ショーン達は、いきなり襲撃されて、下からピストルで撃たれている。
「奴ら、拳銃を撃ってくるぞっ!?」
「狙撃は任せろっ!」
「私の釘も、喰らえにゃっ!」
斜め向かいにある、三階建ての建物から、こちらにむけて、銃弾が何発も飛んでくる。
どうやら、チンピラ達は、二階と一階から攻撃してきているようだ。
ショーンは、連中の登場に、姿勢を低くしながら、屋根に隠れているしかない。
反撃のため、ワシントンは狩猟弓を素早く構えて、矢を放った。
ミーも、勢いよく釘を投げつけると、直ぐに身を引っ込める。
「こっちは、守られているから撃ち放題だっ!」
「てめえ等の攻撃なんざ、効かねーーんだよっ!」
建物の窓から、チンピラ達は銃弾を次々と放ってくるが、それは内側に金網を、貼っているからだ。
これにより、こちら側の射撃は弾かれてしまい、連中が死ぬ事はない。
「くぅぅ? 外れたか、参ったな」
「私の釘も、当てにくいにゃっ!」
「ここは、私の火炎魔法でやるわっ!」
敵の金網に、射撃が
その時、リズが飛び出て、建物に向かって、マジックロッドから大火球を放つ。
「ぎゃああああっ!」
「うわ、魔法使いが居るぞっ!!」
大火球が、窓の金網に当たり、ピストルを構えていた、チンピラは燃えながら暴れだす。
その隣に立っていた、チンピラは燃える仲間を見ると、慌てて壁に身を隠した。
「リズ、やったなっ! 今だっ!」
「ぐおっ?」
「ウアアアア」
「ギュアアアアッ!」
屋根から立ち上がり、ワシントンは狩猟弓で、チンピラを狙撃する。
それは、金網を通り抜け、弾倉を入れ換えていた、奴の右腕に突き刺さった。
双方で、攻撃し合っているうちに、路上のゾンビ達は、銃声や炎に反応して騒ぐ。
この中でも、フレッシャーが金網を叩いたり、二階に上がろうと、ジャンプし始めた。
「不味いっ! このままじゃ、こっちはゾンビに食われちまうっ!」
「任せろっ! 煙玉を投げるっ!」
ショーンは、屋根から下を見て、窓や室外機を掴んで上がろうとする、フレッシャーを見て叫ぶ。
ターバンに手を突っ込み、スバスは煙玉を地面に幾つか転がした。
ブワッと炸裂した煙玉は、灰煙を上げながら、十字路に広がる。
「ギュアアアアッ! グアッ!」
「邪魔っ! みんな、今だよっ! 煙に紛れて先に行こうっ!」
「そうするかっ! ゾンビの相手は、チンピラ達に任せようっ!」
「グルアアアア」
塀から、一気に屋根まで飛び上がってきた、フレッシャーは、ロングソードで斬り捨てられる。
そして、真っ二つになった死体が落下していくと、フリンカは力強く叫ぶ。
ショーンは急いで、ロープを渡ろうとするが、向こう側に、何か正体不明な敵が現れる。
灰煙で、姿は見えないが、叫び声から察するに、敵なのは間違いないだろう。
「ギャアアッ!?」
「うわ、危ないっ!」
「ショーン、先を急ぎましょうっ!」
「ここに居たら、全滅だ」
煙の中から、いきなり、スピットゲローが現れて、強酸を吐こうとした。
だが、ショーンは素早く、バックラーを前に出して、顔面を叩いた。
その結果、奴は落下していき、道路に衝突して、グチャッと嫌な音を立てた。
リズとスバス達も、ロープを伝って、こちら側の屋上へと、やってきた。
「下がれっ! ボンバーが現れたっ!」
「不用意に撃つなっ!!」
チンピラ達は、何人存在するのか分からないが、どうやら銃撃で、ゾンビを集めているらしい。
連中が言うボンバーを、ショーン達は、新種のゾンビだろうと思って、速やかに離れていく。
「このまま、突破するにゃっ!」
「ワシントン、早くしてっ!」
「分かってる、今いくぞ」
「あっちに向かうように、爆弾を投げてやろうっ!!」
「グズズズしている暇は…………無いよっと」
「殿は任せろ、先にいけっ!」
屋上を一目散に、ミーは走っていき、リズは火炎魔法を下に乱射しまくる。
ワシントンは、フック付きロープの縄をほどくと、向かい側に勢いよく、ジャンプした。
彼が壁を登ってくるまで、スバスは爆弾を投げて、ゾンビ達の注意を剃らそうとする。
屋上から屋根へと走るフリンカは、登って来ようとした、フレッシャーの頭を蹴飛ばす
ショーンは、最後まで残り、敵が追撃して来ないかと見張る。
「グアッ!?」
「ブルアアアアーーーー!!」
「来やがった、ボンバーだっ!」
「逃げろ~~!!」
さっき、フリンカが蹴落とした、ゾンビは落下して、真っ赤な血液を撒き散らした。
その間に、何かがチンピラ達の拠点に迫っている様子が伺えた。
「なんだ?」
「ショーン、早くしな」
下が気になった、ショーンは警戒感を強めるが、フリンカの声で逃げる事を選択した。
「そうだな、逃げないとな」
こうして、ショーン達は、十字路から屋根づたいに離れていった。
「はあ、はあ…………ここまで来れば、大丈夫にゃ?」
「ここが目的地の武器店? スポーツ店だったか?」
三階の窓から見た、木々や芝生に囲まれている広い駐車場には、ゾンビが存在しなかった。
代わりに、小さなホームセンターのような店が一件だけ、真ん中にあった。
緑色の壁面には、金色に光る、文字や絵に見える異国風な装飾が描かれていた。
また、正面屋上には、大きな長剣と盾のオブジェが、看板として設置させられていた。
「こっちは広い場所みたいだねぇ?」
「確か、自然公園が近くにあったはずだわ」
店を眺めた、フリンカが呟くと、リズも同じ方向に目を向けながら話す。
「ワシントン、ロープを垂らしてくれ、ここは俺のオレンジ色のターバンを見せたら、店の人間が出迎えてくるはずなんだ」
「それなら、任せろ、今やるからな」
スバスが頼むと、ワシントンは窓に、フックを引っ掛けて、ロープを垂らす。
「人影が見えるな…………おい? みんな、降りて来てくれ」
「よいしょ、よいしょ、っと」
「よっと、敵は居ないな?」
「周りは、大丈夫みたいだね、敵は無し」
ロープから滑り降りて、手を振るう、スバスは遠くから同じように、右腕を振る人物を見かけた。
その間に、リズとショーン達も続いてきて、素早く辺りを見渡す。
しかし、敵の姿はなく、広い駐車場は何処までも、平和な景色が続いていた。
フリンカも、飛び降りると、首を左右に降って見たが、敵が見えないので、彼女も安心した。
「ロープは回収したぞ」
「下の階には、ゾンビは居なかったにゃ」
茶色い煉瓦の建物から、ワシントンとミー達は、普通に入口を開けて出てきた。
「よし、向こうに歩いていこう」
「向こうも待っているからね」
ショーンとリズ達は、武器店まで歩いていき、向こう側も入口を開けた。
こうして、六人は目的地である店屋まで、無事にたどり着いた。
「待っていたぞ、食糧は?」
「ゾンビが居たからな? 持って来れなかったぜ」
黒アリ人間が、ショーンを入口で迎えたが、彼の期待する食糧は、装甲トラックに置いてきた。
それを聞いて、店内に立て籠っていた、周りの人間たちは、残念そうな表情を見せる。
「リーダーは、誰だい?」
「店長のゴルバだ、店の奥の休憩室で、武器を作っているはずだ」
「そいじゃ、取り敢えず、挨拶に行ってくる」
「まず、マルルン達を救出する…………彼等と力を合わせれば、食糧を持って来られるからな」
フリンカが質問すると、黒アリ人間は、まだ残念そうな顔をしながらも、奥を指差した。
ショーンとワシントン達は、先を歩く彼女に着いていき、店内を歩いていく。
店の
また、人間や亜人種と言った人々も、店内で椅子や樽に腰掛けていた。