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第36話 〝凝〟を怠るなよ


「はあ……」


 ため息と共に、俺は通路側の席に座った。窓側の席には、トアリが座っている。


「はあ……」


「ちょっと城ヶ崎じょうがさきくん、ため息吐くと幸せが逃げますよ?」


 トアリの声は笑っていた。今の俺にはツッコム気力は無い。


「はいはい……。ちょっと休ませてくれ……」


 新幹線が動き出した。一時間半後、京都に着く。それまでに何とか立て直しておかねば。


(って思ってんだけどな……)


 絶対何か起こるだろこれ。新幹線内でとんでもない何かが。


(くそ……ゼッテー起こる……。俺には分かるんだよ……。トアリか加藤かとうを起点にしたトラブルが、な……)


 俺はそれを最小限に抑えるため、京都に着くまでの間、警戒心を怠らないよう身構えた。




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