ショーンに突撃してくる、ガビアルは本気で、彼にランスを突き刺す積もりだ。
だが、行くてを多数のゾンビ達が遮り、それを無理やり倒しながら突破していく。
「はっ! パルドーラ、仇を討ってやるぞ」
「死ね、ショーン」
ショーンは、自身を助けてくれた、パルドーラへの思いを胸に、トリップソードを握りしめた。
そこに、ガビアルは勝ったと思い、真っ直ぐに向かってくるが、ランスの穂先は鋭く光っていた。
「はっ! うらああっ! 口の中を切ってしまえばっ!」
「そんな攻撃が通じるかああっ!!」
勢いよく右手に握る、トリップソードを振り回しながら、ショーンは走る。
その雑兵がごとき、行動に対して、ガビアルは怒鳴りながら、真っ向から攻撃する。
「いや、これが狙いだっ!」
「何っ!?」
「ガオオオオオオ?」
いきなり、ショーンが姿を消したので、ガビアルは驚いてしまい、キョロキョロと視線を動かす。
大型オオトカゲも、突然目標を見失ったので、取り乱したまま、取り敢えず走り続ける。
「こっちだっ!! スライディングしてたんだよ?」
「小癪なっ! ぐわっ!」
「ガオオオオーー!!」
急に叫んだ、ショーンは、ガビアルの背後から挑発して、注意を自分に向ける。
その間、何処か遠くから弾丸が放たれて、乾いた発砲音を、一回だけ響かせた。
かなり、正確に放たれた狙撃は、大型オオトカゲの左目に、もう少しで命中するかも知れなかった。
それは、バリケード上に戻っていた、ワシントンが床に伏せながら放った、一撃だった。
「仲間が居るのか? くっ!」
「狙撃手が居るんだ、気を付けるんだな」
ガビアルは、大型オオトカゲを、ゾンビ達の多い北側へと向きを変え、すぐに走らせる。
それを、ワシントンは眺めながら、冷静な表情で、次の弾丸を放つ準備をしていた。
「待ちやがれっ! って、俺は一人で、突っ込むワケには…………こうなれば、まずは
「グアア、グアッ!」
「グルオオオオッ!」
「ギャアアアアッ!」
自身を取り囲むゾンビ達の群れに、ショーンは闇雲に突撃せず、トリップソードを振るう。
最初に、ゾンビの胸を浅く斬りつけ、今度はマッスラーに飛びかかる。
そして、腕を斬りつけると、エングラーの叫び声が小さいうちに、奴を袈裟斬りにする。
当然だが、彼が狙っているのは、ゾンビ達を薬物で混乱させて、同士討ちさせる事だ。
「ワシントンは? 味方の援護中か? うおっ! 伏せなきゃっ!」
「グオオオッ!」
遠くをチラリと見て、ショーンはバリケード上のワシントンによる援護射撃は期待できないと覚る。
それから、すぐにゾンビ達に視線を移すと、スカルビーマが口から、紫レーザーを照射してきた。
突然の攻撃を回避するべく、彼は姿勢を低くしながら、奴に斬りかかった。
そして、髪の毛が少し焦げるくらい射撃を受けたが、何とか彼も攻撃を当てる事ができた。
「グエ? グアア、グアア」
「不味い、連続攻撃だっ!」
首を斬られた、スカルビーマーだったが、頭は転がり落ちず、こちらに反撃してきた。
両目から紫ビームを、拳銃弾のように何度も放ち、奴はショーンを追い詰める。
「このっ! ふっ! コイツを盾に取ればっ!」
「ウゴアア?」
「そうは、させんぞっ! 二人纏めて、吹き飛ばされるんだっ!」
スカルビーマーの攻撃を、何度もサイドステップしながら、ショーンは回避する。
次いで、マッスラーの背後に隠れて、肉盾にしたが、そこに突然ガビアルが戻ってきた。
奴の大型オオトカゲは、火炎放射を横凪に吹きながら、次々とゾンビ達を燃やしていく。
さらに、太く長い尻尾で、後ろから迫る、多数のゾンビ集団を力強く薙ぎ倒す。
「厄介な奴が、また来やがったっ! 来るなっ!」
回転しながら、ショーンは、マッスラーの背後から離れていき、ゾンビ達を掻き分けながら走る。
しかし、そんな彼の前に、ある特殊ゾンビが道を塞ぐようにして現れた。
「グルル…………じ、自爆すルルルル」
「不味い、コイツは少しの衝撃でもっ!?」
「ショーンッ! ソイツごと、焼き払ってやるから、感謝しろっ!」
「ガルル、ガアア~~~~!!」
前には、ボンバーが立ち塞がり、ショーンは後ろを振り向くが、そこにはガビアルが追ってくる。
しかも、奴は大型オオトカゲに、
「ここは、地面に伏せるしかないっ! 一か八かだっ!」
咄嗟の判断で、ショーンは地面に身を投げて、自爆や火炎から逃れようとした。
「やったか? いや、お前は?」
「ここここ、コロススススう? 自爆してヤルウ~~」
「うわ、生き残ったけど、またヤバい状況だっ!」
ガビアルは、大型オオトカゲに、火炎放射を止めさせたが、そこにはボンバーが立っていた。
全身に火が付いた奴は、真っ直ぐ走ってきたので、ショーンは地面を転がりながら逃げる。
「離れられたかっ?」
「グワワッ! 持ち上げ、ラレタ」
ショーンは、右側に回転していたが、ゾンビ達に囲まれる前に、急いで立ち上がった。
そして、ボンバーとガビアル達の様子を見ると、空中を自爆ゾンビが舞う姿が見えた。
「モウ、もう自爆するシカッ!!」
「爆散したか? まあ、いい…………ショーン、次は貴様が、オオトカゲに放り投げられる番だっ! はっ! な、なんだ、痛いっ!?」
「ギャアアアアアアッ!!」
ボンバーが空高い場所で、爆発すると、ガビアルは次なる標的として、ショーンの名を呼ぶ。
ところが、そこに一匹のエングラーが現れたかと思うと、叫び声とともに超音波を発射した。
「これは、流石に鎧や鱗も、関係ないか?」
「ギャアアアアアア」
ショーンも、耳の鼓膜が破れるかと思うほど、鋭い痛みが脳にまで、響いてくる。
その音源であるエングラーは、ガビアルを音波攻撃するだけでなく、周りからゾンビ達を集めた。
「ウアアアア~~」
「グルアアアーー」
「ジジ、自爆ダアッ!」
「ギャアア」
ウォーリアー&キョンシー型ゾンビを含む、多数のゾンビ達が、ワラワラと歩いてくる。
ボンバー、スピットゲロー等も、二人を取り囲むために近寄ってきた。
「ヤバい、このままじゃ囲まれちまうっ!」
「その前に、貴様を殺すっ!」
「ギャアアーーーー!!」
「グルアッ!」
ゾンビ達に、徐々に包囲されつつある中、ショーンは、トリップソードを振るいまくる。
そして、連中の隙間から逃走を試みて、彼は右へ左へと、ちょこまかと動き回る。
ガビアルは、大型オオトカゲの首を振り回させて、エングラー&スピットゲローを吹き飛ばす。
次いで、強酸や打撃を受けながらも、突進を止めず、それどころか速度を上げてくる。
「じじ自爆するルル…………ドカンッ!」
「じじじじ自爆、自爆」
「ギュアア」
「ウウウウウウ」
二体のボンバー達が、自爆に巻き込もうと、ガビアルに迫るが、大型オオトカゲに弾かれてしまう。
キョンシー型ゾンビの拳や、ウォーリアーによるメイスを振り下ろした打撃も全く効果がない。
「逃がしはしつないっ! 邪魔な物は捩じ伏せるだけだっ!」
「グアッ!?」
「うわああっ!? もう、ダメかっ!! いや、仲間たちの仇を討つまで諦めはしないっ!?」
猛追するガビアルのランスが、マッスラーを突飛ばし、真っ赤に塗れる。
そして、上手く逃げていた積もりが、ショーンは気づくと、ゾンビの大群に囲まれていた。
「そのまま諦めてしまえっ! さすれば、楽にしてやろうっ! ショーンッ!」
「誰が諦めるかっ! お前の考えは、上手く行かないんだよっ!」
「そうだよっ! 私たちが、ショーンの味方だからねっ!」
「今だ、フリンカッ! あそこの自爆野郎を狙えっ!」
「じ、自爆に巻きコンデヤル」
ついに追い詰められた、ショーンを突飛ばさんと、ガビアルは叫びながら襲いかかってきた。
ショーンは悪あがきで、周りのゾンビと戦いながら、大型オオトカゲを避けようと身構える。
そこに、彼の光甫から四輪バギーが現れて、フリンカとスバス達が、助けようと叫び注意を引く。
二人は、突っ走るボンバーに狙いを定めて、奴を使って、攻撃しようとした。