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第78話 警察署内での戦闘


 ショーン達が、受付部屋で、ゾンビ達や格闘ゾンビと対峙している。



「グルッ!!」


「ガルッ!?」


「ぐううううっ! コイツら、強いぞっ! 噛む事より、殴る事を優先してくるっ!」


「足技まで、使うからねぇ~~? 並みのゾンビじゃあないねっ!」


「ガアッ!」


「キョンシー!! それに、アジア人街の住民が、ゾンビ化したんだにゃあっ!!」


「グルアッ!」


 キョンシー型ゾンビは、ショーンの首を狙って、ラリアットを喰らわせようとする。


 それを避けた、彼の前に女性キョンシーからは鋭い蹴りが放たれており、腹から全身に衝撃が走る。



 ボクサーのように、フリンカは右腕を突き出したが、それも敵は軽く回避してしまう。


 ミーの風打棍による打突も、相手は後ろに宙返りしながら、交わしてしまった。



「そろそろ、炎の壁が消えるわっ! 通常の魔法を射つわねっ!」


「くっ! なら、もう少ししたら、弓矢を射たないとなっ!」


「俺は、一か八か…………ショーン達を援護しに行くっ!」


「ゲロロッ!? 」


 燃える炎が消え失せるさまを見て、リズは威力を弱めた、火の玉を何発か発射し始める。


 そう言いながら、奥から走ってくるゾンビ達に対して、ワシントンは狩猟弓から矢を放つ。



 スバスは、二人が援護している間に、床に這いつくばりながら、ショーン達の元へと向かっていく。


 廊下の奥からは、スピットゲローが相変わらず、強酸を吐き飛ばしていた。



「リズ達も苦戦しているのか? うっ! よそ見している暇は無いかっ!?」


「ショーン、行くにゃあっ!」


「グルアアッ!」


「ウオーーーー!!」


「うわあっ! ぎゃっ!」


「ぐああっ!」


 トリップソードで、キョンシー型女性ゾンビの腕を切って、ショーンは反撃を避けるために下がる。


 ミーは、リーチの長い風打棍を頭上で振り回しながら、連中を弾き飛ばしていく。



 だが、何度も斬られようが、叩かれようとも、キョンシー型ゾンビ達は、前に向かってくる。



 サメ人間の海トカゲ団員は、短刀で応戦していたが、頬を拳で殴られて後ろに吹き飛ばされる。


 インキュバスの海トカゲ団員も、回し蹴りを喰らって、口から吐血しながら膝を突いてしまった。



「かか、か?」


「ごはあっ!」


 サメ人間の海トカゲ団員は、短刀を握ったまま、机に背中を預けて、白眼を向いている。


 インキュバスの海トカゲ団員も、床を血で真っ赤にしながら倒れている。



「何て威力だ? まともに喰らうのは不味いっ!」


「だったら、どうするにゃあ?」


「こうするんだよっ! 剣や棍棒がダメなら、力技だよっ! てね? あ?」


 ショーンは、キョンシー型ゾンビの鋭い手刀を、間一髪で避けながらも叫ぶ。


 連中の攻撃を、風打棍で受け止めながら、ミーは防御に徹している。



 このように苦戦する中、フリンカは事務机を持ち上げて、敵を見た。


 すると、キョンシー型女性ゾンビが、味方であるはずのゾンビ達を攻撃している姿を目にした。



「薬が効いてきたんだっ!」


「なら、好都合だねっ! そら、そら」


 妙な動きをし始めた、キョンシー型ゾンビを観察して、ショーンは理由を考察した。


 その間に、フリンカは持ち上げた事務机を、ガンガン敵に向かって、勢いよく放り投げた。



「グエッ? ギャアッ!」


「ギャアアッ!」


「ゴア~~~~」


「ギュアーー!!」


 キョンシー型ゾンビ達は、事務机が体に当たったり、下敷きにされていく。



「よし、今だっ! おらっ! こうやって、頭を踏み潰せばっ!」


「ショーン、間に合ったか? 俺も最後くらいは…………」


「ギャアッ!?」


「ギャアッ!!」


 ショーンは、机の下敷きになっている、キョンシー女性型ゾンビに、止めを刺した。


 戦いに何とか間に合った、スバスはウニ鉄球をジババタと床で暴れる、敵の頭に振り下ろす。



「終わったな? ワシントン、リズッ! そっちは、今どうなっている?」


 敵を殲滅し終えると、ショーンは廊下で射撃している仲間たちの名前を呼ぶ。



「グアア…………」


「ゲロローー!?」


「こっちも終わったぞっ! ゾンビ化した奴は今殺したっ! 他の奴は、二人とも強酸に頭を殺られて、ゾンビ化すら出来なかった見たいだな」


「スピットゲローは、火炎魔法の連発で焼き殺せたわ」


 ワシントンは、狩猟弓を下げると、ショーンの方を向きながら答えた。


 火炎魔法を連発しているリズも、スピットゲローの体を炎上させたが、それを険しい顔で睨む。



「分かったっ! そっちは左右に警戒を続けてくれっ! おいっ! ここで、何があったんだ」


「カハッ! 俺たちは監視と起爆を頼まれていた…………しかし、警察官たちが入って来たんだ…………」


 ショーンは、まだ息のある海トカゲ団員を探すと、インキュバスが目に入った。



「おいっ! 確りしろ、誰に殺られたんだっ!」


「奴等は、二階の監視所に鍵を掛けて、閉じ籠っている? そして、牢屋の電子システ…………を開け? ガハッ!」


 彼を起こした、ショーンは何があったか聞いてみると、インキュバスの海トカゲ団員は答える。



「た、頼む、内臓が殺られて苦しいんだ? 一思いに?」


「分かった、もう喋らなくていい…………」


 吐血しながら、苦しそうに話すインキュバスを、ショーンは首を切って、楽にしてやった。



「ふぅ? これで、海トカゲ団による爆破計画は中止になったな? 残るは、リオンとマーリーン達を探す事だけだ」


「ショーン、あそこに監視カメラがあるにゃあ?」


 戦闘が終わり、ショーンは溜め息を吐くと、ミーは天井の隅にある、監視水晶を指差す。



「おいっ! リオン、マーリーン、お前らを助けに来たんだ? 監視室から出てこいっ! 今から上に迎えに行くからな」


「これは、変装しているんだからね~~とっとと、脱がないと」


 トリップソードを仕舞うと、両手を振って、ショーンは二人を救助しに来た事を報せる。


 そこら辺に、OLPロゴが書かれた、青いアーメットや鎧を、フリンカは躊躇せずに捨てていく。



「上に行く必要は無い? 今、来たからな…………有り難う、助かった」


「敵を殲滅してくれたのね? 二人とも無線機が戦闘中に壊れて、連絡できなかったのよ」


「それなら、仕方ないが? とにかく、今はアジア人街が包囲されている状況なんだっ! 急ごうっ!」


「ショーンの言う通りさっ! 海トカゲ団も撤退しているし、私たちも逃げようじゃないかっ!」


 みんなが変装用に着ていた、海トカゲ団員の衣服などを脱ぎ捨てると、奥のドアが開かれた。


 そして、リオンとマーリーン達が、ドアを開けながら室内に入ってきた。



 すると、ショーンは外に向かって、事態を説明しながら歩いていく。


 フリンカも、彼の後を追いながら、警察署から出ると、テクニカルへと飛び乗った



「よし、ミーは助手席を頼むっ! フリンカ、マシンガンを頼むぜっ! ワシントン、リズ、スバス達は何かあったら攻撃を頼んだぞっ!」


「分かってるにゃあ~~よっ!?」


「その時は、俺もリボルバーを射つからなっ!」


「私も、この特殊警棒で火炎魔法を扱えるわ」


 運転席に乗ると、ショーンの隣には、ミーが座り、エンジン音が鳴り始める。


 もちろん、リオンとマーリーン達も戦いに備えて、後ろの荷台で周囲を警戒していた。



「なら? リオン、マーリーン、お前らも後ろを頼んだぞ」


 そう言いながら、ショーンは豪華客船から敵を惹き付けぬように低速で、テクニカルを走らせた。


 と思いきや、いきなり港の方から爆発音が鳴り響き、辺り一帯に木霊した。



「うわあっ!? な、なんだ、爆発がしたっ! まただっ! 海トカゲ団は、殲滅したんじゃねーーのかよっ!」


「まさか、まだ起爆チームが署内に残っていたのかにゃあっ!?」


「或いは、他の建物にも監視チームが存在していまのかも知れないっ! くっ! ゾンビが来るっ! ピストルを射つ準備をしないと」


「私も、警棒でっ? て、敵車両が近づいて来るわっ! 別動隊よっ!」


 爆発が連続して起こり、ショーンは急いで、テクニカルをの走るスピードを上げた。


 そんな激しく揺れる車内で、ミーは顔を蒼白にさせながら、後ろの爆炎をバックミラーで眺める。



 もちろん、リオンは直ぐさま、リボルバーのシリンダーをずらして、残団数を確認する。


 マーリーンは、後方に目を向けると、爆煙とトラックや装甲車などを目にした。

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