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第14話 パソコンショップへの道


 ショーン達は、荒れ果てた路上を歩いていた。



「ゾンビの死体や冒険者の死体が、ずいぶん転がってやがるな?」


「チンピラの死体もある…………おそらく、損傷が酷すぎて、ゾンビ化しなかったんだろう」


「あそこよっ!」


「先手必勝だねっ!!」


 おそらくは、昨日の戦闘にて、死んだであろう遺体を見ながら、ショーンは呟く。


 ワシントンは、物言わぬ死体が、ゾンビとして蘇生しないかと、注意しながら進む。



 そんな中、十字路の左側に、ゾンビが一体だけ見えると、リズは後頭部に火炎魔法を放つ。


 右側の敵は、フリンカが一直線に走っていき、通りすぎながら、ロングソードで頭を撥ね飛ばした。



「ゾンビの数も、まばらだな? ここの連中は、さっきの戦いで減ったのだろうか?」


「だとしたら、パソコンショップまでは楽に行けるにゃ~~ね?」


 ショーンは、二人の戦いっぷりを見ながら、呑気に先頭を歩く。


 棍を構えながら、ミーも笑顔を浮かべて、後を着いていく。



 そんな二人の前に、民家に激突した軍用装甲トラックが見えた。


 しかも、緑色の車体は横転しており、周辺に物資をバラまいていた。



 さらに、迷彩服を着た運転手のゾンビが歩いていた。



「ウゥゥ~~? グワアッ!?」


「な、なんだ、勝手に爆発しやがったぞ?」


「はっ! 事故った時に、軍用車の中から飛び出た地雷を踏んだんだっ!」


「ヤバいにゃっ! 音で敵がよってくるにゃ?」


「一先ず、隠れるよっ!」


 ゾンビの頭を斬らんとしていた、ショーンだったが、いきなり敵は爆発してしまった。


 スバスは、火薬の匂いと周囲に散らばる円形地雷を見て、全てを察した。



 焦るミーは、猫耳を動かしながら、遠くからフレッシャー達が近づいてくると思った。


 それを聞いて、フリンカは崩れた壁から民家の中に入って行った。



「他に隠れる場所はないっ! 行くぞ」


「援護するわ、先に行って」


「急げ、敵が近づいてくるっ!」


「ヤバいにゃ、ヤバいにゃ」


「はあ、この地雷は拾って置くぞ」


 ショーンは、フランスの後を追って、とにかく民家に入ってゆく。


 リズは、隙間の側から、マジックロッドを腰だめに構えて、射撃準備する。



 その間に、ワシントンとミー達が、すばやく中へと逃げ込んでいく。


 最後に、スバスは地雷を拾うと、それを入口に置いてから隠れた。



「グアアアアーーーー!」


「グオーー!?」


「グアアア~~!?」


「グオオッ?」


 集まってきた、フレッシャー達は地雷を踏んで、見事に吹き飛んでいく。


 こうして、連中は全てが爆発により、あっという間に倒されてしまった。



 個々の威力は低いが、近くにある地雷に誘爆して、派手な火と煙が舞い上がる。


 やがて、煙が晴れると、ショーン達は設置してあった地雷が、全部消滅した事を確認した。



「この地雷は、回収しておこう…………後で使う時がくるかも知れないからな?」


「中にも、何か物資があるわ? 何かしら?」


「地雷と迫撃砲の弾だねぇ~~?」


「これは、凄い発見だにゃっ!」


 入口から外に出る前に、スバスは地雷を拾うと懐にしまった。


 その後から、マジックロッドを構えながら、リズは横転したトラックに近づく。



 彼女が、本来は左右に開くための後部ドアを上下に開くと、フリンカとミー達が中に入る。



「地雷は、全部で…………五個か? これは、俺が貰っておくぞっ! あと、迫撃砲の砲弾は敵に投げたら手榴弾の代わりになる」


「迫撃砲の砲弾は、十個ずつあるから? スバス意外の俺達で、一人二個ずつ貰っておこうっ!」


「投げた砲弾が、もし爆発しなかったとしても、私の火炎魔法とか? ワシントンの弓矢で当てれば、爆発するわ」


「そうだなーー? 爆発物を運ぶのは危険だが、いつ強敵と退治するか分からんから、あると便利だな」


 スバスも、中に入ってくると、二つある箱の中から地雷を手に取った。


 ショーンは、もう一つの箱から見つかった迫撃砲弾を、みんなで持ち運ぼうと提案した。



 リズは、砲弾を手に取りながら、当たらなかった場合の事を考えた。


 ワシントンは荷台に入らず、外で敵の襲撃を警戒しながら答える。



「まあ、みんなで先を急ごう? この辺りに、もう速く動けるゾンビは少ないだろうからな」


「そうしようっ! このまま目立たず、迅速に行動して、パソコンショップを目指すわよっ!」


 ショーンが荷台から出ていき、フリンカも後に続いて、日差しを眩しそうに眺めつつ歩き出す。



 このあと、彼等は余りゾンビに遭遇せず、無事にパソコンショップがある広い駐車場に来た。



「うおっ! ゾンビの数が凄いな?」


「こりゃあ、ステルスキルしようにも、矢が足りなくなるぜ」


「いったい、どうするにゃ?」


「行くしか無いわね、なるべく音を立てないで殺るわよっ!」


 駐車場には、一番奥の右手に歯科医院が見え、反対側には、眼鏡屋があった。


 そして、手前には、大きなドラッグストアのマツモトキトシがある。



 この正面には、車が大量に止められていたが、窓が割れたり、血で紅く染まっている。



 そして、左側に目的のパソコンショップとコンビニ等が見えた。


 だが、もちろん、こう言った建物の周りは、ゾンビに囲まれていた。



 ショーンは、余りに敵が多いので、進む事を注意してしまった。


 ワシントンも、狩猟弓を構えながら愚痴るが、顔は真剣に敵を見据えている。



 ミーも、棍を何時でも振り回せるようにしつつ、同時に走る準備をする。


 フリンカは、ロングソードを晴眼に構えると、一気にダッシュしようと身構えた。



「仕方ない、行くぞっ! フリンカは俺と来てくれっ! ミーとスバス達は、右側を頼むっ!」


「ワシントン、リズ…………援護は頼んだわよっ!」


 パソコンショップを目指して、ショーンとフリンカ達は、一気に駆け出した。



「ちょっ? 仕方ないにゃ~~ねっ!」


「行くぞ、やるしかないっ! うらあっ!」


「ああっ! たく、周辺の連中は任せろ」


「ショップ周辺だけでも、数を減らさないとね」


 ミーとスバス達は、それぞれのリーチが長い武器を振り回しながら、ゾンビ達に突っ込んでいく。


 ワシントンとリズ達も、パソコンショップの近くを歩く敵を、次々と射殺していく。



「リズの奴、威力を押さえながら、頭を正確に狙っているなっ! うらっ!」


「グアアッ!?」


「そうしないと、発射音と発射炎で、敵を呼んじゃうから…………ねっ!」


「グウゥゥ~~?」


 ウォーリアーの背中を蹴って、前屈みになった奴を狙って、ショーンは右足を跳ねる。


 フレッシャーに飛びかかって、フリンカは背後真上から、ロングソードを振り下ろす。



 二人の奇襲を喰らった、特殊感染者たちは、何が起きたかも分からぬうちに、倒れてしまう。



「とおっ! 喰らえっ! 喰らえにゃっ!」


「ドアッ! グワッ!」


「グアアーー!?」


「これで、やれば…………」


 ミーは、ゾンビの胴体を棍で、どつきながら一気に前に出た。


 その後、一回転しながら、体勢を崩した隙を狙って、額を思いっきり叩く。



 こうして、敵が倒れると、今度はフレッシャーの膝を突っつき、そして脳天にも回し蹴りを入れる。



 スバスの方は、ジャンピンガーが飛ぶ前に、鉄球を二回も足に当てて、両膝を破壊する。


 そして、飛べなくなった奴に近づいていき、後頭部に、拳を何発も叩き込んだ。



「ワシントン達は? おらっ! このっ!」


「どうやら、頑張っている見たいだね?」


 ショーンは、ゾンビが近寄ってきたので、バックラーで顔を弾き、ショートソードで首を跳ねた。


 一方、フリンカは力強く、ロングソードを横凪に振るい、二体のウォーリア達を一気に仕留めた。



 そして、二人は辺りを囲む敵を掃討しつつ、チラリと射撃チームの方を見た。


 どうやら、彼方も頑張っているらしく、かなり倒しているようだ。



「…………ふぅ」


「よし、次、次っ!」


 ワシントンが、玄を引く度、スピットゲロー達の側頭部や後頭部を、鋭い矢が貫く


 リズが、マジックロッドから放つ火玉は、ゾンビ達の頭を焼け焦がしていく。



 動く死体たちは、数こそ多かったが、奇襲を仕掛けられた事により、なす術なく一掃された。



「よし、次はパソコンショップに入るぞっ!」


「リズ、済まないが、俺と屋根に来てくれないか」


「なるほど、見張りをしようと言う訳なのね?」


「上は、任せたわよっ! 私達は中に入るわ」


 パソコンショップの入口に立った、ショーンだったが、当然ながら自動ドアは開かない。


 そんな中、ワシントンは屋上を目指して、店の右側にある電柱を登り始めた。



 リズも、マジックロッドを背負い、まだ数多く存在するゾンビを警戒するべく、彼に続いていく。


 フリンカは、ロングソードを振るって、ガラスを叩き割ろうとした。



「うわっ! なにっ?」


「銃撃だっ! 店の中に入れっ!」


「危ないにゃっ!!」


「くっ! 煙玉を投げるぞっ!」


 フリンカが自動ドアを壊すより先に、背後から無数の弾丸が飛んできた。


 それは、ガラスを粉々に破壊しながら、ショーン達を射殺するべく、次々と放たれ続ける。



 ミーは、ジャンプしながら店内に素早く逃げ込むと、床に伏せた。


 スバスは、ターバンから取り出した煙玉を幾つも転がし、白煙を辺りに充満させる。



「なんだってんだ? お?」


「動くなっ!」


 慌てて、ショーンは店内に逃げ込んで、なんとか棚裏に隠れたが、いきなりピストルを向けられた。


 そうして、背後から殺意を向けられた、彼は両手を上げるしか出来なかった。


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