路上には、無数のゾンビ達が歩き回っていた。
「行くぜっ! …………と、待てよ?」
「どうしたんだい? ショーン」
ショーンは、いざ突撃しようと身構えたのだが、ゾンビ達を観察して、いきなり動かなくなる。
ロングソードを引き抜いた、フリンカも既に戦闘に備えていたが、彼が止まった事を不思議に思う。
ここには、左右に煉瓦ビルが立ち並び、二台のピックアップが破壊されていた。
また、一台の小型トラックが、ほぼ無傷なまま最後尾に停車している。
そして、辺りを彷徨く、ゾンビ達の顔は青白く、目は虚ろであった。
もちろん、酷い怪我をした彼等は、ほとんど人間の面影を残していない。
「グオッ! グオッ!」
「ギャアア」
「ブルアアアアッ!!」
「フリンカ、奴だ…………あのデカイのを見ろ」
「アイツは何だろうね?」
ショーンは、フリンカに目を合わせ、静かに息を呑んで、特殊感染者らしき敵を二人して睨む。
何体か辺りで、死体に貪りついている敵の中でも、かなり奴は目立っていた。
それは、太りすぎた大男のゾンビであり、死後も旺盛な食用は衰えていないようだ。
凄い勢いで、死体を食べている様子は、皆に嫌悪感を抱かせる。
「不味いな? これじゃ、突撃はできない…………リズとワシントン達の援護を受けながら、ゾンビを迎え討つか」
「そうしようか、前衛は私とショーンだね? 背後はミーとスバス達に任せたわ」
「横から来るのは任せてくれにゃ、私が叩きのめすにゃ」
「爆弾は、まだ残っているっ! と言っても、小型爆弾だけだがな…………いざとなれば、あのデブゾンビに投げてやる」
「私達は、援護に徹するわね、みんなの後ろから攻撃するけど、右側からトラックに行くわ」
「リズの言う通り、最初は援護するが、トラックに上がれば、敵を背後から攻撃できる? オマケに高い場所に通常のゾンビは来られないからな」
ショーンとフリンカ達は、一気に走りだし、ゾンビの群れに向かっていく。
ミーは、棍を構えながら突撃し始め、スバスも鉄球を振り回しながら、駆け出していく。
リズは、火炎魔法により、火玉をアサルトライフル見たいに乱射する。
ワシントンも、小箱爆弾が装着された、爆裂ボルトに着火して、何度も射ちまくった。
「グア、グアアアア~~!?」
「ギャアアアアッ!!」
「グアッ?」
「グオオッ!」
右側のゾンビ達は、リズが放つ火炎魔法により、体に火が着いていき、燃え上がる。
一方、ワシントンが狙った敵は、矢が刺さってから、少し時間が立つと体が爆発する。
「みんな、今のうちに仕掛けてっ!」
「一気に殲滅するんだっ!」
「次は、俺の番だなっ! これを喰らえっ!」
「私だって、やってやるにゃっ!」
リズは、火炎魔法を単発で放つようになり、狙いをデブゾンビに定める。
同じく、ワシントンも爆裂ボルトを発射して、太った体を小爆発させた。
それから、スバスが小型爆弾を幾つか投げつけて、奴の足元や胸の近くで、炸裂させる。
ミーも、棍を棒高跳びの要領で、地面を叩くと、空中を回転しながら敵に向かっていく。
「グオオッ! グオオッ!!」
「不味いっ! みんな、下がれっ!」
「いや、大丈夫だにゃっ!」
デブゾンビは、咆哮を上げると、腰から出ている腸を両手で持ち、レーザーのように血液を飛ばす。
どうやら、奴は小型爆弾や爆裂ボルトなどの攻撃を受けても、そう簡単に殺られてくれないようだ。
走っていた、ショーンは直ぐ様スライディングで交わそうとした。
しかし、後ろに仲間たちが存在する事を考えて、バックラーで噴射された血を防御しようとした。
だが、そうしている間に、高くジャンプしていた、ミーが奴の顔を攻撃する。
頭上から降り落ちながら、勢いよく棍を振り下ろして、顔面を叩きつけたのだ。
「グオオォォッ!?」
「やったにゃっ! ん…………?」
デブゾンビは、頭を叩きつけられてしまい、血を吐きながら下を向く。
だが、今度は、強烈な臭気を放つゲロを大量に嘔吐し始めた。
ミーは異変に気がつき、すぐにバックステップを繰り返して、奴から離れた。
すると、敵が下を向いたまま出した、吐き出した汚物は道路を溶かし始めた。
「ミー、離れろっ! こっちまで臭うぞ」
「まさか、強酸性のゲロを吐いてくるとはね」
「にゃっ? フリンカを、カバーしなくちゃっ!」
「いや、俺に任せろっ! 煙玉は残っている」
ショーンは、匂いを嗅いで、渋面を浮かべながらもバックラーを構えて、デブゾンビと対峙する。
一方、フリンカは奴の左側へと走っていき、後方に回り込もうと試みた。
戻ってきた、ミーは行き違いになった、彼女を心配して、再び敵に近づこうとした。
それを止めた、スバスは頭に巻いた、ターバンから取り出した、煙玉を転がした。
「ガアアアア、グオーーーー! ブッ!」
「やってやるよっ! うわっ!」
大声で叫んでいた、デブゾンビは走るフリンカを狙って、血液を口から放った。
「アンタ、やるわねぇ?」
「フリンカ、気を付けろっ!」
フリンカは、デブゾンビの背後に回っていたが、彼女は無事だった。
咄嗟に、ロングソードの腹で、狙撃吐血を受け止めたからだ。
ショーンも、白煙が充満する中、右側から敵の方へと向かっていく。
そんな彼の行く手を、ゾンビ達が遮るように立ちはだかった。
「ウオオ…………」
「クソッ! ゾンビ達まで現れたか?」
「敵の増援か、不味いっ!」
「ショーン、私達は援護を続けるわあっと、危ないっ!」
「グオオォォォォ」
「ガアアァァァァ」
「不味い、ゾンビ達が後ろからも現れたぜっ!」
ショーンは、続々と現れ始めた、ゾンビの群れを前にして、ショートソードを振るう。
スバスは、爆弾を幾つか投げながら、鉄球を振り回して、一匹の頭を叩く。
後方から援護していた、リズにも多数のフレッシャー達が近づく。
それに、ワシントンも狩猟弓を射つのを止め、武器をボウイナイフに持ち変える。
「ガアアッ!」
「グアアァァ」
「これじゃ、あのデブゾンビまで行けないっ!」
「不味い、鉄球の間合いに入られたっ!?」
「ウガアアーーガアアッ!」
「こっちも、ヤバい、また何かやろうとしてる」
右側から現れた、ゾンビ達の中には、フレッシャーも混ざっている。
ショーンは、敵の繰り出した、殴打や噛みつきを、バックラーで防御する。
近づいてきた群れに対して、一旦距離を取ろうと、スバスは後ずさる。
デブゾンビが動き出し、次に何をしてくるか分からない、フリンカは奴の背中を切りつけた。
それから、彼女はバックステップしながら、もう一度攻撃性しようと、足に力を入れた。
「ウガアッ!」
「しまったわ、これじゃっ!?」
「ガアッ! グワ?」
「グオオッ!! ガヒッ!!」
「ガルルッ! グエッ!」
「大丈夫だにゃっ! 私が行くにゃっ!」
デブゾンビは、斬撃を喰らった事で、背後のフリンカに狙いを定めた。
さらに、左側からも、多数のゾンビやウォーリアー達が、続々と飛び出してきた。
それを見て、ミーは素早く動き、混を頭上で回転させながら、敵中に突っ込んで行った。
次いで、そのまま群れを蹴散らすと、今度は肥満体へと向かった。
「ウウゥゥ~~? ウォーーーー!」
「これで、どうだいっ?」
「喰らえにゃっ!」
フリンカは、血液レーザーが発射される前に、デブゾンビの腸を切り落とした。
だが、それでも奴は発射するのを辞める積もりは無いらしく、血を吹き出させようとした。
その瞬間、ミーが左側から側頭部を狙った打突を与えて、攻撃を中断させた。
「グア~~~~!? ベッ!」
「やばいにゃっ! 今度は、こっちが狙われてるにゃっ!」
「このっ! うらっ! はあ…………行ってくるかな」
「たあっ! よし、リズとワシントン達は任せろっ!」
デブゾンビが吐いた血玉を回避して、ミーは狙われないように、必死で逃げ回る。
こうして、左右に動き、サイドステップを繰り返す彼女に注目が集まった。
その間、ショーンは立ちはだかる、ゾンビ&ウォーリア達を蹴り飛ばす。
残った一匹も、スバスが鉄球を振り回して、見事に仕留めた。
それから、彼等は仲間を救うために別れ始めた。