「あっ、先生! 私の席は何処ですか?」
「そうですねぇ。空いている席はありませんから、しばらくは自分の好きな場所に机を置いて授業を受けなさい」
「分かりました!」
加藤は風のように教室を出て、十秒もしない内に机と椅子を持って戻ってきた。
「じゃあ先生! 私、好きな所で授業を受けますから!」
加藤は机と椅子を持って、教室内を移動する。
(もういいや、ツッコムのめんどくせえ……。いいから早く授業始め――)
ドスン! と加藤は椅子と机を置いた。
そこは、俺の右隣であった。
「先生! 私はここで授業を受けますので!」
「はい分かりました。では始めましょうかね。皆さん、教科書を出して――」
授業が始まった。
左には
俺は、フルアーマー系女子と、五月蠅くてめんどくさい系女子に挟まれる形となった。
(え、ええええええええええええ?)
なにこの魔のハンバーガー状態? 地球上で俺ぐらいじゃない?
こんな窮屈な場所で授業受けるの。
「せ、先生!」俺は立ち上がった。「俺、席移動してもいいですか?」
「駄目」
即答?
「
それ以上の通常の環境ですが。それ以上こそ通常の環境ですが。
「最近の若者は贅沢だ。檻の中で一羽だけ暮らし、寂しくて死んじゃうウサギのことを考えなさい、城ヶ崎くん」
いや寂しくなって死んじゃうウサギ以上に死にそうなんですけど。
「いとをかし(死ねばいいのに☆)」
テメー(クソボケフルアーマー系バイオ女子)は黙ってろやあぁ。
「はい、じゃあ改めて始めます。もう授業に関わること以外の質問はしないように」
怒った様子で言うと、数学教師は授業を再開した。
(ぐぐぐっ……。何で俺だけ辛抱するしかない感じになってんだ……。くそ……。仕方ない……加藤の席が決まるまで我慢だ……)
様々な激情を堪えて、俺は大人しく授業を受けることにした。