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第37話 ヒャッハー! 来たぜボス部屋!!

「ウリャー!」


 響く声、鳴り響く轟音、散らばる骨そして辺りに倒れるモンスター。


「フゥー! 良い汗かいたかな!」


 この惨状を作り上げた本人がとても爽やかな笑顔で良い汗かいていた。


「これ、私達必要か?」


「え~と、あはは……」


「私の出番が無い」


「楽チンゴブ」


 苦笑いのアリシア、活躍の場を無くしたエレオノ、現状を受け入れ楽が出来ると喜ぶアクア、勿論私もこの組です。


 まぁ、それはさておき現状コロナ無双状態になっていて、正直私達の出番は全くと言って良い程無かった。


 あっ、なんにもしてないけど私とアクアがレベルが2つ上がりました。エレオノも1つup。人はこれを寄生プレイと呼ぶ。


 因みにコロの武器は自分の背丈程もある斧で、その重そうな斧を片手で軽々と振り回してはモンスターを薙ぎ払い、叩き伏せ、一刀両断していた。正直つおいの。


 確かあれってゲームとかだと戦斧とかって種類で、凄いゴツイキャラが両手で持ってるような奴だよね。それを片手でとかってどんだけ!?


 〈ステータス見れば分かりますよ〉


 あぁ、確かに。でも──。


「コロ?」


「どうしたのかなハクア」


「ステータス見てみて良い?」


「ステータス? そんなの構わないかな」


 コロの了解を取り、休憩をしながらステータスの確認をする。


 と、いうわけでステータスどうぞ!!


 〈なんですかそのノリは? とりあえず表示します〉


 名前:コロナ.ハグナス

 位階:1

 レベル:10/20

 性別:女

 種族:ハーフドワーフ(エルフ型)

 クラス:戦士LV.3

 HP:500

 MP:100

 物攻:170

 物防:150

 魔攻:30

 魔防:70

 敏捷:120

 知恵:180

 器用:220

 運 :50

 武器:破壊の戦斧

 副武器:なし

 防具:職人の服、鉄鉱石のガントレット、鉄鉱石の胸当て

 アクセ:石化防止のピアス

 武技:ラッシュ、破壊の一撃

 魔法:風魔法LV.3、土魔法LV.6

 魔法名:ウインドカッター、アースクリエイト

 アースクエイク

 称号:強敵打破ジャイアントキリング、幻想へ届きし者

 スキル:技能系スキル

【集中LV.7】【直感LV.1】【罠師LV.6】

【会心LV.5】【鍛冶LV.5】

 耐性系スキル

【土耐性LV.3】【風耐性LV.3】【頑強】

 ステータスUP系スキル:

【剛力LV.7】【堅牢LV.7】

 スキル補助系

 攻撃ダメージUP系

【背後攻撃LV.7】【格闘LV.4】

 属性スキル【破壊LV.2】

 補助、その他スキル

【鍛冶師の天才極】【危機察知LV.3】

【魔剣錬成、無】【幻想錬成、無】


「へ~、これがボクのステータスなのかな」


「うん」


「でもこの一番下の【魔剣錬成、無】【幻想錬成、無】って何? ハクア分かる?」


 エレオノさん簡単に聞かないで!!


「え~と……」


 〈あの二つは称号により獲得しているスキルなのですが、今はまだ実力的に未熟な為使えません。ですが使えるように為れば魔剣と、幻想武器を時間制限付きでMPを消費し作る事が出来ます〉


 時間制限って?


 〈術者の力量に依りますが、最高でも一時間くらいで自然に消滅します〉


 なるほど。


 〈【頑強】は物理ダメージを10%カットします〉


 うわ超優秀。


「その二つのスキルは実力が付けば使える」


「へ~、そうなんだ? どんなスキルなの?」


「時間限定で魔剣と幻想武器をMP消費して作れるらしい」


「凄いですねコロナさん!」


「本当本当、凄いよ!」


「ボクにそんな力があるのかな?」


 コロは自分にそんな力があるのか信じられず両手のひらを見て首を傾げる。


「ある。だから自信持って良い」


「うん、ありがとうかなハクア!」


「んじゃ。チェックも終わったしそろそろ行こっか?」


 皆に確認を取り、私達は休憩を切り上げまた探索を始める。


 私達は今現在、鉱山の地下9Fに居る。


 私達の目的の場所、つまりコロが採掘したい鉱石は地下13Fにあるらしい。


 1F~地下10Fまでは上層と呼ばれ、地下10F~地下20Fまでは中層と呼ばれているのだとか。


 コロの話では地下9Fまでは自分一人でも行けるらしいが、中層になると一人では無理らしいのでそこからが私達の出番だ。だからサボっている訳ではない。


 それでも上層一人で平気とかどうなの?


 因みにこの鉱山もダンジョンに含まれ、10層毎にダンジョンボスが居るらしいので何気に初のボス戦になる。


 正直わくわくしてます!


「ご主人様、楽しそうですね?」


「うん、あんなにうきうきしてるの初めて見た」


「おねちゃん可愛い」


「「うん可愛い!」」


「ん? どうかした?」


「「「なんでもないです」」」


 なんだろう? 何か言ってなかった?


 〈マスターそろそろボス部屋です〉


 えっ!? もうなの? 大して何もしてないから凄い早く感じるな~。


 〈と、その前にモンスターです〉


 ヘルさんに言われ見てみると少し先の通路に巨大な蛇がいた。


 どれ程巨大かと言うと、体の直径が丸太程もあり、全長10メートル程はありそうな長さだった。


「な、なんでこんな所にバジリスクがいるかな?」


 あれがバジリスクかぁ~。……あんまり美味くなさそう。


「来るよハクア!」


 ズザザザザザ! と、音を立てバジリスクは体を引き摺りながら突進してくる。私達はそれを避け第一波をやり過ごす。


 意外に早い!!


 コロ以外は全員【魔闘技】を発動し次の攻撃に備える。


 私はアリシアに目線を送り、アリシアも首肯く。


 そして──アリシアが【無詠唱】で火炎魔法フレイムランスを頭上に作り出す。数は今まで二本だったものが今は四本になっている。


「ハッ!」


 アリシアの気合いの声と共に、頭上にあるフレイムランスがバジリスク目掛けて飛んでいく。


バジリスクは一番前にあるフレイムランスを避け、第二、第三も次々に避けていく。


 そして四本目のフレイムランスを前に出る事で避け、全てのフレイムランスが避けられる。


 しかし、避けられたフレイムランスは刺さったまま消えずに残り、それを避けたバジリスクは丁度地面に刺さったフレイムランスの真ん中に誘導された。


「弾けて!」


 アリシアの声と共に地面に刺さったままのフレイムランスが弾け、一本につき五本のファイアアローに分かれ、真ん中のバジリスクに向け発射され矢が突き刺さる。


「ギシャァァァア!」


 私とエレオノ、コロはその隙にバジリスクに近より攻撃を繰り出す。


「フッ!」


「パワースイング!」


「ウリャア!」


 二人に合わせ私は鎌鼬を発動しバジリスクの胴体を切り裂く。


 しかしバジリスクは攻撃されながらも尻尾を使い攻撃に移る。


「あうっ!」


 コロが攻撃を避けそびれ一撃を食らう、HPを確認するもたいして減っていないので、とりあえずバジリスクに集中する事にする。


 エレオノと二人、左右に別れて走りながら挟撃する──ように見せて、アリシアとアクアから注意を逸らす。


 その隙に二人が【無詠唱】でアースクエイクを放ち、逃げ場を塞ぐと同時にゲイルブラストでバジリスクを攻撃する。


 激しい音と共にゲイルブラストがバジリスクの腹で弾け、その時にはエレオノは既に間合いに入り攻撃を繰り出す。


 エレオノが練習で会得した【言霧】で四段突きを放つ。


 硬い皮膚は突き刺さる事は無かったが、その衝撃に吹き飛ぶバジリスク。そんなバジリスクに鎌鼬を突き刺しそのまま鎌鼬をブラストで爆破させる。


「グギャァァァ!」


 ▶コロナのレベルが11に上がりました。


 〈お疲れ様ですマスター〉


 フゥー、やっぱり簡単にはレベル上がらなくなってるね。


 〈仕方ありません〉


「コロは平気?」


「大丈夫かな。少しふらつくけど……」


「アクア」


「ゴブ」


 アクアは私に返事をするとコロに回復魔法を掛けていく。


「ありがとアクア。もう大丈夫かな」


 治療が終わりソウルテイカーで魔石を取り出す。


 あぁ、勿論【喰吸】は使ってないよ。仲間以外に見せない方が良いしね。コロなら良いかな? とは、思わなくもないけど、まぁとりあえずね?


「さすがダンジョン。かなりの魔石をゲット出来たね」


 確かにコロが倒しまくってるからかなり貯まったな。これで依頼料まで貰うのは悪い気がする。


「さあ、ボス部屋はあそこの角を曲がったとこかな」


 そんな事を考えているともうボス部屋に着いた。


 とりあえずボスに集中しよう。と、言うよりもヒャッハー! 来たぜボス部屋!!


 初めてのボス部屋を前に、私のテンションはかつて無い程おかしくなっていた。

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