目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
第115話 再会

―――黒龍城の広い庭に着陸して外部装甲が開き、そのままタラップとなったそれを使って地上に降り立つ八雲。


漸く黒龍城へ戻ったと実感している八雲だったが、高い位置にあるテラスから見られていることには気づかなかった―――


テラスから見下ろす雪菜とイェンリン、そして紅蓮と白雪がいる。


アリエスは当然、主の出迎えのために黒翼シュヴァルツ・フリューゲルの着陸した場所まで出向いている。


「八雲……本当に……八雲なんだ……」


テラスから顔を出して下を見下ろすと、そこには漸く会うことができる幼馴染であり初恋の人であり、初めての純潔を捧げた男でもある九頭竜八雲が瞳に映る。




―――日本で突然行方知れずになった八雲。




―――行先を探しても見つからず絶望的な想いをした雪菜にとって、更に重なったこの異世界への転移。




―――まったく何も分からない世界に放り出されて、そんな雪菜の前に現れた一匹のドラゴン。




―――白神龍スノーホワイト・ドラゴンによって救われた雪菜の元に偶然届けられた八雲の消息。




その居場所を知って居ても立ってもいられなくなった雪菜は、フロンテ大陸南部スッドの最南端アルブム皇国からいくつもの国を超えて此処までやってきたのだ―――




そして今、


その苦労がようやく報われようとしているのだ。


雪菜の瞳にはいつの間にか涙が今にも零れそうなくらい溜まっていた。


その姿を隣で見ているイェンリンも、今はなにも言わない。


世界を分かたれていたふたりが、こうして再び巡り合えることなど奇跡としか言いようがない。


でなければ大いなる存在に仕組まれた壮大な計画としか思えないこの再会は、イェンリンにも想うところがあるのだ。


愛する者と結ばれる為に多くの苦難を乗り越えた自身の経験がイェンリンの脳裏に回想される。


そのことを知るのは数百年前にその場にいた紅蓮と、旧知の仲だったノワールに義姉妹の契りを交わした紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリー達だけだ。


八雲には言いたいことが山ほどあるイェンリンだったが涙を溜める雪菜を見てしまっては彼女の再会を優先しようと、そう思っていた矢先―――


「こ、子供……」


―――八雲の後から子供を抱いた褐色の美女を見て雪菜の表情が固まる。


シェーナを抱っこしたノワールの姿を見て雪菜が固まったことでその場の空気が変わる―――


だが、その後も赤い髪のお姫様のようなドレスを着た美少女と金髪のお姫様のようなドレスを着た美少女、更に修道女の服を着た金髪の美少女に巫女服を着た狐耳の獣人美女、そして金髪の巨乳エルフがふたりも降りてきた時点で雪菜の鼓動は止まった……


最後には美女の集団龍の牙ドラゴン・ファングまで次々と地上に降り立ち、そこにはもう美女に囲まれる八雲といった『ハーレム空間』が出来上がっていたのである……


これにはイェンリンも紅蓮も白雪も開いた口が塞がらず、イェンリンが―――


「……八雲のヤツ、いつの間に―――」


―――そう呟いた瞬間、


雪菜が踵を返して城内に走り去っていくと白雪が慌てて追いかけようとするが、


「今はひとりにしておけ、白雪。人の心は癒すにも時間が必要だ」


と、イェンリンが追いかけようとしていた白雪を制止した。


「……しかし、八雲には乙女を傷つけた代償は負ってもらわなければな」


そう言ってテラスの手摺りの上に立ち上がったイェンリンは、自身の『収納』から魔剣『業炎ごうえん』を取り出すとゆっくり鞘からその真紅の刀身を抜き放つ―――


「……フン!!」


手摺りの上で踏ん張った瞬間その場から姿を消し、放たれた矢の如く八雲に向かって飛翔していった―――






―――ようやく地上に降り立ち、戻ってきた者達と帰還を喜んでいるところに、


常に発動するようにしている『索敵』スキルから武器を持った存在の接近を報せる警告の感覚が脳裏に激しく送られてきた八雲。


一瞬で『収納』から取り出した黒刀=夜叉と黒小太刀=羅刹を両手に握り締め、その敵の一撃を迎え撃つと剣戟の火花が散る目の前に現れたのはなんと―――


「なっ?!イ、イェンリン!?―――グゥ!!!どうして!?」


空中から振り下ろされた業炎を辛うじて夜叉と羅刹を交差して受け止めた八雲の目の前にいるのはフロンテ大陸北方ノルドの超帝国ヴァーミリオン皇国の覇王、その皇帝にして剣聖―――炎零イェンリン=ロッソ・ヴァーミリオンだった。


「―――イェンリン様!!お約束が違います!!!」


そしてアリエスの叫びに今度はノワールを始め周囲の皆が驚きの表情を見せる。


「……余の今の一撃に反応して受け止めるとは、それなりにLevelは上がったようだな。オーバー・ステータスに到達したか?」


涼し気に声を掛けているがギリ!ギリッ!と擦れ合う刃。


そんなイェンリンが片手で押さえつけてくる剣から掛けられているのは数トン近くの重さに相当する力であり、それが八雲の身体に圧し掛かっている。


反応して即座に『思考加速』『身体加速』『身体強化』まで発動した八雲ですら、二刀で支えていなければ真二つに両断されてしまってもおかしくはない状況だった。


突然の刃傷沙汰が展開されて悲鳴を上げたヴァレリアやシャルロット達に対して即座に黒盾=聖黒を出して姫達の前に立ち護りに入るユリエル。


葵や龍の牙ドラゴン・ファング達もそれぞれノワール・シリーズを構えてイェンリンを取り囲んでいく。


「ほう♪ 面白い……お前達も余と遊びたいのか?龍の牙ドラゴン・ファング達よ♪」


八雲を押さえつけて不敵な笑みを浮かべるイェンリンは、空いている左腕を素早く周囲のクレーブス達に振り翳すと、


その瞬間ドゴォオオ―――ッ!!!と轟音と同時に地面が土煙を上げながら真横に裂けた。


「剣聖技……真空刃ホロウ・ブレイド


クレーブスが思わず息を呑み、そう囁く。


「クックック♪ 乙女を泣かせるようなコイツの味方をするというのなら、余も容赦せずにお前達の相手をしよう」


「はぁ?泣かせる?―――グゥッ!!一体何のことだ?誰が、泣いているんだ!」


業炎の重さに耐えながら問い掛ける八雲に、それまでニヤついて歪んだ表情だったイェンリンが真剣な表情に戻った。


―――その時、


黒龍城のテラスから紅蓮と白雪が地上に飛び降りてくる。


「紅蓮!それとお前―――白神龍スノーホワイトか!?」


シェーナを抱いていたノワールだったが紅蓮は兎も角として大陸南部を縄張りとする白神龍がこの場にいることに驚きを隠せないでいた。


「お久しぶりね。今は白雪よ。そう呼んでくれるかしら」


「―――そうか、お前も御子を迎えたのだな。我はノワールだ」


「ええ、聞いているわ。でもその御子はイェンリンに斬られてしまうから、その名前はまた変わってしまうでしょうね」


「……どういう意味だ?」


白雪の言動に一気に空気の変わるノワール。


その間に紅蓮が割り込む。


「ちょっと落ち着きなさい!!貴女達、仲良かったでしょう?誤解があるかも知れないじゃない。ちゃんと話し合いましょう!ね?」


「―――誤解?一体何のことだ?」


首を傾げるノワールに紅蓮が訊ねる。


「ねぇノワール、そちらにいる女性達は八雲さんとどういう関係かしら?」


紅蓮が手を差し伸べてヴァレリア達を示すとノワールは―――


「―――八雲の妻達だ!」


―――とあっけらかんと答えた……


「―――エヴリンは違うぞ!!!」


八雲が慌てて訂正を要求すると今度はイェンリンが更に剣への圧力を高めて―――


「―――ならばそれ以外は妻だと認めたなぁあ!」


―――八雲の言質が取れたことで紅い瞳が殺意に染まっていく。


「グウウウッ!!!な、なんだよ!いきなり出て来てぇえ!―――ハッ!……イ、イェンリン、お前、まさか……嫉妬?」


「お前……殺すぅうううう!!!」


八雲の妻達を見てイェンリンが嫉妬したのかと勘違いを口にした途端イェンリンの力が増し、そして八雲の足が地面にめり込み身体中の筋肉がギシッと音を立てながら軋んでいた―――






―――その頃、庭先がそんなことになっているとも知らず、宿泊中に与えられた部屋のベッドの横で床にへたり込み、顔をシーツに埋めている雪菜がいた。


「はぁ……私……何しにティーグルまで来たんだろ……」


白雪に初めて我が儘を言って此処まで着いて来てもらったというのに、あんな美女達に囲まれた八雲を見て心が引き裂かれそうな感覚が胸に走った。


(きっと八雲は八雲で此処に来て色々あって、だからあれだけの綺麗な女の子達と出会って、楽しそうにして……)


そう、これは嫉妬だ―――そう自覚した瞬間あの景色が見ていられなかった。




だからその場から逃げた。


―――八雲に会いたい。




だからこんな想いをしていた。


―――八雲に会いたい。




そしてそんな考えをしている自分が一番惨めだった。


―――八雲に会いたい!




「―――ならば、私がお前を逃がしてやろう」




その言葉に驚いて雪菜が顔を上げると―――


そこには銀髪の後ろ髪だけ長い髪、狐のような耳を持った和服のような服を着た獣人の女が立っていた。


「あ、貴女は!?―――い、一体どこから?いつから此処に!?」


「―――あの男が、お前を裏切ったあの九頭竜八雲が憎いのだろう?ならば私と一緒に来て、あの男に恨みを晴らそうではないか」


まるで人形のように美しく、雪のように白い肌をしていて、それでいて異様な恐ろしさを纏うその女に雪菜は無意識に身を退かせる。


「貴女はなにを言っているの?私が八雲を恨む?どうして?」


「先ほどヤツの姿を見たお前自身が一番分かっているのではないのか?数々の女を侍らせ、お前の期待も希望も裏切ったあの男に恨みがないわけがなかろう?」


その女の冷たい視線が雪菜を貫くと、息苦しくなってきて胸を抑える。


「それは八雲が私を裏切ったことにはならない!弱い私が逃げただけのこと!八雲のことを知らないくせに勝手に私の気持ちを決めないでくれる!!」


すると銀髪の女の黄金の瞳が妖しく光る。


「くだらん……もう問答は不要だ。お前には私と共に来てもらうのだからな!」


妖しく光る女の瞳がさらにその光を増し、同時に雪菜の意識に何か得体の知れないモノが入り込んで来る感覚に陥る。


「これは……なに?……意識が……」


まるで酔っているかのような感覚に囚われて、上下左右、前後の感覚がまったく分からなくなる。


雪菜は振らついて思わず横のテーブルに手を置くが、自身の体勢がどうなっているのかまるで掴めない。


ぐらんぐらんと世界が回っているように揺れているようで頭の中が掻き乱されているような感覚の中、目の前の女の声だけが響いてくる。




【九頭竜八雲を憎め】


―――いや!




【九頭竜八雲を殺せ】


―――いやだ!!




【九頭竜八雲を愛する者達を殺せ】


―――絶対にいやだ!!!




その時―――


―――雪菜の中で『精神耐性』スキルが急激に発動する。


「―――貴女の言うことなんか聞かないぃいい!!!」


雪菜の叫びによって銀髪の女の繰り出した《魅了《チャーム》》の術はパキン!という破壊音と同時に掻き消された。


「クッ!―――未熟でも流石は白神龍の御子か。私の《魅了》を解除するとは……ならば直接攫って行く―――」


銀髪の女がそう言い掛けた瞬間―――


―――ドゴォオオ!!!という衝撃音と共に雪菜の部屋のドアが粉々に砕き飛ばされた。


「雪菜様!!!ご無事ですか!?―――貴様は!どこから侵入した!!!」


部屋の外で雪菜の護衛に就いていた白い妖精ホワイト・フェアリーのダイヤモンドが、雪菜の叫び声に異変を感じて施錠されたドアを蹴破ったのだ。


ひとりでいるはずの雪菜の部屋にどう見ても妖しげな狐の獣人がいれば、護衛のダイヤモンドにとって攻撃対象とするのは当然ある。


「チッ!―――もう面倒だ!!!」


銀髪の女がそう叫び部屋中に蒸気のようなモノが立ち込めたかと思うと、轟音を立てて何かが吹き飛び、テラスに向かっていた窓の部分に大きな穴が空くとそこには―――


【UUUUUUOOOO―――ッ!!!】


部屋いっぱいに唸り声を響かせた巨大な九尾を持った銀色の狐が、気を失った雪菜の首元のコートを咥えて立っていた。


「貴様!!―――雪菜様を放せ!!!」


そこでダイヤモンドが構えると、銀狐は壁に出来た穴から外へと飛び出した。


「―――待てぇえ!!!」


雪菜を咥えた銀狐は落下することもなく、天翔けて空を逃走する。


ダイヤモンドも空中浮揚レビテーションを発動して外に飛び出すと、庭で八雲達と事を構えている中にいる白雪に向かって『伝心』を飛ばすのだった―――






【―――白雪様!申し訳ございません!雪菜様が攫われました!!空を!!!】


その『伝心』を受けて、白雪が空を見ると黒龍城から飛び立つ銀狐が目に入る。


そして、その口元には雪菜が咥えられているのが見えた。


「―――雪菜ぁああ!!!」


叫び声を上げて、その場から一気に空中浮揚レビテーションで空へ飛び立つ白雪。


「エッ!?雪菜って―――ッ!!」


そこで空を駆ける銀狐を見つけて口元に咥えられた人物を見た瞬間―――


「うおっ!?―――八雲!?」


―――イェンリンが仰け反るほどの勢いで魔剣『業炎』を一瞬で弾き返した八雲の身体は蒼白い炎のようなオーラが纏われている。


そして―――


「―――戻ったら事情を聴かせてもらうからな、イェンリン!」


一言だけ言うと八雲は放たれた矢のように空へと飛び立った。


「あれは!?―――天孤!!」


雪菜を咥えた銀孤を見て八雲を追って葵が空に飛び立つとシェーナをレオに預けたノワールも飛び立つ。


「一体何がどうなっておる?」


困惑したイェンリンに紅蓮が、


「―――今は攫われた雪菜さんを救うのが先でしょう!いいの?剣聖の目の前から女の子を攫われるなんてことがあっても!」


紅蓮の言葉に一瞬真剣な表情になったイェンリンが―――


「それは、許せんなぁあああ!!!」


―――鬼気迫る表情で叫びながら空へと飛び立ち、紅蓮もそれに続く。


地上に残された者達は呆然とその様子を見ていたが、


「事情を説明してもらおうか?―――アリエス」


ここでアリエスに次ぐ序列02位のサジテールが、この事情を知っているだろうアリエスに事情説明をするように迫る。


「はい……この件はすべて私の落ち度です」


自身の過ちに打ちひしがれたアリエスは残った者達にこれまでのことを話していくのだった―――






―――空を駆ける銀狐を追跡するダイヤモンド


そのダイヤに矢の如く物凄い勢いで追いついてきたのは―――白雪だった。


「―――申し訳ございません!白雪様」


「……今は雪菜を取り戻すことが先決よ」


普段無表情なことが多い白雪だが長年仕えてきたダイヤモンドだからこそ、今の白雪が燃えるように怒り心頭なことはすぐに伝わってきた。


白雪も白神龍と呼ばれる神龍であり、その絶大な力は他の神龍達に劣ることなどない。


逆に普段冷静なため怒り狂うと国を消滅させるほどの力は余裕で持っている神が生み出した絶対強者なのだ。


―――だが今は攫われた雪菜のことが最優先である。


そんな追跡しているふたりの横を、一瞬にして蒼白い炎が追い抜いていく―――


「なっ!?あれは―――」


「……九頭竜……八雲」


―――銀孤の飛行速度もダイヤモンドと白雪の飛行速度も同じくらい高速で空を飛んでいる。


だが、蒼白の弾丸と化した八雲の速度は他者の飛行速度など寄せ付けぬ神速の域となって前方の銀孤に向かって飛翔する。


そして―――


―――銀孤の腰の辺りに神速の夜叉が深く突き刺さる。


【ウオオオオォオ!!!―――な、なんだ!?どうしてお前がぁあああああ!!!】


「オオオオ―――ッ!!!!!」


刃を突き刺すだけではなく、その神速の勢いで腰から背中まで一気に斬り上げた八雲の刃により痛みと衝撃で叫んだ瞬間、銀孤が雪菜を口から離してしまい彼女は地上へと落下していく。


―――死に掛けの銀孤も地上に向かって落下していくが、八雲にとってはどうでもいい。


地面に向かっていく雪菜に手を伸ばして、自身も急降下する八雲―――


―――銀孤が八雲の刃を受けて叫び声を上げたときに意識が戻った雪菜は、それから放り出されて自分が落下していく感覚の中、その瞳には必死に自分を追いかけてくる八雲の姿が瞳に映っていた。


耳に聞こえる風切り音とその中に響く声……




―――八雲。




ふたりの指先が擦れる―――




―――ああ、やくも……




掴めないお互いの指先だけが擦れ合う―――




―――はやく……手を、伸ばして。




必死に伸ばす手が、あと少し―――




―――私も……伸ばさなきゃ……手を!






「ゆきなぁあああ―――!!!!!」


「―――やくもぉおおお!!!/////」






そして、ふたりの伸ばし合ったその手が―――




叫ぶ八雲と雪菜が大地の迫って来る中で漸く想いと共に手が届く。


落下していた雪菜の身体を掴み―――


―――そして雪菜は八雲の胸の中に抱かれていた。


夢でも幻でもない……


「……やくも」


「ああ……雪菜……俺だ」


こういう時不器用で素気ない返事をするのは昔から変わらない八雲に涙が溢れてくる雪菜。


「八雲……やくもぉ……」


「―――ああ、大丈夫だ。ちゃんといる。ここにいるぞ」


「勝手に……いなくなって……心配したんだから……」


雪菜の瞳に涙が溜まっていく。


「分かってる……ごめんな。そのことは後から説明するから。雪菜もどうしてこの世界にいるのか教えてくれないか?」


「うん……うん。八雲のこと知りたい。どうしてこの世界に来て、今までどうしていたのか知りたい。私も話したいこと、いっぱいだから」


「うん、全部話すよ。全部聴くよ……会いたかった」


雪菜の頬に上から雫が落ちてくる―――


「……泣いてるの?八雲」


―――その濡れた八雲の頬を指先で拭って見上げている雪菜。


「ああ……雪菜にまた会えて、嬉しいから」


空に浮かびながら、お姫様のように抱き上げてもらって浮遊している雪菜はそっと八雲の首に両腕を回して、


「……んん……ちゅ/////」


涙を流していた八雲にそっと口づけをして、そしていつまでも見つめ合うのだった―――



コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?