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第25話 第二回戦

 ショーン達は、一気に敵を殲滅してしまい、室内を制圧できた。



「ふぅ? どうやら、二階には中から階段で行けるようだな?」


「それより、食糧が大量に置いてあるよ」


「トラックの中にも、詰め込まれてるにゃっ!」


「きっと、他の場所から奪って来たのね…………」


 ショーンは、二階の金網が張られた作業通路へと続く階段を、壁際に発見する。


 フリンカは、そこら中に置いてある略奪された物資を見ながら呟く。



 ミーは、一台だけある装甲トラックの中を見ながら、驚いた声を上げる。


 いつの間にか近づいていた、リズも木箱や段ボール箱に目を配る。



「スバス、裏に行ったんじゃなかったのか? まあ、予定通り支援してくれたから別に良いが?」


「ああ、それなんだが、裏口は二つとも開けられなかったんだ」


 トラックの正面に行った、ショーンは左側から近づいてくる、スバスに話しかける。


 すると、壁際に大量に設置された物資の山に、彼は目配せをする。



「なるほど、箱の山だらけで、ドアが開かなくなってたか」


「ん? 誰だっ! 出てこないと、爆弾を投げてやるっ!」


「なんだ? 敵が残っていたのか、なら気を引き締めないと」


「…………撃たないでくれ」


 ショーンは、壁一面に置かれた、食糧品や缶詰を見ながら呟く。


 そして、スバスは装甲トラックの下に誰かが隠れている事に気がつく。



 ワシントンは、敵の残党だと思って、急いで狩猟弓を構える。


 しかし、トラックの下から這い出てきた人物は、無害そうな老人だった。



「ワシは、サイード…………ここの作業員じゃ、奴等に捕らわれてから、ずっと車両整備をさせられてたんじゃ」


 サイードと名乗る老人は、白髪に褐色肌で、青色の作業着を着ている。



「爺さん…………ガリガリだな? 取り敢えず、飯を?」


「大変、まず、お水を飲んで下さい」


「敵の襲撃があったらしいな?」


「たく、本隊が動かなく成らないとわねぇ」


 ショーンは、サイードの痩せ細った体を見て、これは捕らわれてから、あまり食べてないと思った。


 リズも、彼を介抱しようと近くにあった、ペットボトルを持ってくる。



 そんな彼等の耳に、外から男女二名が会話しながら近づいてくる声が聞こえた。


 しかも、二人は部下を引き連れてきたらしく、エンジンの音も聞こえる。



「爺さん、トラックの中に隠れてろっ!」


「そうさせて、貰うぞ…………」


「ここは、私たちに任せな」


「敵か? 逃げるのが、遅れたか…………爆弾も少ないのに」


「やるしかないにゃ、とにかく、やるにゃーーよ」


 ショーンは、敵が中に入ってくる前に、装甲トラックに、サイードを隠そうとする。


 ロングソードを構えた、フリンカは外のチンピラ連中に、警戒心を一気に高めた。



 スバスは、しまったと思ったが、すでに包囲されているらしく、彼も戦闘を覚悟する。


 背中から混を取り出した、ミーは右手に、ギザギザ手裏剣を握る。



「リズ、倉庫の上に行くんだっ! ワシントン、お前も援護を頼むっ!」


「上ね? 分かったわ」


「援護は任せろ」


 ショーンは、リズとワシントン達に、指示を出すと、自らは敵の侵入を警戒する。



「ヒャッハー、敵が中に隠れているぜっ!」


「撃ち殺せっ!」


 シャッターを開いた敵は、タワーシールドを構えて、前に進んできた。


 しかも、かなりの人数で、アサルトライフルと魔法を連射してくる。



「うわっ! ダメだっ! フリンカ、ミー、スバス、陰に隠れろっ!」


「確かに不味いねっ!」


「ヤバいにゃっ! 撃たれちゃうにゃっ!」


「コイツは不味いっ!」


「ザコどもが、逃がすかっ!?」


「やっちまえ、やっちまえ」


 ショーンは、右側の方に逃げていき、フリンカは左側に走っていく。


 ミーとスバス達は、トラックの後部へと、急いで避難していった。



 重鎧を着ている二名の敵は、タワーシールドを構えたまま、ゆっくりと歩いてくる。


 その背後からは、アサルトライフルが火を吹きまくり、マジックロッドから氷柱つららが放たれまくる。



 さらに、外からは敵の援護射撃により、様々な銃弾と魔法が放たれまくる。



「不味い、海トカゲ団だっ! 奴等は、訓練されているから手強いぞっ!」


「海トカゲ団? いや、それより、ヤバい状態だわっ!」


「ひゃははっ! このまま殺してやるっ! うげっ!」


「な、敵の襲撃かっ! ぐへっ!」


 ショーンを狙って、タワーシールドを構えていた敵に火炎魔法が側面から当てられる。


 フリンカも床に伏せて、魔法の乱射を避けていたが、敵はマジックロッドを床に落とす。



「やったわ、うっ! 今度は私が狙われてるっ!」


「俺も移動しないとっ!」


 透明なフェイスバイザー付きの青いヘルメットを被る敵は、タワーシールドを床に落とす。


 リズの火炎魔法が何発も当たり、火達磨になり、黒焦げとなったからだ。



 青いアーメットを被る敵は、マジックロッドを拾ったが、もう使えない。


 何故なら、それを、ワシントンが密かに狙撃して、壊したからだ。



「体勢が崩れたかっ! これなら、こうして殺ればっ!」


「くっ! この野郎っ!」


 外から、激しい銃撃と魔法が跳んでくるにも関わらず、ショーンは倉庫の端から飛び出る。


 そして、海トカゲ団員が、上方に位置するリズを狙っている最中に、タワーシールドを拾う。



「おら、このまま押してやるっ!」


「ぐぅっ! うわっ!」


「あの野郎っ! うっ!」


「こうなったら、素手で殴って、あっ?」


「させないにゃっ!」


 ショーンが、タワーシールドを構えたまま、アサルトライフルを連射する海トカゲ団員にぶつかる。


 すると、そっちに気がついた、もう片方のタワーシールドを持つ、海トカゲ団員が走り出す。



 さらに、マジックロッドを失った、海トカゲ団員も、籠手で殴ろうと襲いかかる。


 しかし、二人とも、ミーの放った釘をバイザーに当てられて、一瞬だけ怯む。



「この程度、喰らえっ!」


「うわっ! また、タワーシールド持ちかよっ!」


「くっ! あそこにも、敵が? うわああ」


「なっ! 火炎魔法かっ!」


「それに、トラックの裏にも居るらしいな?」


「それだけじゃないよっ! そらっ!」


 フェイスバイザー付きのヘルメットを被る海トカゲ団員は、タワーシールドを構えて走る。


 そして、ショーンをタワーシールドで、後方に押し倒してしまった。



 一方、アーメットを被り、先ほど倒された海トカゲ団員は立ち上がり、アサルトライフルを構えた。



 さらに、マジックロッドを失った海トカゲ団員も、ミーの方に殴りかかろうと駆け出した。


 だが、彼のアーメットに遠くから、フリンカが木箱を投げつけた。



「ぐわっ!?」


「よし、今ならっ! これでっ!」


「うおっ?」


「このまま、楯で押し潰してやるっ!」


「く…………」


「お前は、私がやるにゃっ!」


 木箱が衝突して、頭に衝撃を与えられた、海トカゲ団員は、後ろに倒れてしまう。


 その間に、アサルトライフルにも缶詰が幾つも投擲されて、銃弾は滅茶苦茶に乱射される。



 タワーシールドを持つ敵は、ショーンに詰めより、ボディープレイを行い、圧死させようとした。


 しかし、銃弾が飛び交う中、ミーが飛び出しながら棍を構えて突撃する。



「ぐほぉっ!!」


「後は離れるにゃ~~よっ!」


「このっ! 喰らえっ! ぎゃああーー!!」


「アンタは、私の魔法を喰らいなさいっ!」


 タワーシールドを構えて、飛びかかろうとしていた、海トカゲ団員を右側からミーが打突を与えた。


 それにより、奴は衝撃が鎧の内部まで伝わり、またも怯んでしまった。



 そして、彼女やスバス達に、アサルトライフルを乱射する海トカゲ団員だが。


 奴は、リズの火炎魔法を何発も浴びて、体中を焼かれて、息絶えてしまった。



「はっ! ああ、これも持ってたんだっ!」


「うぅ? うわあっ!」


「ぐわあっ!?」


 タワーシールドを構えて、ヨロヨロと動く、海トカゲ団員に、スバスは地雷を投げつけた。


 立ち上がったばかりのアーメットを被る海トカゲ団員にも、フリスビーみたいに投げられた。



「怯んでいたら、私の魔法が飛ぶわよ」


「弓矢でも、頭を狙えば怯ませられるだろう」


「また火炎魔法が、後退だっ!」


「うっ! 火炎魔法は危険だっ!」


 連中は、重鎧を着ているが、回転しながら衝突した地雷が爆発して、よろけてしまう。


 さらに、リズによる火炎魔法が乱発されて、火の玉が、床を跳び跳ねる。



 また、アーメットを被る海トカゲ団員は、ワシントンの狙撃を正面から頭に受けて、さらに焦る。


 こうして、不利を覚った二人は、そのまま外へと撤退していった。

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