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第22話 数学教師も変人かよ


「あっ、先生! 私の席は何処ですか?」加藤かとうは言った。


「そうですねぇ。空いている席はありませんから、しばらくは自分の好きな場所に机を置いて授業を受けなさい」


「分かりました!」


 加藤は風のように教室を出て、十秒もしない内に机と椅子を持って戻ってきた。


「じゃあ先生! 私、好きな所で授業を受けますから!」


 加藤は机と椅子を持って、教室内を移動する。


(もういいや、ツッコムのめんどくせえ……。いいから早く授業始め――)


 ドスン! と加藤は椅子と机を置いた。

 そこは、俺の右隣であった。


「先生! 私はここで授業を受けますので!」


「はい分かりました。では始めましょうかね。皆さん、教科書を出して――」


 授業が始まった。


 左には鞘師さやしトアリ、右に加藤律子りつこ

 俺は、フルアーマー系女子と、五月蠅くてめんどくさい系女子に挟まれる形となった。


(え、ええええええええええええ?)


 なにこの魔のハンバーガー状態? 地球上で俺ぐらいじゃない?  

 こんな窮屈な場所で授業受けるの。


「せ、先生!」俺は立ち上がった。「俺、席移動してもいいですか?」


「駄目」


 即答?


城ヶ崎じょうがさきくん、贅沢を言っちゃあいけない。加藤さんと鞘師さんの間で授業を受けられる……それ以上の何を望むと言うんですか?」


 それ以上の通常の環境ですが。それ以上こそ通常の環境ですが。


「最近の若者は贅沢だ。檻の中で一羽だけ暮らし、寂しくて死んじゃうウサギのことを考えなさい、城ヶ崎くん」


 いや寂しくなって死んじゃうウサギ以上に死にそうなんですけど。


「いとをかし(死ねばいいのに☆)」


 テメー(クソボケフルアーマー系バイオ女子)は黙ってろやあぁ。


「はい、じゃあ改めて始めます。もう授業に関わること以外の質問はしないように」


 怒った様子で言うと、数学教師は授業を再開した。


(ぐぐぐっ……。何で俺だけ辛抱するしかない感じになってんだ……。くそ……。仕方ない……加藤の席が決まるまで我慢だ……)


 様々な激情を堪えて、俺は大人しく授業を受けることにした。



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