「はい皆さん、席に着いて下さいねー」
と、眼鏡をかけた白髪の男が教室に入ってきた。一限目の数学を担当する教師だ。続いて何故かあの
「……は?」
俺が首を傾げた時、キーンコーン……とチャイムが鳴った。その間、加藤律子はずうっと俺だけを敵視するよう睨み付けていた。
「はい、では数学を始めます。と言いたいところですが、その前に新しいクラスメートを紹介します」
数学教師は言った。すると加藤が咳払いをし、偉そうに腕を前で組んだ。
「私が一年生にして生徒会副会長の座に君臨した超優等生、加藤律子よ! 生徒会副会長という尊き権力を行使してこのクラスに入らせてもらったわ!」
ふんっと誇らしげに鼻を鳴らす加藤に、ざわつく教室。
「このふぬけたクラスを徹底的に鍛え上げます! 覚悟しなさい!」
加藤は鋭く速く俺を指差して、
「特に
「はあ? 何で俺――」
「うるさい! クラス委員長如きが誇り高き生徒会副会長に口出ししないで! もうこの高校では生徒会副会長>>>>>>>ウサギ>>>>>>>>>クラス委員長が確立されてるから!」
何をどうしたらそうなった。てか何で間にウサギ挟まってんの?
「説明してあげるわ! 何故、間にウサギが入っているのか、皆さん気になっているんでしょう?」
まあそうだけど、まずおまえがクラスメートになった経緯を具体的にだな。
「ウサギは可愛いの! 寂しいと死んじゃうの! 私はそんなウサギが大好きなの! だから間に入れてあげたのよ!」
ただおまえの趣向を挟んだだけじゃねーか。それだけで俺がウサギ以下の存在になったの? 納得いかないんだけど。
「ああそれと、私がこのクラスに入った理由は趣味よ!」
どんな趣味?
「どうやったのかは、ちょっと校長先生を締め上げ――あっ、内緒よ!」
校長ぉ! おまえ貴重な校長になにしやがったマジで。
「まあこんなところよ!」
どんなとこだ。
「はい自己紹介ありがとうございました」数学教師は言った。「では始めましょうか」
何で何事も無かったかのように始めようとしてんの? 教師として校長の安否とか気にならないわけ?