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第6話 冒険者ギルドでの決戦。

 ショーン達は、段々と近づいてくる、ゾンビ軍団の唸り声や咆哮を聞いて、震え上がる。



「まるで、背筋が凍るようだぜ…………」


 左側手前に立つ、高級デパートからも、ライフル銃や雷撃魔法を、射ちまくっている様子が見えた。


 放たれた、それらは地上を走るゾンビの大群に当たっているようだ。



「来たぞっ! ゾンビだっ!」


「射程距離に入るまで、射つなっ!」


 駐車場で、バトルアックスを担いだ、武者鎧を着た相撲取りみたいな冒険者が叫ぶ。


 ギルド二階の凸凹からは、スーツ姿のギルド職員が、カービン銃を構えつつ指示を下す。



「ア、アアアア」


「ウアアアア…………」


「来たぞ、射てっ!」


「各員突撃だっ!」


 何匹かだが、高級デパートに向かったはずのゾンビ達から、はぐれた個体が向かってきた。


 非常に襲い速度で、ノロノロと早歩きや走ってくる死者の群れ。



 連中が、道路を歩いてくる姿を見せると、二階からライフル銃が火を吹き、火炎魔法が放たれる。


 それに、弓矢やクロスボウからも、矢が射たれて、ゾンビ達の体に突き刺さっている。



 ピストルを両手に握る傭兵や、ランスを構えた、槍使いが、鉄条網に近づいていく。



「グオオオオッ!!」


「ギアアアアア」


「くるなっ! 喰らえっ!」


「鉄条網は、やはり越えられんか」


 短杖を握る魔法使いは、火炎球を放ち、ゾンビの群れに何発も炎を当てていく。


 ピストルを持った、医者らしき白衣のトロールは鉄条網に絡まった、ゾンビを撃ち殺す。


 彼は、腕と脚には包帯を巻き、手には軍手を填めており、下は鼠色の短パンと黄色い短靴を履く。



「数が増えて来たぜっ! このままじゃあ?」


 スパタ&ラウンドシールドを青い籠手で握る、灰鎧のゴブリンが、表情を険しくさせる。


 アーメットを被る彼は、ゾンビ軍団の数を前にして、じりじりと青ブーツを履いた足を下がらせる。



 現時点では、白兵専用武器を持った、冒険者や傭兵たちが、戦う必要はない。



 何故なら、二重に設置されている鉄条網の外側に、ゾンビ達が引っ掛かっているからだ。


 それ故、彼等は必死に武器を振るって、連中を惹き付ける役しか出来てない。



「うわっ! 何匹も来やがったぞ…………」


「確かになっ! 少しさがらないとな」


  ゴブリンが、小さな望遠鏡を使って、敵の進軍速度を見ていると、段々と増えてくる敵に旋律する


 ショーンも、彼とともに鉄条網から下がり始めたが、それでも、ゾンビ達は迫ってくる。



「ウアアーー! ウアアアア?」


「ガアガアガアガアッ! ガッ!」


「燃え尽きたか?」


「やったぞ、次は…………」


 二階から、一魔法使いが指揮棒タクトから放った雷撃魔法が、一匹のゾンビを丸焦げにする。


 走っていた、太いゾンビの頭を、上下二連散弾銃で、猟師が撃ち抜く。



「皆さんっ! こちらに、さらなる大群が向かっているとの事ですっ! また、フレッシャーとジャンピンガーなどと言われる特殊個体が、混じっているそうですっ!」


 ギルド二階の凸凹城壁から、受付嬢ホブゴブリンが、大きな声で、冒険者たちに情報を伝えた。



「フレッシャーは、他のゾンビよりも走る速度が早くて、動きが素早く厄介な相手とのことです? ジャンピンガーは、常に四つん這いで飛びはねながら移動しているため、白兵戦は難しいと言うそうです」


 受付嬢ホブゴブリンによる情報提供を受けた、冒険者や傭兵たちは、いつ敵が来ないかと身構える



「来たぞっ! ゾンビの大群だっ!」


 ゴブリン戦士は、ショーンの左側で、険しい顔を正面に向ける。


 そこには、高級デパートに走る大群から枝分れした、ゾンビ達が見えた。



「あの数は? とにかく、射てっ!」


「攻撃しまくるんだっ!」


 僧侶は、メイスを振るい、無数の氷柱つららを放って、ゾンビ達を攻撃した。


 冒険者は、投石紐とうせきヒモを回転させて、石を投げ飛ばす。



 他にも、魔法や銃撃が、大群へと放たれていくが、それに当たっても連中は進軍を止めない。



「不味いっ! 連中が、鉄条網に引っ掛かって、来やがったぞっ!」


「押し返せっ! は? 空飛ぶ奴と走る奴が現れたぞっ!」


 賢者は、マジックロッドから風刃魔法を放ちまくり、ゾンビを斬りまくる。


 たが、それでも次々と後ろから何度も新たな動く死者たちが増えてくる。



 グレートソードを、真っ直ぐに突き出した、剣士は、鉄条網から手を伸ばした、女ゾンビを倒す。


 どうやら、今の一撃は首を直撃して、頭を胴体から切り離したようだ。



 しかし、それよりも、数の多いゾンビ軍団に混じって、特殊個体が現れたことが問題だ。



「飛び越えたぞっ! ヤバいっ!」


「射撃できる連中は、下がれっ! 白兵専用武器を持った連中は、逆に前へと出るんだっ!」


「援護するっ! 今のうちに後ろに戻れっ!」


「よし、下がらせて貰うぜっ!」



 他のゾンビよりも、素早く動き回る事ができる特徴敵な感染体である、フレッシャー。


 奴が、助走しながら走ってくると、鉄条網を飛び越えてしまい、ドワーフに襲いかかった。



 しかし、彼はタワーシールドを構えて、冷静に攻撃を遮ると、反撃としてハンマーを振るう。



 四つん這いで、蜘蛛やバッタのように跳び跳ねるジャンピンガーも上空から飛来した。


 かなり跳躍力を持つ、奴だったが、飛来した途端、魔法使いの二丁短杖から火炎魔法で殺られた。



 しかし、他の個体が、次々と遠くからでも、ジャンプしながら近いてくる。



 トロールは、ピストルを撃ちまくり、冒険者は短弓を放ちまくる。



「チッ! 数が増えてきたな?」


「ついに、バリケードが破られたかっ!」



 ショーンは、ゾンビ達に立ち向かう準備をしており、彼は剣を手に取ると、敵に向かって突進した。


 ゾンビ軍団は、彼のショートソードにより、次々と倒れていくが、その数は増える一方だった。



 その隣では、トゲトゲつき鉄球を、スバスが勢いよく鎖を振るって、三体も敵を倒してしまう。


 また、鉄条網に集まる大群を、彼は睨むが、連中は勢いに任せて、これを乗り越えてきた。



「大変だにゃっ! 仲間のゾンビを踏み台にして、雪崩れ込んできたにゃっ!」


「ショーン、みんなっ! 援護するから何とか、下で抑えてっ!」


 ミーは、戦混を振り回し、ゾンビの顔面を叩いたあと、次に顎を押して、後ろに倒す。


 一方、リズはギルドの二階から火炎魔法を操り、冒険者たちを援護していた。



 彼女は、マジックロッドから炎を操る力を駆使して、ゾンビたちを焼き払っていく。


 そのオレンジ玉から、放たれる炎は燃え盛り、蠢く死者たちを焼き尽くす。



「こうなったら、俺が前に出るしかないか? リズ、援護を頼むわっ!」


「分かったわっ! けれど、無理はしないでねっ!」


 ショーンとリズ達は、二人とも息を合わせて戦い、ギルドを守るために全力を尽くしていた。



「うらっ! このっ!」


「これで、燃えるわっ!」


 ショーンは剣と盾を振り回し、リズは炎を連続で放ちながら、ゾンビ達に立ち向かっていく。


 二人の連携は見事で、迫りくる大群を次々と撃退していった。



「ジャンピンガーかっ! このっ! バックラーで殴り、ショートソードで斬り倒す」


「フレッシャーね? ショーンは殺らせないわよっ! 火炎魔法を喰らいなさいっ!」


 ショーンは上から落下してきた、ジャンピンガーに驚くが、躊躇なく殴ったあとに斬り捨てる。


 リズも、彼の隙を狙って近づく、疾走してくる、ランナーに火炎球を何発も当てまくる。



 しかし、いくら二人が倒しても、ゾンビの数は限りなく多いため、なかなか止まる気配はなかった。


 既に、二人とも体力が限界に近づいていたが、彼らは決して、立ち止まることは出来なかった。



 ギルドと中に隠れる避難民を守るために、彼らは最後まで、戦い続ける覚悟で戦っていたからだ。



「くそっ! 本格的に越えて来やがったか?」


 バリケードとして、設置された鉄条網に引っ掛かる仲間の上を越えて、ゾンビ達が侵入してくる。


 ジャンピンガー&フレッシャー達も、かなり厄介だが、通常のゾンビ達も数が多くて大変だ。



 その時、ショートソードを振るった、ショーンは何かを踏んで、爆発するゾンビを見た。



「地雷を踏んだか…………大工や、手先の器用な連中が用意してたんだよ」


 ショーンの前で、ゾンビ達が次々と、下から爆風を受けて吹き飛ぶ。


 それらは、連中を倒せる程の威力は無かったが、足を負傷させて、移動速度を遅くさせられた。



「お菓子の箱は、低威力だが見つけづらい…………小さな木箱は、足を吹き飛ばしちまうからな」


 ショーンは、ゾンビ達が簡易地雷を踏んで、地面に倒れる中、突っ走ってくるフレッシャーと戦う。


 そして、ショートソードで首を跳ねて、敵を軽くほふってしまうのだった。

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