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第19話 料理は何処へ消えた…………


 路上には、無数のゾンビ達が歩き回っていた。



「行くぜっ! …………と、待てよ?」


「どうしたんだい? ショーン」


 ショーンは、いざ突撃しようと身構えたのだが、ゾンビ達を観察して、いきなり動かなくなる。


 ロングソードを引き抜いた、フリンカも既に戦闘に備えていたが、彼が止まった事を不思議に思う。



 ここには、左右に煉瓦ビルが立ち並び、二台のピックアップが破壊されていた。


 また、一台の小型トラックが、ほぼ無傷なまま最後尾に停車している。



 そして、辺りを彷徨く、ゾンビ達の顔は青白く、目は虚ろであった。


 もちろん、酷い怪我をした彼等は、ほとんど人間の面影を残していない。



「グオッ! グオッ!」


「ギャアア」


「ブルアアアアッ!!」


「フリンカ、奴だ…………あのデカイのを見ろ」


「アイツは何だろうね?」


 ショーンは、フリンカに目を合わせ、静かに息を呑んで、特殊感染者らしき敵を二人して睨む。


 何体か辺りで、死体に貪りついている敵の中でも、かなり奴は目立っていた。



 それは、太りすぎた大男のゾンビであり、死後も旺盛な食用は衰えていないようだ。


 凄い勢いで、死体を食べている様子は、皆に嫌悪感を抱かせる。



「不味いな? これじゃ、突撃はできない…………リズとワシントン達の援護を受けながら、ゾンビを迎え討つか」


「そうしようか、前衛は私とショーンだね? 背後はミーとスバス達に任せたわ」


「横から来るのは任せてくれにゃ、私が叩きのめすにゃ」


「爆弾は、まだ残っているっ! と言っても、小型爆弾だけだがな…………いざとなれば、あのデブゾンビに投げてやる」


「私達は、援護に徹するわね、みんなの後ろから攻撃するけど、右側からトラックに行くわ」


「リズの言う通り、最初は援護するが、トラックに上がれば、敵を背後から攻撃できる? オマケに高い場所に通常のゾンビは来られないからな」


 ショーンとフリンカ達は、一気に走りだし、ゾンビの群れに向かっていく。


 ミーは、棍を構えながら突撃し始め、スバスも鉄球を振り回しながら、駆け出していく。



 リズは、火炎魔法により、火玉をアサルトライフル見たいに乱射する。


 ワシントンも、小箱爆弾が装着された、爆裂ボルトに着火して、何度も射ちまくった。



「グア、グアアアア~~!?」


「ギャアアアアッ!!」


「グアッ?」


「グオオッ!」


 右側のゾンビ達は、リズが放つ火炎魔法により、体に火が着いていき、燃え上がる。


 一方、ワシントンが狙った敵は、矢が刺さってから、少し時間が立つと体が爆発する。



「みんな、今のうちに仕掛けてっ!」


「一気に殲滅するんだっ!」


「次は、俺の番だなっ! これを喰らえっ!」


「私だって、やってやるにゃっ!」


 リズは、火炎魔法を単発で放つようになり、狙いをデブゾンビに定める。


 同じく、ワシントンも爆裂ボルトを発射して、太った体を小爆発させた。



 それから、スバスが小型爆弾を幾つか投げつけて、奴の足元や胸の近くで、炸裂させる。


 ミーも、棍を棒高跳びの要領で、地面を叩くと、空中を回転しながら敵に向かっていく。



「グオオッ! グオオッ!!」


「不味いっ! みんな、下がれっ!」


「いや、大丈夫だにゃっ!」


 デブゾンビは、咆哮を上げると、腰から出ている腸を両手で持ち、レーザーのように血液を飛ばす。


 どうやら、奴は小型爆弾や爆裂ボルトなどの攻撃を受けても、そう簡単に殺られてくれないようだ。



 走っていた、ショーンは直ぐ様スライディングで交わそうとした。


 しかし、後ろに仲間たちが存在する事を考えて、バックラーで噴射された血を防御しようとした。



 だが、そうしている間に、高くジャンプしていた、ミーが奴の顔を攻撃する。


 頭上から降り落ちながら、勢いよく棍を振り下ろして、顔面を叩きつけたのだ。



「グオオォォッ!?」


「やったにゃっ! ん…………?」


 デブゾンビは、頭を叩きつけられてしまい、血を吐きながら下を向く。


 だが、今度は、強烈な臭気を放つゲロを大量に嘔吐し始めた。



 ミーは異変に気がつき、すぐにバックステップを繰り返して、奴から離れた。


 すると、敵が下を向いたまま出した、吐き出した汚物は道路を溶かし始めた。



「ミー、離れろっ! こっちまで臭うぞ」


「まさか、強酸性のゲロを吐いてくるとはね」


「にゃっ? フリンカを、カバーしなくちゃっ!」


「いや、俺に任せろっ! 煙玉は残っている」


 ショーンは、匂いを嗅いで、渋面を浮かべながらもバックラーを構えて、デブゾンビと対峙する。


 一方、フリンカは奴の左側へと走っていき、後方に回り込もうと試みた。



 戻ってきた、ミーは行き違いになった、彼女を心配して、再び敵に近づこうとした。


 それを止めた、スバスは頭に巻いた、ターバンから取り出した、煙玉を転がした。



「ガアアアア、グオーーーー! ブッ!」


「やってやるよっ! うわっ!」


 大声で叫んでいた、デブゾンビは走るフリンカを狙って、血液を口から放った。



「アンタ、やるわねぇ?」


「フリンカ、気を付けろっ!」


 フリンカは、デブゾンビの背後に回っていたが、彼女は無事だった。


 咄嗟に、ロングソードの腹で、狙撃吐血を受け止めたからだ。



 ショーンも、白煙が充満する中、右側から敵の方へと向かっていく。


 そんな彼の行く手を、ゾンビ達が遮るように立ちはだかった。



「ウオオ…………」


「クソッ! ゾンビ達まで現れたか?」


「敵の増援か、不味いっ!」


「ショーン、私達は援護を続けるわあっと、危ないっ!」


「グオオォォォォ」


「ガアアァァァァ」


「不味い、ゾンビ達が後ろからも現れたぜっ!」


 ショーンは、続々と現れ始めた、ゾンビの群れを前にして、ショートソードを振るう。


 スバスは、爆弾を幾つか投げながら、鉄球を振り回して、一匹の頭を叩く。



 後方から援護していた、リズにも多数のフレッシャー達が近づく。


 それに、ワシントンも狩猟弓を射つのを止め、武器をボウイナイフに持ち変える。



「ガアアッ!」


「グアアァァ」


「これじゃ、あのデブゾンビまで行けないっ!」


「不味い、鉄球の間合いに入られたっ!?」


「ウガアアーーガアアッ!」


「こっちも、ヤバい、また何かやろうとしてる」


 右側から現れた、ゾンビ達の中には、フレッシャーも混ざっている。


 ショーンは、敵の繰り出した、殴打や噛みつきを、バックラーで防御する。


 近づいてきた群れに対して、一旦距離を取ろうと、スバスは後ずさる。



 デブゾンビが動き出し、次に何をしてくるか分からない、フリンカは奴の背中を切りつけた。


 それから、彼女はバックステップしながら、もう一度攻撃性しようと、足に力を入れた。



「ウガアッ!」


「しまったわ、これじゃっ!?」


「ガアッ! グワ?」


「グオオッ!! ガヒッ!!」


「ガルルッ! グエッ!」


「大丈夫だにゃっ! 私が行くにゃっ!」


 デブゾンビは、斬撃を喰らった事で、背後のフリンカに狙いを定めた。


 さらに、左側からも、多数のゾンビやウォーリアー達が、続々と飛び出してきた。



 それを見て、ミーは素早く動き、混を頭上で回転させながら、敵中に突っ込んで行った。


 次いで、そのまま群れを蹴散らすと、今度は肥満体へと向かった。



「ウウゥゥ~~? ウォーーーー!」


「これで、どうだいっ?」


「喰らえにゃっ!」


 フリンカは、血液レーザーが発射される前に、デブゾンビの腸を切り落とした。


 だが、それでも奴は発射するのを辞める積もりは無いらしく、血を吹き出させようとした。



 その瞬間、ミーが左側から側頭部を狙った打突を与えて、攻撃を中断させた。



「グア~~~~!? ベッ!」


「やばいにゃっ! 今度は、こっちが狙われてるにゃっ!」


「このっ! うらっ! はあ…………行ってくるかな」


「たあっ! よし、リズとワシントン達は任せろっ!」


 デブゾンビが吐いた血玉を回避して、ミーは狙われないように、必死で逃げ回る。


 こうして、左右に動き、サイドステップを繰り返す彼女に注目が集まった。



 その間、ショーンは立ちはだかる、ゾンビ&ウォーリア達を蹴り飛ばす。


 残った一匹も、スバスが鉄球を振り回して、見事に仕留めた。



 それから、彼等は仲間を救うために別れ始めた。


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