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第27話 冒険者パーティーVSコンボイ


 ショーンが、敵に手榴弾を投げまくった事により、形勢逆転できた。


 そんな中、フリンカが勢いよく、ロングソードを構えて走ってゆく。



「へぇ…………殺るのかい?」


「この野郎、死にやがれっ! うげぇっ!」


「撃ち殺してやるっ! あっ!?」


「フリンカッ!!」


 フリンカは、自らを狙う、青いフードを被る海トカゲ団員の放った矢を、ロングソードで弾く。


 さらに、走る彼女は、奴の腹に剣を深々と差し込み、口から血反吐を吐かせた。



 フェドーラ帽を被り、青いポンチョを着た、海トカゲ団員は、彼女に散弾銃から無数の弾丸を放つ。


 しかし、ショーンは心配して叫んだが、先に倒された敵の死体が、肉盾にされていた。



「殺られたか、なら一緒に死ねっ!」


「ライルズ、やってしまいっ!」


「フリンカ、頭を下げろっ!! あの魔法は避けられないっ!?」


「言われなくても、やるよ」


 コンボイは、再び動きだし、ライルズは風刃魔法を連射してくる。


 これを運転するスザンナは、速度を上げて、周辺を周り始めた。



 ショーンは、先程から地面に伏せたまま、じっと動かずに、攻撃を耐えている。


 対する、フリンカは死体を敵の方へと投げつけてから、直ぐに伏せた。



「クソッ! アホどもが、うわっ! 火がっ! ぎゃああっ!」


「うぐっ! 殺られ…………」


 重鎧の海トカゲ団員は、アサルトライフルを乱射しまくるが、リズの強力な火炎魔法に燃やされる。


 青いベレー帽の海トカゲ団員は、ワシントンの矢を受けて、後ろに倒れてしまう。



「敵の反撃だっ!」


「クソ、もう俺達しか居ないっ! あっ!」


「うにゃあっ!」


「ミー、やってくれたか」


 青い野戦帽を被り、迷彩服を着ている、海トカゲ団員は、額にナットが突き刺さる。


 青い尖り帽子を被り、青いローブを着ている海トカゲ団員も、右目にボルトが命中する。



 これらは、ミーが放った指弾であり、ドラム缶の裏に隠れながら攻撃してきた連中を見事に倒す。


 その様子に、ショーンは敵部隊を殲滅できたと、感心しながらも歓喜する。



「俺の爆弾、リズの魔法とワシントンによる矢の攻撃…………それに加えて、ミーの指弾」


 残る敵は、ライルズとスザンナ達が乗った、コンボイだけだ。


 ショーンは、どうやって、二人を倒そうか悩みながら、その動きを観察する。



「ショーン、よくも部下たちを殺してくれたな? まあ、あの時みたいに、お前のせいにしてやるからなっ!」


「アンタ見たいなブサイク、私のダーリンが殺るまでも無いわっ! 私が引き殺してやるっ!」


 金髪碧眼の優男が叫びつつ、風刃魔法を、ショーンに当てようと、ドラム缶を切り刻みまくる。


 車内からは、銀髪ロングヘアで碧眼の美女が、怒鳴りながら、走る速度を上げ始めた。



「うわわっ!! 今度は俺一人を狙って来やがったかっ?」


「ショーン、奴らを頼む…………また、こっちに誘導してくれ」


 頭を上げられず、全く身動きが取れないショーンは、ただ風刃魔法が当たらないでくれと願う。


 そんな彼に、近くに隠れていた、スバスが話しかけると同時に、何か円盤状の物を投げた。



「スバス? うあっ!」


「ぐああっ! なんだ、手榴弾かっ?」


「地雷よっ!」


 ショーンに近づいて来ていた、コンボイは地面に落ちた地雷を踏んで、炸裂音を木霊させた。


 土煙を上げても、まだ車両は走り、ライルズとスザンナ達は、そのまま攻撃を続ける。



「やったか? いや、てか…………こっちにくんなやっ!」


「はっはっはっはっ! ショーン、情けないなっ!」


「情けないアンタには、バンパーのキスが、お似合いだわ」


 ショーンを執拗に狙って、ライルズは風刃魔法を放ちまくり、スザンナは彼を引き殺そうとする。


 こうして、コンボイはドラム缶や木箱の周辺を、またもやグルグルと走り回りだした。



「そう言う貴女にも、火炎魔法が似合うわよっ!」


「ぎゃあっ!! 何よっ!?」


 コンボイの窓ガラスに、いきなり大火球をリズは当てた事で、スザンナは焦った。



「よいしょ、次いでに、これもプレゼントに貰っていきな?」


「にゃあっ! これを喰らうにゃっ!」


「ぐっ! スザンナ、確りと運転してくれっ!」


「こんな状態じゃ、無理よっ! うぎゃっ!」


 両手で頭上に木箱を掲げて投げたあと、フリンカは追加で、死体も振り回しながら飛ばす


 ミーも、何個か手榴弾を転がして、コンボイの真下から攻撃した。



 これにより、フロントガラスは、木片や血飛沫ちしぶきで汚れてしまい、前が見えづらくなる。


 そして、ライルズは焦りまくり、スザンナも走る速度を落とざる負えなくなった。



「ざまあみろっ! お前ら何か、ゾンビ達より怖くねぇんだよっ!」


「このっ! お前だけは殺してやるっ! うわっ!」


「きゃっ!? また、攻撃?」


「むぅ…………装甲が邪魔で狙えない? あと、やはりタイヤも分厚いな? 軍御用達の特別製か?」


 ショーンは、敵を惹き付けるため、敢えて挑発するが、これは大変危険な行為である。


 当然だが、ライルズとスザンナ達は、怒って彼を狙ってくるからだ。



 しかし、二人の隙を狙って、ワシントンは素早く狩猟弓を射っていた。


 だが、防盾とフロントガラスに弾かれたり、軍用タイヤは、矢が突き刺さってもパンクしない。



「くっ! 仕方ないっ! いったん、体制を立て直すっ!」


「ここは、戦略的撤退よっ! 目的は、充分に果たしたわっ!」


 ショーン達の執拗な攻撃でも、コンボイ自体は壊れなかったが、それでもタイヤ等は傷ついている。


 彼等は、必死で戦っており、与えたダメージは確実に蓄積されていたのだ。



 それ故、ライルズとスザンナ達は、車体が不自然に揺れだした、異変に気がついた。


 これにより、二人は戦闘を継続する事は、困難だと覚り、一気に逃げ始めた。



「逃げんのかっ! 卑怯者っ!」


「うるさいっ! うわっ!?」


「黙れってのっ! きゃっ!」


 ショーンは、撤退する二人を挑発するが、それを聞いて、ライルズとスザンナ達は怒鳴る。


 また、彼を無視して、コンボイは走るが、車体が、いきなり下から激しい衝撃を受けた。



「よし、俺が仕掛けて置いた地雷を踏んだな?」


「スバス、お前が挑発しろと言ったのは、このためだったんだな…………」


「く、だが、まだ車は走るっ!」


「このまま、逃げきるわよっ!!」


 スバスが、自信満々な表情で逃げるコンボイの後部を見ている。


 そして、ショーンは自身を囮にする理由は、だいたい分かっていた。



 二人は、普段から海洋性の魔物などを相手にして、連携攻撃を行っている。


 それ故、互いに作戦の意図を理解していたから、スムーズに攻撃が成功したワケだ。



 こうして、彼等から車体を揺らしながらも、ライルズとスザンナ達は、何とか逃走していった。



「おお~~い? 他の連中は生きてるか?」


「みんな、怪我は無いかっ?」


 連中が、東側の門を遠って逃げていくと、ショーンは仲間たちが無事か、確認しようとした。


 スバスも、負傷者の心配をして、地面に伏せている皆に声をかけた。



「生きてるにゃああ…………」


「ふぅ~~もうダメよ、疲れたわ」


「俺は、無事だ」


「私は、ピンピンしてるわよ? けど、大変な戦いだったわね」


 棍を杖の代わりにして、ミーは立ち上がり、ドッと疲れた表情で呟く。


 溜め息を吐きながら、フリンカは木箱の上に、腰を下ろした。



 ワシントンは、矢筒の中身を確認しながら答えると、ドラム缶に背中を預けて、地面に座った。


 リズも、無事ではあったが、背中を丸める姿は、疲労しているのが分かる。



「そうか、じゃあ終わ…………」


「いけえ~~~~~~!?」


 ショーンは、両肩から力を抜くと、そこに黒い業務用バンが、二台も走ってきた。


 突然、現れた新たな敵に、仲間たちは一気に臨戦態勢を整える。



「殺せっ! ここの連中は、皆殺しにするんだっ!」


「食糧を奪い返すんだっ!!」


「お前たち、さっさと身を隠せっ!」


 バンの中からは、チンピラ見たいな連中が、次々と現れて、周囲にあるドラム缶や木箱に隠れる。


 そして、リーダーらしき体格のいい黒人男性が現れて、激を飛ばす。



 頭に、紅いバンダナを巻いた大男は、灰色のジャケットに、短パンと黒いシューズを履いている。


 首には、金色のネックレスを三枚も身につけており、いかにも柄が悪い雰囲気を出してた。



「不味い、奴等は、ボルドーだっ!」


「はぁ~~? もう、本当に爆弾も体力が残ってないぞ…………」


「海トカゲ団の次は、BB団とわねっ!」


「BB弾?」


 突如、現れた武装集団に、ショーンは目を見開いて、驚きの余り叫んだ。


 スバスは、鉄投擲武器などを全て使い果たし、手元にあるのは鉄球だけである。



 ギャング・チンピラ見たいな格好をした敵に、リズは苦虫を噛み潰したような顔を向ける。


 ミーは、それを聞いて、いったい何の名前かと思い、不意に呟いた。



「止めるんだ、タイソンッ! ワシじゃ、サイードじゃっ!」


「あ? 爺さんっ!」


 新たな敵の登場に、ショーン達は身構えたが、そこに奥から、サイード爺さんが現れた。


 そして、彼の言葉を聞いて、リーダーである、タイソンは驚いてしまう。



「この人達は、ワシを救おうとしたんじゃ」


「そ、そうか? 爺さんが、そう言うなら」


 サイード爺さんは、具合の悪そうな体を無理させて、倉庫からでてきた。


 タイソンは、彼の身を案じながら駆け寄り、肩を貸して助けた。

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