ショーン達は、最初に自分たちが通ってきた、バリケードにまで戻り、ここで敵を待ち構えた。
「ミー、俺達は右側に走るぜっ!」
「こっちから、ゾンビを撃退するにゃーーねっ!」
テクニカルの右側、つまり街側に走っていった、ショーンとミー達は、ジャンピンガーを睨む。
バリケードを飛び越えてきた、連中は二人を狙って、空中から襲いかかってきた。
「ギュエエエエーーーー!! ガーー!?」
「うらっ! 脚を斬ってやるぜっ! これで、止めだ」
「グルアア~~~~!! グアッ!?」
「それっ! これでも喰らえにゃあっ!」
ショーンは、言葉通り、ジャンピンガーの下に潜り込み、トリップソードで両足を斬りとった。
これで、姿勢を崩した奴が地面に落ちると、這い回る前に、後頭部に切っ先を差し込む。
ミーは、風打棍を使って、溝内に打撃を叩きこみ、地面に落ちた敵の頭に追撃を喰らわせる。
頭頂部に衝撃を受けて、相手が動かなくなったのを確認すると、彼女は次なる敵を狙う。
その間も、マシンガンに撃たれながら、穴から様々なゾンビ達が侵入してくる。
「こっちも、水際で止めないとなっ!! リロードするっ!」
「コイツらの後ろには、数百体のゾンビが居るしっ! 今は、ひたすら燃やすしかないわっ!」
「とにかく、弓矢を射つしかないっ! 爆裂アローを喰らえっ! 変態マッチョ野郎っ!」
「ひゃ~~! 凄い威力だねっ! 私の射撃を切り抜けてきた奴が、吹き飛んだよっ!」
左側では、リオンとマーリーン達が、バリケードに乗っかった、フレッシャー達に射撃している。
正面からは堂々と、何体かのマッスラー達がマシンガンに撃たれて倒れながらも歩いてくる。
穴から入ってきた連中は、機銃弾に体を貫かれて、倒れてゆく。
しかし、マシンガンは弾切れになり、二体が機銃掃射を潜り抜けた。
ワシントンは、二体に導火線に火を着けて、即座に爆裂矢を放ち、連中を爆破する。
それを、マシンガンに予備弾を込めながら、フリンカは勝ち気な笑みを浮かべる。
「不味いなっ! 左右のだけじゃねえっ! 正面からも来たかっ! お前ら、特殊ゾンビに気をつけろよっ!」
ショーンは、バリケードの穴から、次々と侵入してくるゾンビ達に底知れぬ恐怖を感じた。
しかし、止まっている訳にもいかず、彼はトリップソードを、走りながら振るいまくる。
穴からは、フレッシャー&ジャンピンガー等が、飛び出てきていた。
だが、段々と一般のゾンビが小走りで現れ始め、さらにはエングラーが、怒鳴り散らす。
「奴ら、爆発音だけじゃなくて、エングラーの音にも引き寄せられたのかっ!」
「グアッ!」
「ギャアアーー」
「ウオオオオオオーーーー!!」
「火炎放射で倒すわっ! ショーン、離れてっ!」
「なら、リズの周りに来ないようにしないとなっ! うらあっ! ウニ鉄球を喰らえっ!」
「彼女の護衛は、任せたにゃっ! こっちはゾンビを相手にっ! にゃあ? 骸骨ヘッドが現れたにゃっ!」
ショーンの周りでは、仲間たちが散会しながら、それぞれが奮闘していた。
緊張感が漂う中、彼はフレッシャーの首を跳ね、向かってきた、ゾンビを睨み付けていた。
ゾンビ集団の数は増え続け、連中による呻き声とエングラーが発する怒鳴り声が耳に響く。
即座に、リズは手にしているマジックロッドを確りと握りしめ、敵に炎と熱風を噴射した。
ウニ鉄球を闇雲に振り回しながら、ゾンビ達が近寄れないように、スバスは必死で暴れる。
ミーは、飛び出してきた相手が、スカルビーマーだった事に気がついて、急いで地面に伏せた。
「グアアッ! グアアッ!」
「にゃああっ!」
「ミー、ソイツは口から、怪獣ゴジーラ見たいに、レーザーを放射するから気をつけろっ!」
スカルビーマーは、ミーを狙って、眼孔から紫ビームを拳銃のように何度も射ってくる。
それを見ると、ショーンは即効で、スライディングしながら奴の足を蹴っ飛ばした。
「グルアーー!!」
「あ、やべっ!」
「にゃあっ! ショーンは、殺らせないにゃっ!」
足を蹴られたにも関わらず、スカルビーマーは、動じる事なく、ショーンと視線を合わせた。
そして、奴は
「ミー、助かった? 他の連中は?」
「みんな、何とか健闘しているにゃ…………」
ショーンは、スカルビーマーが崩れ落ちると、ミーに戦況を聞いたが、彼女は険しい表情になる。
「うらああっ! っとと…………ザコくらいは何とかなるが、これ以上はっ!」
「死ね、死ね、死ねーー! マガジンを、交換するっ!」
「近寄るなっ! 死にさらせっ!」
「うおおおおっ! くたばれーーーー!」
トロールの冒険者は、ジャンピンガーが飛び上がる前に、頭を目掛けて棍棒を振り落とす。
黒人冒険者も、フレッシャー達をピストルで、牽制しながら弾切れになると、弾倉を交換する。
他の自警団員たちも、当然だが、ゾンビ集団を止めるべく、必死で戦っている。
ライフルから、火を何度も吹かせ続け、マンドラゴラの冒険者は、弾丸を発射し続ける。
バックソードを真っ直ぐ突きだし、白人冒険者は、突撃しながら、フレッシャーを串刺しにした。
ショーンは、彼等の勇気に感謝しながらも、バリケードを突破する次なるゾンビを見た。
「みんな、戦っているな? だが、他に援軍は来ないのか? これは、少しキツい戦いになるぞっ! 敵の増援も来やがったし」
「きっと、他の区域でも、ゾンビ達が侵入してきてるし、海トカゲ団にも苦戦しているんだにゃっ!」
ショーンの声が轟くと、ミーも叫びながら、風打棍を、ひたすら振り回し続ける。
「どどどど、ドカア~~~~んっ!」
「ギャアアアアッ!!」
「ゲローーーー!!」
そんな中、自爆ゾンビであるボンバーが、バリケードに開いた穴の右側で、叫びながら爆発した。
炸裂した奴の爆風により、新たな突破口を開かれてしまい、そこから敵が溢れてくる。
エングラー&スピットゲロー等が、侵入してきて、さらに他のゾンビ達を呼び寄せる。
奴等の腐った肌、充血した白目、また不気味な笑みを浮かべた姿には、見る者に恐怖を抱かせる。
「爆発だけじゃなくて、エングラーの叫び声も、ここまで、ゾンビを呼び寄せたのかっ! 行くぞっ! 奴を倒してやる」
「私は、スピットゲローをやるにゃっ! 奴を放置したら、強酸で殺られちゃうにゃああっ!!」
「ショーン、ミー、私は正面の連中だけで、精一杯だから、そっちは任せたよっ!」
「こっちも、手いっぱいだからなっ! もうすぐ、矢が切れてしまいそうだっ!」
ショーンが叫ぶと、ミーはゾンビ達を仕留めるべく、一緒に動き出した。
フリンカは、先程と同じく、穴から侵入してくる敵に、マシンガンの弾丸を浴びせる。
たまに、制圧射撃を乗り越えてきた、マッスラーには、ワシントンが爆裂アローを喰らわせる。
だが、押し寄せるゾンビの群れは、バリケードをよじ登り、左側からも押し寄せてきた。
「大変だわっ! ついに、ゾンビの群れが、壁を乗り越えてきたわっ! 火炎魔法で押さえるわよっ!」
「普通の数じゃないっ! 他のゾンビの上を乗り越えて、津波のようにやって来る気だろうっ! 爆弾は使い果たしたし、どうするか…………」
「それでも、くい止めるしかないっ! リロード完了、射撃を再開するっ!」
「火炎魔法で、燃やしまくるのよっ! 今は必死で抵抗してやるのっ! 援軍が来るまでね」
火炎魔法で、バリケード上に、炎のカーテンを作り、そこを突破するゾンビは次々と燃えていく。
スバスは、燃えても倒れなかった敵や、火を避けて走ってきた奴を狙い、ウニ鉄球を叩き込む。
その間、リボルバーを発砲して、小走りで近寄るゾンビを、リオンは撃ち殺しまくる。
彼を守ろうとして、銃が弾切れになると、マーリーンは警棒から、火炎放射を近づく敵に浴びせる。
「まだ、その援軍とやらは来ないのか? いい加減、持たないぞっ!」
「ショーン、どうやら援軍が来たようだにゃっ!」
トリップソードを振り回す、ショーンの後ろから、ミーは馬車を見て叫ぶ。
そこには、多数のキョンシー型ゾンビ達が、乗っている様子が見えた。