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終幕のクローズドサークル
晴坂しずか
ミステリー推理・本格
2024年10月21日
公開日
59,505文字
完結
カフェオーナーの僕は目を覚ますと、見知らぬバスに揺られていた。
バスは古城の前で停車し、中へ入ってみると不気味な声によりデスゲームの開催が告げられる。
論理的に推理をして「犯人」を見つけ出せば勝ちで、全員に一度だけ使える魔法アイテムが渡される。しかし魔法アイテムで「犯人」を知ることはできない。
何故か知り合いばかりがいて謎だが、この世界がそもそも謎だ。
いったいどうしてこんなことになってしまったのか、分からないことだらけの中で、ミステリー好きの僕は犯人探しをしていく。

プロローグ

 自分のカフェを持つのがずっと夢だった。大好きな紅茶を専門にした店だ。

 そのためにカフェや紅茶専門店でアルバイトをして経験を積んできた。自分でオリジナルブレンドを作って、商品化できるかどうか考えた。紅茶に合う料理やスイーツも研究して、ついに店を持つことができた。

 語りきれないほどの紆余曲折うよきょくせつに、一緒に夢を追ってくれる愛する女性との出逢いもあって、当初とは少々形が変わってしまったが、店がオープンした時は感極まって泣きそうになった。僕はいまだにあの日のことを忘れられない。

 店を続けていくのはとても大変で、毎日いいことばかりではない。それでも愛する妻がいてくれるから、就寝前には明日も頑張ろうと思える。

 僕の店で働いてくれる仲間たちのためにも、くじけるわけにはいかなかった。アルバイトのみんなを守るのは、オーナーである僕の仕事だからだ。

 今日もくたくたになった体をベッドへ横たえて、すぐ隣に彼女の香りを感じながらまぶたを閉じた。

「おやすみ」


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