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第89話 ゾンビとオオトカゲが暴れまわる


 ショーンは、バイクを走らせているが、それに追い付こうと、走るゾンビ達が迫ってきていた。



「ライルズとスザンナ達は、逃げやがったか…………まあ、どのみち、バイクに乗っているだけじゃあ? 倒せなかったが? だが、この惨状の責任は取らせてやる」


「グアアアア」


「うわっ! ゾンビが来たぞっ!」


 ショーンは愚痴りながら、トリップソードを鞘から抜きとり、風を受けながら爆走した。


 彼は、海トカゲ団員やゾンビの集団と戦うため、仲間たちとともに、立ち向かう準備を整えた。



 その後ろからは、フレッシャー達が群れをなして、真っ直ぐに走ってくる。


 オオトカゲに騎乗している、フルプレートアーマーの海トカゲ団員は、長槍を構えながら叫ぶ。



「不味いなっ? 混戦になってしまったっ! あと、アサルトライフルは、やっぱ持ってくるべきだったか?」


 ショーンは、バイクの速度を上げ続け、ゾンビ達から距離を取りつつ、海トカゲ団に近づいていく。


 しかし、前方からは、敵の装甲車やテクニカルが、機銃掃射してくる。



「ヤバいっ! 十字砲火を浴びちまうっ! んっ! また、爆発だと?」


「ショーン、作戦が成功したんだよっ! 私たちは、チンピラの攻撃を跳ね返したあと、工作しててねっ!」


「バリケード見たいに道を塞ぐ、海トカゲ団のトラックや装甲車に、大量の爆薬を仕掛けて、ここに、ゾンビを誘導してやったんだぜ」


 何台か見えた敵車両の内、テクニカルは派手な爆発を起こして、吹き飛んだ。


 それを見て、ショーンは誰が破壊したのか、不思議がりながら、機銃弾を避けようとする。



 彼は、装甲車に近づいていき、逆にM2ブローニングの射角内に入って、攻撃を交わそうとした。



 そこへ、四輪バギーの荷台に座り、短弓から爆裂アローを矢継ぎ早に発射する、フリンカが現れた。


 運転するのは、スバスであり、そこら中に小型爆弾や小樽型爆弾を転がしていく。



 さらに、煙玉を周辺に投げては、装甲車の周りを灰煙に包み込んでしまう。



「お前ら、やるなっ! これで、敵も混乱するだろうっ! 今が撃退するチャンスだっ!」


「ああ、因みに向こうのバリケードを守る連中は、ゾンビに殺られないうちに防衛線を下げたよ」


「今頃、余った何人かは、あっちのトラック部隊の支援に回っているだろう」


「くあっ! く、くるなっ! 燃やしてやるっ!」


「ウアア…………」


「槍で、貫いてやるっ!」


「ギャアアーー」


 バイクを、右側に走らせながら、ショーンは煙に包まれた装甲車を避ける。


 通常の弓矢を、何回も放ちながら、フリンカは騎兵隊を攻撃していく。



 四輪バギーの速度を上げながら、スバスは敵部隊に突撃していった。



 オオトカゲに跨がる、ゴブリンの海トカゲ団員は、口から炎を吐かせ、フレッシャーを燃やす。


 馬に跨がる鎧武者も、筑紫薙刀を振り回して、落下してくるジャンピンガーを串刺しにする。



「二人とも分かったぜ? お前らは、装甲車やテクニカル、騎兵隊を頼むっ! 俺は、リズ達と合流してくるっ! うらああ~~~~」


 それだけ言うと、ショーンは叫び、敵に向かって突進していき、味方のトラック部隊に合流する。



「リズ、ミー、生きているかっ!?」


「ショーン、来てくれたの? と言うか、今は敵を何とかしてくれるかしらっ!」


「今は、危ないにゃっ! かなり、大きいオオトカゲが暴れまわっているにゃあっ!」


 三台のトラックが、停車している後方に回り込んだ、ショーンは、すぐに味方を探す。


 そこには、味方の死体が散乱しており、魔法や銃撃に殺られたと思われた。



 しかし、リズは荷台後部に隠れており、マジックロッドを敵に向けると、鮮やかな炎の玉を放つ。


 ミーも生き残っていたらしく、死んだ冒険者たちの死体に紛れていた。



「リズ、魔法の援護を頼むっ! ミーも、投擲で何とかしてくれっ! あの巨大なオオトカゲは、俺が何とかするっ!」


「ショーン、出来るだけ、援護はするわっ!」


「私たちは、ここから出られないから、敵を誘き寄せてくれにゃっ!」


 大型オオトカゲに騎乗する、ガビアルを睨む、ショーンは、バイクを一気に加速させた。


 リズは、近くを走るバイカー部隊を、マジックロッドから飛ばした火炎で、射撃する。



 迫りくる、オオトカゲに跨がる騎兵たちに、ミーは釘を投げつける。


 こうして、彼等が反撃に転じる一方で、味方部隊にも増援がきた。



「援軍だっ! 南側からも、アリ人間たちが来ているぞっ!」


「偵察部隊も、戻ってきたっ!」


「俺のマグナムなら、馬やバイクごと破壊できるっ!」


「敵も、バギーやアリの騎兵部隊を出してきたっ! お前ら、気を付けろっ! ゾンビも来ているっ! 後方にも、警戒するんだっ!」


 バギーに跨がった兵士、バイクに乗る警官、大型アリに騎乗するアリ人間たちが、南側から現れる。


 それに対抗するべく、ガビアルは部隊を率いて、勇猛果敢に突撃していった。



「敵の襲撃か、なら殺ってやるっ!」


「突撃してやるっ!」


「こっちも撃たないとなっ! 射程距離内に入ったぜっ!」


「魔法を喰らえっ!」


 長槍を構える、ゾンビ族の海トカゲ団員は、馬を走らせ、突進していく。


 短機関銃MP5を連射しながら、ゴブリンの海トカゲ団員は、オオトカゲを素早く進ませる。



 バイクに跨がる警察官は、懐中電灯マグライトから白いビームを発射しながら突っ込んでいく。


 ブラックアントに騎乗する、赤アリ人間は、狙いを定めて、マグナムを撃つ。



「ぐあっ! ああああ~~!?」


「ぎゃあっ!」


 バイクに跨がるフリッツ・ヘルメットを被る、海トカゲ団員は、白いビームに射たれて燃える。


 グロック17に撃たれた、青アリ人間は、頭部を蜂の巣にされて、ブラックアントから落ちる。



「ぐわっ!」


「危ないっ!! 避けなきゃっ!?」


「ショーンッ!! きゃあっ!」


「危ないにゃっ! うわっ!?」


 そんな中、腹を銃弾に貫かれた海トカゲ団員は、ハンドルに寄りかかったまま、馬を走らせ続ける。


 ショーンは、急いで右側へと、自身が操るバイクを傾けて、それを間一髪のところで避けた。



 リズとミー達は、彼が死ぬと思って、叫んでしまったが、無事な姿を見て安堵する。


 が、それも束の間であり、彼女たちにも、銃弾や火炎魔法が飛んでくる。



「二人とも、貴見だから隠れていろっ! まず、一人目だっ! 次はっ!」


「ぐあっ! 殺られ…………」


「この野郎っ!!」


 ショーンは、双方が戦っている最中に、馬に跨がる、エルフの海トカゲ団員に背後から近づく。


 奴が敵を、マジックケーンで狙う隙に、トリップソードを振り下ろし、次の敵を迎えうつ。



 今度は、前方から、青いバイカーヘルメットを被り、バイカースーツの海トカゲ団員が来る。


 奴は、大型バイクに跨がり、右手握るベレッタを何回も連射してきた。



「当たるかよっ! お前の相手をしている暇は無いんだっ!」


「あっ! こら、逃げるなっ!」


 銃弾に当たるまいと、ショーンはバイクを右へ左へと走らせ、敵から距離を取ろうとする。



「うわっ! バイクがっ!」


「へっ! ざまあ見ろっ! クズ野郎っ!」


 大型バイクに跨がる海トカゲ団員は、マグナム弾が車体に命中した事により、転倒してしまう。



「うらあっ!! 貴様ら、雑魚に負ける訳には、いかないんだっ!!」


「あっ!」


「ぐへっ!」


 ガビアルの乗っている大型オオトカゲは、バイクに跨がる警察官に体当たりする。


 そして、Uターンしながら尻尾は、ブラックアントの手綱を握る、青アリ人間を吹き飛ばす。



「こっちだ、ガビアルッ! 着いてこいっ! お前の相手は、俺がするっ!」


「ショーンッ! 娘のためにも、今度こそ、貴様の命を刈り取ってやるっ!」


 ショーンは、味方の被害を減らすため、また因縁がある敵を惹き付けようと、挑発しながら逃げた。


 その後を追って、ガビアルは、大型オオトカゲの走る速度を、さらに加速させた。



 こうして、二人は冒険者たちのトラック部隊を通り抜けて、装甲車やテクニカル等も越えてゆく。


 その先には、ゾンビ軍団や敵味方で、騎兵隊が入り乱れている様子が伺えた。

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