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第24話 襲撃作戦


 ショーン達は、食糧を取り戻すべく、自動車整備工場を兼ねた、倉庫に向かおうとしていた。


 この建物は、シャッターが三つあり、両端にはドアがあった。



「よし、みんな? 行くぞ」


「待て…………ゴーレムとドローン達は居なくなったっ! ここからは、俺が弓で援護するっ!」


「つまりは、ステルスキルしながら進めって、事にゃあ?」


「一気に行くのも、いいけど、確かに隠密の方が安全に敵を倒せるねぇ」


 ショーンは、敵が少なくなったので、一気に勝負を挑もうとした。


 しかし、ワシントンは彼を止めながら、自らが考案した作戦を説明する。



 それを聞いて、ミーは暗殺しながら戦うのかと思い、得意気な表情を浮かべた。


 フリンカは、ロングソードを構えると、何時でも行けるように準備をした。



「なら、援護は任せたぞ、ワシントン」


「ああ、ここから敵を射ち殺す」


「私にも、先導を任せてくれにゃ…………」


 ショーンは、ショートソードを右手で強く握り、チンピラ達を睨む。


 敷地内を歩くチンピラ達は、僅かな数しか居なくて、みんなドラム缶や木箱の回りを歩いている。



 ワシントンは、右側上方へと狩猟弓を構えて、狙いを定めた。


 ミーの方は、背中のベルトに黒いスカーフで、棍を閉めて、固定した。



「ミー、何か暗殺技でも、あるのか?」


「さっき言った通り、投擲は任せてくれにゃ」


 ショーンの質問に答えながら、ミーは懐から電動サンダーに取り付ける、ギザギザ刃を取り出した。



「私は、先に行って、あっちの敵の数は減らすにゃ!」


「俺は、援護する」


 ミーは、背中を丸めながら、物音を立てずに素早く走っていく。


 それを見られないように、建物の屋上で見張るスナイパー達を、ワシントンは射殺する。



「フッ! …………」


「次はっ!」


「ぎゃっ?」


「うわっ!?」


 ミーが静かに投げた、ギザギザ手裏剣は、魔法使いのチンピラに当たり、後頭部に突き刺さった。


 彼女は、次にピストルを持っていた、チンピラに背後から近づき、その首に刃を当てる。



 ワシントンによる狩猟弓を使った射撃も、左右の建物に立っていた、スナイパー達を暗殺する。



「ん? 誰か居たような? 気のせいか? う…………」


「誰だ…………って、勘違いか? ぐがっ!」


「はっ!」


「当たってくれ」


「よし、二人とも頼りにしているぜっ!」


「私達も、敵が殲滅されたら行くよ」


 ミーは、ドラム缶などの物陰を利用しながら、密かに進み、次々とチンピラ達を倒していく。


 ワシントンも、彼女に対して、弓を射ちながら援護して、敵の側頭部に



 ショーンは、先に行動する二人を見守りつつ、何時でも突撃できる準備を整える。


 また、フリンカも不足の事態に備えて、ロングソードを右手に強く握り締める。



「ねぇ、ショーン? 私は、ワシントンとともに待機しているわ、暗殺は得意じゃないし? いざと成ったら援護するし」


「俺は、着いていくぞっ! ステルスキルはできないが、いざ、銃撃戦と成ったら爆弾を投げて戦えるからな」


「分かった…………リズは待機していてくれ、スバスは戦闘を任せる…………と、言ってる間に制圧が完了したらしい」


 リズの扱う火炎魔法は、チンピラ達を狙って射つには、かなり目立つ。


 スバスの爆弾や鉄球も、隠密行動には適していないため、二人とも待機しようとする。



 しかし、ショーンは敵が潜入に気がつくと思っていたが、呆気なく終わってしまい、拍子抜けする。


 戦闘になる可能性を考えていた彼等だったが、チンピラ達は、余りにも弱く人数が少なすぎたのだ。



「ミーが手招きしている、行くぞ」


「後ろは任せろっ!」


 ミーの方に、ショーンが走り出すと、仲間たちは彼の後に続いて、倉庫に向かっていく。


 ワシントンは、列の最後尾で辺りを警戒しながら、進んでいく。



「こっちだにゃ? いきなり、突入するのは危険だから、どうするにゃ?」


「俺が裏口で、爆弾を使って、敵の注目を集める」


「その間に正面から、俺達は突入するか」


「できれば、静かに行きたいんだけれど、派手に行くしかないねぇ」


 ミーは、倉庫の右端にあるドアにたどり着くと、手に釘を持って待機する。


 そこに着くと、スバスはチンピラ達を奇襲するべく、裏から攻撃を仕掛けようと、提案してきた。



 ショーンは、バックラーとショートソードを構えて、低姿勢になり、突入の準備をする。


 ロングソードを両手で強く握る、フリンカも中で暴れる気は満々である。



「なら、私も後ろから行くわ、派手に魔法を連射すれば、敵の注意を惹けるし」


「俺は、正面チームを背後から支援するっ! 敵の銃器に対抗するためにな」


「分かったぜ、二人とも射撃は任せた」


「さあて、私も気合いを入れないとねっ!!」


 派手な火炎魔法は、連射が出きるため、リズは援護に徹する事にした。


 一方、ワシントンは正面から、チンピラ達と撃ち合い、仲間たちを守ろうかと考えた。



 頼もしい援護キャラの二人に、ショーンは射撃を任せて、自らは白兵突撃を敢行しようとする。


 フリンカも、前後で敵を挟み討ちにするべく、彼の後ろで、顔を険しくさせた。



「じゃあ、行くぞ、俺達から仕掛けるからな」


「派手に射ちまくった後、入って来てね?」


 それだけ言うと、スバスとリズ達は、右側から倉庫の裏手へと回って行った。


 こうして、彼等は襲撃作戦を実行に移そうとしたが、いきなり遠くで爆発音が木霊した。




「うわっ! 段々、近くなって来たな? 中に入ったら、はやく奴らの車を奪って逃走しよう? 連中が食糧を盗んだ時に使ってた奴が、まだ残っているはずだ」


「中の連中は、全員やっつけて、さっさと逃げようにゃっ!」


 遠くで聞こえた、爆弾が炸裂する音に、ショーンは焦ってしまう。


 同じく、ミーも表情を険しくさせながら、ドアを開けようとする。



「ショーンッ! やるぞ、喰らえっ! この野郎っ!!」


「こっちよっ!! 火炎魔法を連射してやるわっ!」


「ぐわっ! な、なんだっ!」


「襲撃かっ! ついに、ここまで来やがったか」


 音から察するに、スバスが小型爆弾を幾つか投げて、リズが火炎魔法を乱射しているようだ。


 倉庫内からは、チンピラ達が混乱しながら魔法や銃撃で、反撃する音が聞こえる。



「左側から行ったようだな、よしっ! 俺たちも突入するっ!」


「行くよっ! 敵を一気に殲滅するよっ!」


「それじゃ、行くにゃああっ!」


「…………援護するが、俺も向こうのドアから支援を行うっ!」


 チンピラ達が、二人の襲撃に気を取られている内に、ショーンもドアを開きながら走っていく。


 フリンカも、ロングソードを真っ直ぐに構えながら突撃していく。



 室内に突入すると同時に、ミーは右手を振るって、釘を投げ飛ばした。


 ワシントンは、いつの間にか、左側正面にあるドアに移動しており、そこから狩猟弓を射っていた。



「このっ! 死にやがれっ!」


「うわあっ!?」


「て、敵襲~~~~!! ぐあ?」


「静かにしな」


 左側のドアを狙い、チンピラはピストルを撃っていたが、ショーンが素早く近づき、胸を斬られた。


 短杖から雷撃魔法を放ってきた、チンピラだったが、フリンカのロングソードを腹に突き刺される。



「おいっ! こっちからも来たぞっ!」


「気にするなっ! やっちまえっ!」


「凍らせてやるっ!」


「死ねーーーーーー!!」


 屋内中央に位置する、軍用装甲トラックの上からは、チンピラが両手から火炎魔法を連射してきた。


 その後部からも、アサルトライフルを、チンピラが猛烈に乱射してきた。



 二階左側に、三つある作業通路に立つ、チンピラは、マジックワンドから氷結魔法を放ってきた。


 また、反対の壁際からも、チンピラが二連ショットガンを射ってきた。



「にゃっ! にゃっ!」


「上の連中は、俺がやる」


「うっ!」


「ぐあ…………」


「うげっ! がは」


「うわああああ?」


 チンピラ達による反撃は強力だったが、ミーは釘を投げて、トラックの上に立つ、一人を殺す。


 次いで、ナットを指弾で跳ばして、トラック後部から攻撃してくる、チンピラの喉を射ち抜いた。



 ワシントンは、左側の作業通路から、氷結魔法を乱射していた、チンピラを狩猟弓で仕留める。


 右側の壁に位置するチンピラも、燃え上がった事から、リズが仕留めたと思える。



「やっちまったか?」


「どうやら、そう見たいだね」


 こうして、ショーンとフリンカ達は、一気に敵を殲滅する事に成功した。

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