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第93話 天狼姉妹の初夜

―――エルフの娘達の泊まる部屋を黒龍城に用意して、夕食はアクアーリオとフィッツェの作った食事とデザートを皆で喜びながら食べていた。


バルバール迷宮の第三階層には確かに木の実や水はあったが、それだけではやはり食事が乏しい物となっていたのでエルフの娘達は泣くほどの喜びようで肉や魚を使った料理を楽しんでいた―――


「ん~♡ どうだぁ?美味ちぃかぁ~♡」


「……美味ちぃ」


食事の間ノワールは膝の上に座らせたシェーナの小さなお口に、出てきた食事を運びながら満面の笑みで世話をしていた。


(母性が反応してるのか?う~ん、ノワールママ~♪)


心の中でそうツッコミを入れた八雲だったが、他にもレベッカとレオとリブラの膝の上にも今回避難してきた幼女達が座り、皆お口をあ~ん♪ してレベッカ達に食べさせてもらっているのが微笑ましい光景となっていた。


レベッカはフィッツェとすぐに仲が良くなったようで、アクアーリオも加わってお菓子から料理の話しまで話題には事欠かない。


楽しい食事の時間も終わり、今日はルドルフにも泊まってもらうこととなって明日の戴冠式もあるため早めに休むことにした八雲は自室に戻ることにする。


「―――フフッ♡ 待っていたぞ、八雲♡」


そして自室の扉を開くとそこには―――






―――八雲の自室の扉を開いた先には、褐色の肌に白いマイクロビキニを着たノワールと、


「お帰りなさいませ、八雲様♡」


「お帰りなさい、お兄ちゃん♡」


「ワァオ……」


白い肌に黒いマイクロビキニを着たジュディとジェナが目の前に現れて、八雲は思わず変な声が出てしまった。


「どうしたんだ!?―――その恰好は!」


まさか異世界でマイクロビキニを目にするとは思ってもいなかった八雲は目の前のパラダイスに両眼を擦ってもう一度ガン見しながら叫ぶように言った。


「フッフッフッ!―――以前にお前から聞いた『まいくろびきに』とやらを作らせたのだ!どうだ?ちゃんと出来ているだろう?」


両手をくびれたウエストに置いて、自慢げに説明するノワールと、その左右では恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、何故か期待するような顔をしているジュディと、ニコニコとしながらも小悪魔的な視線を送ってくるジェナ。


そんな三人を前にして、八雲は思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう……


「さあ♡ ジュディ、ジェナよ♪ まずは八雲の服を」


「はい、ノワール様/////」


「りょーかいです♪/////」


ノワールの指示を受けて大事なところが零れそうなマイクロビキニの天狼姉妹は、八雲のコートやらシャツやらズボンまで丁寧に脱がしているが、ハンガーにコートを掛けに行ったジュディが隠してるつもりでコートの襟元を、


「スン、スン……はぁあ♡」


とクンクン匂いを嗅いで悦に浸る表情を見せたことを八雲は見逃さなかった……


あっという間にパンツ一枚にされた八雲だが、三人の姿を見たときから一部分は充血充填を始めていて、いまでは天を突かんばかりに興奮度を上げている。


それを見たノワールはジュディとジェナにそっと耳打ちしてから、八雲の前でM字に開脚してしゃがみ込み、スッと細い指を下着に掛けてゆっくりと下ろしていく。


上目づかいのノワールとは別に、ジュディとジェナが立ったままの姿勢でいる八雲の左右にピタリと抱きついたかと思うと―――


「八雲様、今夜は私とジェナに、最後までお願い致します/////」


「ジュディ……分かった。お前達のことは俺が一生面倒見ていくから。今夜俺の女にする」


「はい、ありがとう、ございます/////」


「ありがとう!お兄ちゃん/////」


「そのあと、我のことも忘れるなよ/////」


そう言った三人を引き連れて、八雲の巨大なベッドへと誘うのだった―――






―――それから、ジュディとジェナを激しくそして壊れ物を扱うように優しく抱いた八雲。


ベッドで力尽きて寝息を立てるふたりの下腹部には八雲の『龍紋』がピンク色に仄かな光を放ち刻まれていた。


そしてノワールも抱いた後に仰向けになって大の字に寝た八雲の腕枕で、ノワールは八雲の頬に何度もキスをしている。


「やくもぉお♡ しゅき♡ エヘヘッ♪」


完全に蕩けた笑顔のノワールにキスで返事する八雲。


だが、そこから少し八雲は真面目な話をノワールにし始める。


「ノワール……レオパール魔導国ってどんな国?」


「あん♡ んん?……レオパールが気になるのか?八雲」


「あの子達は理不尽な他人に家族や知り合い達を殺された。こんな世界だから別に珍しくないのかも知れないけど、それと感情は別だと思ってる。そして俺は理不尽には理不尽で返す主義だ」


「そうか……レオパールについてはサジテールに聞くのが一番詳しく分かる。あの子は三導師のひとりエヴリンと妙に馬が合うようでな。我はたとえ龍の牙ドラゴン・ファングであろうと他人との交友関係には口を挟まん。まぁエヴリンも口が悪いところを除けば、まだマシな為政者ではあるがな……」


「そうか。だったら時間ができたらサジテールに訊いてみる」


「話を聴くだけでいいのか?ちゃんとあの子も可愛がらなければダメだぞ」


「いやサジテールって男嫌いなんだろ?」


その八雲の言葉にベッドで八雲に腕枕されながら、ノワールがケラケラと笑い出した。


「アハハッ!―――男嫌い?たしかにあいつは男が苦手だが嫌っている訳じゃないぞ。現に此処に戻ってくるまでも普通に会話していたのだろう?嫌っているなら無視するかサッサと殺している」


「最後物騒な言葉が聞こえたけど、そうか……嫌いとは違うのか……」


「抱きたければ抱いていいんだぞ?」


「それはサジテールが決めることだ。誰かに言われたから抱かれるとか、抱くとかなんてこと俺はしない」


「分かっている♪ そんなお前だから我も愛しているのだからな♡」


「ノワール……」


「あん♡ こ、こら八雲!ま、また♡/////」


「もう一回」


「あ、あぁあ♡そ、そんな―――あああぁあ♡」


そこから窓の外が明るくなるまで、ノワールの喘ぎ声が鳴り止むことはなかった……






―――窓から朝陽が差し込む中、八雲は全身のくすぐったいような感覚で目が覚めた。


「おはようございます♪ 八雲様」


枕元にはアリエスと―――


「ううっ/////こ、この、だから男など……/////」


真っ赤にした顔を背けるサジテールがいた。


「なんでサジテールまで?」


寝ぼけていた頭もすっかり目覚めてきた八雲は、目の前にサジテールがいることの違和感にアリエスに問い掛ける。


「お忘れですか?八雲様。サジテールはノワール様の命で八雲様の補佐となりました。補佐となったからには朝から夜までご奉仕して当然ですが、まずは奉仕の仕方を立ち会ってよく覚えるように私が指示したのです」


「いや別に、嫌なら無理して見なくても……」


「サジテールを甘やかさないでくださいませ。それでなくともサジテールは独断専行が目に余ることが多々ありました。これを機に八雲様へ忠節を尽くし、龍の牙ドラゴン・ファングとしての自覚を持たせなければ」


龍の牙ドラゴン・ファングの自覚がこんな男への厭らしい行為だなどと言うなら、そんな自覚はこちらから願い下げだ!!!/////」


「ごもっともで……耳が痛い……」


サジテールの反論に、この状況では申し開きもできない八雲は同意するしかなかった。


「ノワール様に報告しますよ?サジテール」


「ひ、卑怯だぞ!アリエス!」


「お、おい?大丈夫か?サジテール?」


その様子に心配になった八雲が声を掛け、肩に手を置くと―――


「ヒャア!?さ、触るな!あ、あ、この、バカヤロォオ―――ッ!!!/////」


真っ赤にした顔で、寝室を飛び出していった……


「あ、ちょっと……はぁ……どうすんだよ?あれ……」


そう言ってアリエスに目配せするが、


「放っておきましょう。どうせ八雲様の補佐を命じられた以上、自分から戻ってきます♪ それよりも、今日は戴冠式ですので御召し代えを致しましょう♡」


序列01位のメイドには、どうやらサジテールのことは些細な事のようだった―――






―――アリエスによって着替えが終わった八雲は、厨房に向かってアクアーリオの朝食に起きてきて手伝っていたエルフの娘達とレベッカにルドルフと一緒に頂いた。


ノワールは相変わらず膝の上にシェーナを座らせて、


「ほぉら♡ どうだぁ?美味ちぃか?シェーナ?」


「……美味ちぃ」


「そうかそうかぁ♡ シェーナは良い子だなぁ~♡」


完全に親バカ本能が目覚めていた……


「あ、そうだ。ルドルフとレベッカもユリエルと一緒に戴冠式参加してくれよ」


美味しい朝食をガツガツと食べていたルドルフだったが、八雲の言葉を聴いて喉が詰まりそうになるのを必死に堪える。


「ゲホッ!ゴホッ!―――は、はあ~?!俺達が戴冠式にだと?冗談も休み休み言えよ?八雲」


「いや冗談なんかじゃないんだけど?国の英雄なんだし、俺の友人なんだから出席してもおかしくないだろ?」


「い、いや気持ちは有難いが……」


「いいじゃない……八雲にはお世話になったんだから……そのくらいのお願い……聞いてあげても」


顔を顰めていたルドルフだったがレベッカの仲裁で渋々といった風に了承した。


「堅苦しい式典とか、俺苦手なんだよなぁ……」


参加したくない理由を呟くルドルフに八雲は心の中で、


(お前だけじゃない……というより堅苦しい式典が好きってヤツの方が珍しいだろ)


と密かにツッコミを入れていた。


「こっちで馬車を出すから、それに乗って皆で行こう」


八雲の言葉に、皆がほぼ同時に頷いて返事をした―――






―――それから、城の正面にキャンピング馬車、黒麒麟を『収納』から取り出した八雲。


「それじゃ、行こうか」


「―――うむ!そうだな!さあ乗るぞ!」


「ちょっと待って!ノワールさん。その抱いているシェーナは置いて行こうな?」


たわわな胸の中に抱いているシェーナを指差して、ノワールの肩を捕まえる八雲に振り返ったノワールは涙目で、


「シェーナを置いて行くだと!見損なったぞ!八雲!お前いつからそんな鬼になった!シェーナも何か言ってやれ!」


「……?」


八雲に向かって突き出されたシェーナは首を傾げて「ん?」と状況が分からないといった目で八雲を見つめていたが、ノワールがシェーナの脇を抱えて前に出しているように、シェーナはクマのぬいぐるみの脇を抱えて八雲の前に突き出してきた。


「なにこの子!超可愛い?!……はあ、もう分かった。でもシェーナだけだぞ?」


「―――エッ?」


すると八雲の後ろでそれぞれ幼女達と手を繋いだレベッカ、レオ、リブラが飛行機の搭乗口みたいに行列を作って待っていたが、同時に声を上げて「どうして?」みたいな顔になっている……


それを見ていたアリエスは笑顔で、その後ろのサジテールは朝の出来事から八雲に対して警戒心剥き出しの表情をしている。


「……お前等もか?」


「あの、八雲君。別に邪魔さえしなければ連れて行っても問題ないんじゃないかな?ノワール様もシェーナちゃんを連れて行くことがお望みのようだし、向こうで戴冠式中はレベッカさん達と皆で見ていたらきっと問題ないよ」


「おお!ユリエル!お前は本当にいい子だなぁ♪ そのまま八雲の嫁になることを許すぞ!」


「ヒエッ?!お、お嫁だなんて?!で、でも、八雲君がおじい様にちゃんと話してくれるって言ってたので……/////」


「うん?なんだ?―――そんな話になっていたのか!だったら心配することはない!八雲に任せておけばよい♪」


「―――そうですね!はい!頑張って八雲君!」


根拠のないノワールの八雲に任せろ!宣言に根拠もなく乗っかるユリエルを見て八雲は溜め息が出てしまい、


「なんかハードルが無駄に上がった気がする……殴られたりしないかな?」


とユリエルに不安を吐露する。


「そんなことしないよ!あ、でも、おじい様……たしか天聖神拳ニ十二段とか言っていたけど……」


「なにその拳法!?―――無駄に段位が高いんですけど!?」


謎の暗殺拳法のような名と無駄に高い段位を聴いて益々引いてしまった……


「ほら、お前達!早く行くぞ!―――さあシェーナ♪ これが我の馬車だぞぉお♡ どうだ?しゅごいかぁ?」


「……しゅごい」


「俺、これから戴冠式だよね?なんか扱い雑じゃない?」


「あはは……」


ユリエルの苦笑いを浮かべていた。


「あ、そうだ―――サジテール!」


少し離れたところで待機していたサジテールに八雲は声を掛けるが、まったく動こうとしないサジテールにアリエスが何処から出したのかハリセンで頭を叩くと渋々といった表情で八雲に近づいて来た。


「―――何の用だ……色情魔」


「酷い言われようだが否定出来ないのが辛い……ほら、これやるよ」


そう言って八雲が『収納』から取り出したのは―――黒弓=暗影あんえいだった。


「これは……」


「お前、弓が得意だろ?俺が龍の牙ドラゴン・ファングの皆に渡している武器黒神龍装ノワール=シリーズの黒弓=暗影だ。お前なら使いこなせるだろうし、この矢筒もやるよ。矢筒は『空間創造』の加護で備蓄してる矢が取り出せるようになってるから、いま十万本くらい備蓄してるから好きなだけ撃てる」


「これは、ノワール様の鱗で出来ているのか!?……お前が造ったのか?」


「ああ、気に入らないかも知れないけど、それがあれば護れるものもあるだろうから使ってくれ。当然頑丈だから簡単には壊れたりしないから。使い心地で変えて欲しいところがあれば言ってくれたら変更もする」


少し黙っていたサジテールだが、


「仕方がないから……貰っておいてやる/////」


そう言って胸元に暗影を抱きしめて下がっていくと、アリエスが八雲に笑顔を見せていた。


そうしてようやく全員でキャンピング馬車に乗り、一路アードラーにある天聖教会の本部がある場所に向かうのだった―――



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