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第13話 コンビニ(sideМ)


 こんばんは。

 皆さん、ご機嫌いかがですか?


 ボクはこれから黒のジャージ姿で、コンビニに弁当を買いに歩を進めているところです。

 もうすぐ夜の七時を回りそう。ちゃっちゃと買って、ちゃっちゃと帰らないと。


 え? あんた誰だって?

 ほらほら、覚えてない?


 今日、鞘師さやしトアリさんのとばっちりを受けたメガネです。

 覚えてるよね?


 牛乳瓶の底のようなメガネをかけた男子ですよ。

 ええ、鞘師トアリさんのとばっちりを受けて最前列になったメガネです。


 一応、早乙女さおとめ勇気ゆうきって名前があるけど別に覚える必要はありません。

 鞘師トアリさんのとばっちりを受けた(これ何回言うんや)メガネ、という認識でオッケーです。


 別にとばっちりを受けたことに対して根に持ってませんよ?

 ホントだよ?


「夜は冷えるなあ……」


 呟きながら、ボクはコンビニに入った。そして何気なく本のコーナーに目をやると……、


「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ……」


 何やらブツブツ言ってる男子が目に入った。雑誌を立ち読みしてる。その、少し髪を茶色く染めた男子は、よく見るときよキラのワッペンが付いた制服を着ていた。


(……あれは……)


 ボクはようやく認識した。彼が城ヶ崎じょうがさきくんであることを。


 城ヶ崎くんは、クラスでは良くない噂が立っているけど……。下校する時、下駄箱で「席替えのことは気にすんなよ」とボクに声をかけてくれたので良い人だと思います。

 皆は誤解してるようだけど。


(なにしてるんだろう……)


 声をかけようと、城ヶ崎くんに近づいた時だった。


「ふっふっふ……。俺はもうエリートなんだ。ほらこの清キラ高校のワッペンを見るがいい凡人どもよ。俺は普通じゃない、エリートエリートエリート……」


 などと、ぶつぶつ言ってるのが耳に入り、ボクは立ち止まった。


(え、ええええええええええええええ?)


 じょ、城ヶ崎くん?

 どうしたの?

 なんか様子がおかしいけど?


「何でさっきから粘ってんのにエリートって指さされないんだろ」城ヶ崎くんは立読みしながらまだ呟いている。「この清キラ高校の制服が目に入らないのかな。もう二時間はここに居るんだけど」


 二時間も粘ってんの?

 清キラの生徒だって指さされるためにそこまでしてるの?

 何がキミをそこまでさせるの?


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