけど……なんの委員だっけ」
「図書委員、図書委員」
「あーそうそう。だけど、特に仲いい人はこのクラスにはいないっぽいかな」
「そういえばそうだねー。不思議だね」
「なんか物腰が丁寧だよね、もしかしてお嬢様かも」
インタビュイー:柴野江 あやめ
インタビュアー:
「どうして最初ついてきてたのか……ですか?」
「なんか、気になったんですよ。不思議なオーラというか、ほっとけないというか……」
「それで、魔法少女だとわかったのは後からですね。魔力が少ないし、制御されてないので新人だとは思いましたけど」
「あ、はい。そうです。思い出してきたんですよ、あの日のこと」
「今思えばどうして忘れてたんだろうって感じなんですけどね」
「……他にもあるんです、気になった理由」
「何かが、何かが私と同じというか。うまく説明できないんですけど」
「きっと私と由良ちゃんは、会うべくして会ったというか、そんな感じがします」
・柴野江 あやめ
インタビュイー:1-Aクラスメイト
インタビュアー:宇加部 由良
「元気だよー」
「元気だねー」
「バレー部もやるし魔法少女もやるってすごいよねー」
「確か紫陽花だよね! すごいかわいいドレス!」
「本人はちょっと恥ずかしいみたいだけど……」
「でもあんまり魔法少女の話はしたがらないよね」
「怪人と戦うのは平気みたいだけど、なんでだろうね」
インタビュイー:柴野江 あやめ
インタビュアー:宇加部 由良
「魔法について? いや、だって魔法少女といったらビームじゃん」
「どういうことって……ミラシン(女児向けアニメ「ミラクル・シンフォニアス」の略。現在は第12部が京代テレビ日曜朝9:00~9:30に絶賛放送中。)第2部の主人公ミラクルの必殺技だよ! いやガードもだよガードも! なんでシンプルかって言うと、最初魔力を全然持たなかったミラクルが修行の果てにやっと習得した技がこのビームだからってちょっとちょっとまだ話し終わってないから由良ちゃんも絶対話聞いたら好きになって観たくなるっていや観るなら断然最初の第1部から見るのがおすすめなんだけど私個人的にはミラクルちゃんが一番好きで」
「あ、時間だからごめん! 先生に怒られちゃうから教室帰るね!」
・交通三姉妹
インタビュイー:交通三姉妹
インタビュアー:
「わたくし達にインタビュー? なぜですの? ……まあ構いませんけれども」
「私たちの主な役目は避難誘導だな。
「……『魔法を車両などにかけては危ないだろう』って? わかってて聞くなよな!
「そしていざとなれば複合魔法の【信号違反】で怪人を倒すことも可能だ。少々手間はかかるがな」
「さすがに攻撃力では他の
「他に質問は? ああ、止まっている怪人に【交通違反】をかけられない理由か」
「確かに、『最低速度標識』というのはある。高速道路に設置されていることが多いな。それを使って怪人が止まっていても進んでいても【交通違反】をかけられれば良い……その通りだ」
「理由は2つありますわ。まず、『最低速度標識』は渋滞時や一時停止などやむを得ない場合の停止を妨げるものではございません。これは当たり前ですわね。ですが、それをわたくし達が認識している以上怪人の停止を【交通違反】として取り締まることは難しいのです」
「あと、これは完全に私個人の感覚でしかないのだが……なんというか、ズルじゃないか?」
「わかってはいるんだ。怪人との戦いに卑怯も何もないことは。だが……車両という便利だが危険な道具を前に人類が必死に考案・構築したのが道路であり標識であり信号であり交通ルールだろう。そこには一定の敬意が払われるべきで、怪人を殺すためだけに悪用をしたくないのだ」
「
「まあ、怪人にも真摯になってしまう
「つくづく良い妹たちを持ったものだと思うよ。ああ、最後にこれだけは言わせてくれ。魔法少女の力の源は人々の希望だが、魔法のあり方はその魔法少女に強く影響される。たとえ魔力が強くとも、本人が自分を抑圧していたり、後ろめたく感じているとどこか魔法にセーブがかかってしまう。強く自分を持ちたまえよ、
・
インタビュイー:柴野江 あやめ
インタビュアー:宇加部 由良
「
「近くに
「ちょっと変な子だけど優しいよー。でも、怪人と戦うときはすごい強いけどね」
「もうね、問答無用で即座に凍らせちゃうの! それで凍ったところからバキンバキンって!」
「ただ、寒いのはそんな好きじゃないんだって。好きなのは雪だけって言ってた」
「あと他に? うーん……
「いや本当に。由良ちゃんも、あの子の前では迂闊に話を振らないでね。止まんないから」
・
インタビュイー:
インタビュアー:とある職員
「まあ、座りたまえよ。どうぞ楽にしてくれ」
「それで、
「ああ、ああそうだな。確かに彼女は怪人撃墜数ランキングの第10位だし、強力な魔法を用いて怪人を屠ったことは多数ある」
「だが君も知っての通り、彼女の真価はそこにはない」
「魔法を用いた圧倒的な調査能力。怪人の特殊能力や弱点を即座に見抜く。条件がそろえば次に怪人が出現しやすい地点の候補をリストアップする。その働きは魔法少女100人分にも相当すると言っても過言ではないかもしれんな」
「うむ。最近出現し始めた特殊防護型怪人……通称"ルール型怪人"にも彼女の魔法は有効だ。何しろ、どのようなルールでどうすれば攻撃を通せるのかをあっという間に調べ上げてくれるからな。彼女には感謝してもしきれない」
「そんな彼女が、少し精神的に不安定になっているだと?」
「表面上は明るく振る舞っているが、他の魔法少女との連携がうまくいかないことが多くなった、そして報告書にも謎の不備が見られることがあると」
「……やはり、彼女には負担をかけすぎてしまっているのかもしれんな。わかった。留意して、彼女を呼び出す案件を減らすようにかけあってみよう。彼女の魔法の希少性ゆえとれる対策は多くは無いが、引き続き魔法少女への全面バックアップは惜しまないつもりだ」
・
インタビュイー:
インタビュアー:
『彼女は……苦しんでいます』
『私は知っています』
『彼女の罪を』
『それが余りにも虚しいことを』
『ですが、彼女は私を救ってくれた』
『救ってくれたのが、彼女なのです』
『ですから、私だけは彼女の味方です』
『──たとえ、世界が忘れ去っても』
『彼女は今、彼女自身から目を背けています』
『私には救えません。私にはできないことです』
『でも、もしかしたら……あの子なら』
『彼女を救うことが、できるかもしれない』