―――オルソ城のイザベルの寝室
「八雲様……」
「―――呼んだ?」
「ウェエッ!?」
突然耳に届いた八雲の返事にイザベルは幻聴を疑う間もなく変な声を上げながら飛び起きて部屋の中を見渡すと、開いた窓の縁に八雲が座っていた―――
「なっ!?ええっ!?ど、どうして……ここに?/////」
自分が名前を呼んで呆けているところを見られたということで、イザベルの頭の中はパニックを起こしている。
そんなイザベルに八雲は、
「―――夜這いにきた」
微笑みを浮かべながらイザベルにそう返したのだった―――
―――窓際から降りて向かってくる八雲を見て、イザベルはあたふたと意味不明のリアクションを繰り返していた。
「よ、よ、夜這いって!?へ、陛下!/////」
ベッドの上で座り込んだまま狼狽えて顔を真っ赤にしながら八雲を見つめるイザベルに、八雲はベッドの縁まで来て近づくとその上に膝をついてイザベルに近づく―――
「この国には昔から伝統的に男が女のところに『夜這い』を掛けるというものがあると聞いたんだが?違ったか?」
「そ、それは!?た、たしかに、そういう風習は……昔からあるとは……聞いたことがあるけど……/////」
イザベルは赤い顔のまま夜這いの風習を肯定した。
ウルス共和国では人口の減少を危惧した先人達により、この国特有の『夜這い』という風習を広めていき、国の国力低下と人口減少を止めようとした時代がある。
しかし、無差別に夜這いが横行すればウルス共和国は性犯罪者が増加するのは目に見えている。
そこで、この国の『夜這い』というのは予め夜這いを掛ける女性と、その父が認めた男でなければ実行してはいけない決まりになっているのだ。
その後の婚姻関係の締結に関係無く、女性とその父親が認めていれば『夜這い』は成立する。
子供が出来れば女の家で育てることとなり、男は子の産まれた家に獲物や収穫した作物を納めるのが伝統なのだ。
因みにこのルールを無視して女を犯したり、襲ったりすると国中の男達から軽蔑と謗りを受けながら袋叩きにされて殺されても文句を言えないのだ。
そして八雲の場合は父親であるバンドリンからこの伝統を説明され、娘に『夜這い』をして欲しいと願われたのだった。
「それって……やっぱり……父上が?/////」
近づいた八雲に恐る恐る問い掛けるイザベルに、八雲は笑みを浮かべながら答える。
「伝統のことはバンドリンから聞いたよ。でも俺、言わなかったか?どうすればこの国の王の娘が俺を好きになってくれるのか?それを現在進行中だって」
「そ、それはっ?!あんなの……私を揶揄ための……方便でしょ?/////」
シーツで身を包んで赤い顔のまま八雲に上目遣いで問い掛けるイザベルの瞳は、自分ではそう言っておきながらも八雲にその言葉を否定して欲しいと訴えかけていることが分かるほど、期待と不安に揺れ動いていた。
「イザベル……俺はお前が欲しい」
「ヒィヤッ!?/////」
「お前の国を想う心も、親を想う心も、懸命に生きる道を探していく意志も、他にもイザベルはたくさんの魅力を持っている」
「へ、陛下!?その……わたしなんか/////」
イザベルはノワールを始め八雲の周りにいた多くの美女、美少女の姿を目にしている。
きっと国元に戻ればもっと多くの美女達が八雲のことを待っているのだろうと、そんなことも考えていた。
だが八雲はイザベルをひとりの女性として、その魅力に魅かれていたからこそバンドリンの娘を想う気持ちにノッたのだ。
「伝統では父親と娘、その両方に認めてもらえなければ、成立しないんだよな?だったら―――イザベルの気持ちを教えてくれ」
八雲のその言葉にイザベルは出会ってからの短い時間の中で、八雲が行った奇跡の様な力もそうだが、今、こうして自分のことを見て部屋に現れた八雲の言葉に背中を押されたような気持ちになり、そして―――
「あなたのお傍に、行きたいです!!私は―――あなたと一緒にいたい!!!」
―――胸の中で膨らんで、瞳を潤ませながら収まり切らなくなった自分の気持ちを口にしたのだった。
「分かった。これで夜這いは成立だな」
「あっ……んっ/////」
そう言って顔を近づけた八雲は、イザベルの唇をそっと優しく塞いでいくのだった―――
それから―――お互いに着ている物をすべて脱ぎ捨てて、産まれたままの姿になって抱き合うふたり。
「んっ……ンン……んちゅっ……ハァハァ……アンッ♡/////」
ベッドの中でお互いに抱き合いながら、長いキスを何度も続けるふたりは、次第に唇を開いて舌を絡ませることにも躊躇しないほどに相手を求める気持ちが大きくなっていく。
「ンッ……ちゅっ……キス、好きか?」
「んちゅ♡……いやっ?!あの……その……は、はい/////」
何度も唇を求めてくるイザベルの姿が可愛くて、つい意地悪をして問い掛けた八雲に、イザベルは恥ずかしそうにしながら答える。
普段はポニーテールにしている茶色の長い髪は、今は下ろしているので女性らしさが引き立ち―――
潤んだ青い瞳は、強気なツリ目の時とは違い、どこか儚げで不安と期待に満ちた輝きを見せていて―――
―――寝間着を脱ぎ捨てた下からは、農園で剥き出しになっている顔や胸元、両腕、両脚は健康的に日焼けしているが、服で隠れていた部分は地肌の白いスベスベとした肌がコントラストを描いていた。
「綺麗だ、イザベル」
八雲がキスを繰り返しながら耳元でそう囁いてやると、
「いや!私なんか……肌も焼けていて、まともにドレスなんかも着られないくらいだから……」
八雲達を迎えた際の食事会でも、バンドリンからドレスを着ろと言われたが、自分の日焼け跡に合うドレスが無くて結局普段着で参加していたのだ。
「ドレスもいいけど、俺の故郷では日焼けした女性は健康的で活発な女性の証しなんだ。だから俺は日焼け痕なんか気にしないぞ?むしろその日焼けとの境界線がエロくていいくらいだ」
「エロッて?!そ、そう……なんだ……/////」
自分のコンプレックスをどんな形であれ褒めてくれる八雲に、イザベルの気持ちは益々傾いていく。
「それに日焼けするくらい太陽の下でイザベルが頑張ってきた証しだろ?だったら気にするな。俺は―――そんなイザベルが好きだぞ」
「ヒュエッ!?―――す、好き?……私を?……陛下が?/////」
「好きでもない女に夜這い掛けようとするような男だとでも思ってたのか?」
「い、いや、そうじゃなくてっ?!そ、そんな風に、素直に……言ってもらえる……なんて、思ってなく―――ヒャァアアッ!!!/////」
ゴニョゴニョと言い出したイザベルの胸に手を持っていき、優しく揉みながら『神の手』スキルを発動した八雲。
「なっ、なにっ、これぇ!?―――アッ……んんっ♡……なんだか……温かくて……ンンッ♡……気持ち……いい/////」
胸から伝わる温かさと、そして快楽を受け止めたイザベルは、今までに自分で触れても感じたことのない感覚が全身を走り抜けていた。
「大丈夫だ、イザベル。全部、俺に任せて身体の力を抜いて」
「んあっ♡……う、うん……わかっ……た……ハァハァ……あんっ!/////」
ゆっくりと胸を揉み回されて、快感の波に呑まれていくイザベルを見て、八雲は反対側の日焼けしていない白い胸の先っぽで、プックリと自己主張を始めているピンク色の突起にそっと吸いついた。
「ンンアアアッ!!―――ダ、ダメッ!……そこはっ……ンンッ……アアア~♡/////」
『神の手』を纏った舌先にイザベルは、最早抗うことなど考えていない。
(こ、こんな、恥ずかしい、ことなのに!か、身体が、陛下に、八雲様に逆らえないよ……もっと、もっとして欲しい……もっと気持ちよくして欲しい……)
背中を軽く仰け反らせながら、自らの胸を八雲に差し出すように身をくねらせるイザベル。
「んうっ♡……ああっ……あん……んあっ♡ そこ!……あっ!あっ!あっ!―――ンウゥウウ―――ッ!!!/////」
そんなイザベルに八雲は指を律動していく。
「ああっ♡……や、やくも、さま……まって……も、もう―――ンンンンゥウウッ!!!//////」
「イザベル。心配しなくても、俺には女性を気持ち良くするスキルと『回復』の加護がある。だから痛みなんて感じさせない。むしろ気持ちよくなれるようにするから、俺を受け止めてくれ」
―――イザベルの涙の浮かんだ青い瞳を見つめながら、そう囁く八雲。
真剣な八雲の表情に、イザベルは―――
「はい……わかりました。どうぞ、八雲様に、お任せします/////」
―――目の前にいる自分が好きになった男のものになりたいと願った。
「わかった。ゆっくり―――いくぞ」
イザベルの上に重なった八雲を感じ取ると―――
「クウゥッ?!―――アッ!ホントに、くる……ハァハァ……ンンアアアッ/////」
―――そして、そこからは熱く乱れるふたりの身体が薄暗い寝室の中で蠢いていく。
汗に塗れながらイザベルの熱い吐息と嬌声が響き、その声を上げる唇を塞ぐように舌を絡める八雲―――
―――八雲の『神の手』から与えられる快感がイザベルの全身を包み込み、初めてとは思えないくらいに感じていくイザベルを見て、八雲の欲望も身体の奥から湧き上がってくる。
「クッ!―――イザベル!!」
最後に八雲の放たれた欲望と愛情を受け止めて重なった身体を抱き締めるイザベルの下腹部には、仄かに輝く『龍紋』が浮かび上がってきた―――
「ああ……ハァハァ……アウゥ……/////」
―――いつまでも快感が続くイザベルは、只管に八雲をギュッと抱きしめて離さない。
そんなイザベルの恍惚とした表情を見つめていた八雲だったが―――
「ああ……最高……イザベル……もう一回、いいよな?」
―――そう告げると同時に、腰を再起動させる八雲。
「ふぇええ!?アッ♡ や、やくも…ンンッ!…やくもさまぁあ♡! あっ♡ あっ♡ そんなっ……ま、また―――/////」
その夜、空が明るくなるまで、イザベルの嬌声が鳴り止むことはなかった―――