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第29話 作戦会議をしよう!


 緊急事態発生。

 トアリは課外授業の準備すらしていなかった。

 このままだと課外授業出席は物理的に不可能、なのだとか。


「ってなわけで……」


 昼休み、俺はトアリと一緒に下校することになった。


「昼食取るためにいちいち家帰ってんじゃねーよって言いたいとこだけど、今はまあ見逃してやる。それより明日の課外授業だ」


 俺とトアリは校舎から校門に向かってグラウンドを歩いていた。


「まずトアリ、家帰って昼食取ってこい。んで、俺は例の喫茶店で弁当食べて待ってるから、ちゃんと来るんだぞ。そこで作戦会議だ」


「ふふっ。ぼっちめし二日連続ログインですね」


「毒飛ばしてる暇あったら作戦考えようか! 課外授業行きたいっつったよな!」


「ああ、そのことなら、行きたいけど、行ったら負けかなーって思い始めて」


 なに言ってんだコイツは。


「……いいから作戦会議すっからな。そのために五時限目からサボるハメになってんだから」


「まったく、しょうがないですよねー」


「そりゃオマエだっつの!」


 いつものやり取りをしながら校門に差し掛かった時だった。


「あれ? 城ヶ崎じょうがさきさん?」


 と、呼び止められた。鞘師さやしなるみだった。セーラー服姿で今日は手ぶらだ。


「なるみちゃんこそ、何でここに?」


 俺は立ち止まった。するとトアリは、なるみちゃんの横に立ち、やれやれといった感じでため息を吐いた。


「実はさあ、城ヶ崎くんがどうしても私に課外授業に来て欲しいって聞かなくて。まあまだ私以外に友達居ないからしょうがないよねー」


 しょうがないのはオマエだオマエ。


「ああ、そういうこと」


 なるみちゃんは察するように言った。


「大体分かったから大丈夫だよ、城ヶ崎さん。あっ、私はいつもお姉ちゃんが昼食取る時、一緒に家に帰ってるの。その付き添いなんだぁ」


 へえ、と俺は声を出した。


「それはそうと、なるみちゃん。実はトアリのやつ、課外授業行くことになったんだよ」


「ええ? そうなの? 破滅は?」


 破滅は? ってなに? なんでそう当たり前のように破滅出来ると思ったの?


「は、破滅はしてないよ」俺は答えた。


「そーなんだ、やっぱり教頭先生が立ちふさがったんだね」


 またそれええええええ?

 どんな教頭なの?

 なんでなるみちゃんにまで教頭の凄さ伝わってんの?

 そこまでキーパーソンなワケ?


「そもそも誰も破滅させようとしてないって(※破滅組織が動いてましたが城ヶ崎は知りません)。トアリも考えが変わってたみたいだし」


「へえ……。とりあえずお姉ちゃんも課外授業に参加するってことなの? 準備もしてないのに?」


「そーそ。んで慌てて準備&作戦会議しようってわけ」


「あー……」


 と、なるみちゃんはポカンと口を開けたまま何度も頷いた。


「じゃあさ、私たちの家でしない? その作戦会議」


「なに言ってるのなるみ!」トアリは叫んだ。「あれほどゴキブリは家に入れないようにって言ったのに!」


 誰がゴキブリだ。


「大丈夫だよ、お姉ちゃん。城ヶ崎さんはその辺のゴキブリと違って汚染されてないから」


 なるみちゃんゴキブリ否定し忘れてるよ! それともゴキブリ認定済みで言ってる? 違うよね? 忘れてるだけだよね?


『皆さん、極悪非道六神ろくしんじゅうに気をつけて昼食を取りましょう!』


 ここで六神獣来たあぁ!


「しょうがないなあ。城ヶ崎くんは特別に入れてあげましょうか」

「そうそう。大丈夫だよ城ヶ崎さんなら」


 姉妹揃ってまさかの六神獣スルー? こっちも認定済みだから?


「でもなるみ、城ヶ崎くんが私たちの家に入って大丈夫かな? 城ヶ崎くんがあのセントラルドグマを突破できるとは思えないけど」


 セントラルドグマって何?


「大丈夫だよお姉ちゃん。城ヶ崎さんならあそこを爆心地にしないから」


 爆心地ってどういうこと? 爆発すんの?


「じゃあ行こうか、城ヶ崎さん」


 いや聞きたいこと山ほどあるんだけど。


「ほらさっさと行きますよゴキブリ六神獣(城ヶ崎くん)」


 逆だし誰がゴキブリ六神獣だ。


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