宿でご飯を食べ終えた私達の話題はアリシアのクラスについてだった。
「ステータスから見てやっぱり魔法職につくべきよ!」
「いや、ここは苦手でも戦士系のクラスに就いて、ステータスの補強をするべきだろ?」
「私もアリシアさんは純正魔道師を目指すべきかと……」
「ハクア……さんは私のクラスどう思いますか?」
「レイドのいいぶんもわかるけど、わたしもアリシアはまどうしタイプかな」
「なっ、お前もかよ」
私が率直な意見を述べると、レイドが裏切られたような顔をする。
「スキルにけんろうがあるから、これからぼうぎょはあがる。さいしょはとくいからせめる」
「まあ、正攻法ではあるわね」
「アリシアには、セイレイジュツシをやってもらいたいし」
「「なっ!?」」
なんでそんなに驚くの?
「そんなもの……目指して出来るものじゃないぞ?」
ああ、なるほど。
「だいじょうぶ。アリシアにはせいれいけいやくのスキルがある」
「へぇー、流石はエルフって所ね」
「その【精霊契約】ってそんなに凄いものなんですか?」
「ええ、魔法職でも一握りの才能よ。精霊との親和性がある者にしか発現しないレアスキルよ」
「そんなものがあるなら悩む余地無く魔法職一択じゃないか! 変に悩ませるなよ!」
「ごめん。けどセンパイぼうけんしゃの、いけんがきいてみたかった」
「ふふ、そんな風に言われたら何も言えないわね」
実際そんな意図があって聞いたのだが、素直にその事を話すと二人とも満更でもなさそうだ。
「ところで、ここまで話したけどスキルポイントは幾らあるんだ? 足りるのか?」
「まだ一回も使った事が無いので大丈夫だと思います」
「まぁ、それなら平気か。下位職はどんなに適性の無いクラスでも200ポイントだからな」
「えっ?」
私のポイント絶対そんなに無いよ。
〈マスターは最初生まれた段階で50持っていて、その後のレベルアップで手に入れた分を合わせて185ポイントです〉
「ど、どうしたんですか!?」
「アリシアいまスキルポイントいくつなの?」
「えっ? わ、私ですか? 最初からの所持分は分かりませんけど、レベルアップの時のポイントは200位です」
既に私より多い!? こ、これが才能の差!?
「へぇー、一回のレベルアップで20位かしら?」
「はい、後5の倍数毎に20でなく30貰えるみたいです」
私の4倍!? マジかよ!? ……これが才能の壁!
「はあ、俺がそのレベル位の頃は10位だったぜ。本当に才能あるんだな」
それでも私の2倍だよ!!
〈まぁ、マスターはミニゴブリンですしね〉
種族! てか生れ? もうどうにもなんないよ!!
〈因みにアリシアの初期ポイントは1000です〉
1200……ああアリシアみたいな子を主人公って言うんだろうな……。フフっ……どうせ私はモブ子なんだ……。
「あ、あの、は、ハクアさん? どうしたんですか?」
「……なんでもないよ」
そうなんでもない! ただ私がゴブリンなだけだい!!
「アリシアのスキルポイントは1200あるから、はやくクラスをとろう」
「そ、そうですね!」
「ちょっと待った」
「何?」
「いや、お前なんで他人のスキルポイントなんて分かったんだ?」
ああ、どうしようエレオノの前でアリシアが私の奴隷とは言いにくい。
〈マスターのスキルで見れますよ?〉
そうなの?
「ハクアさんは【鑑定士】のスキルを持っているんですよ」
「マジか!」
レイドよ、何をそんなに驚く?
「どうしたの?」
「そのスキル幾つで取ったんだ?」
「100」
「凄いわね? 普通そのスキル最低でも5000はするわよ」
はっ? えっ? なんだって?
「俺が今まで聞いた一番低いものでも4000だぞ」
「私も、同じ位と聞いていました」
アリシアまで、ああだから最初に会ったとき【鑑定士】のスキルがあるのかって聞いて驚いてたのか。
「どんな才能があったらそんなポイントで取れるんだよ」
「貴女スキルポイントは幾ら位貰えるの?」
「どうした?」
「……5」
「ん?」
「……5しかもらえない」
「はあ? てっ、ああそうか、お前アレだもんな」
エレオノの方をチラリと見て、言葉を濁しながら納得したように言うレイド。
ちくしょう納得された!? アレとか言うな!
「でもこれから先強く成れば増えるわよ」
「ほんと?」
「ええ、実際今レイドは30だもの」
「まぁ成長すれば自ずと増えていくぜ」
はぁ、まぁ先にアリシアのクラスか。
「アリシアやろ」
「あっ、はい、えっと」
私の言葉にアリシアは目を瞑る。自分の取得スキル項目を見ているようだ。流石に皆居るのにヘルさんの【可視化】スキルは使えない。
「なにがある?」
「えっと魔法系のクラスは」
ヘルさんわかる?
〈すいません。チュートリアルにはクラスの詳しいものまでは〉
気にしないで良いよ。じゃあ奥の手、ティリス?
『はい、呼びましたかbyティリス』
良かった通じた。
『大丈夫ですよ! 何かご用ですか? byティリス』
クラスの事で相談なんだけど平気?
『はい、大丈夫です。何が聞きたいですか? byティリス』
アリシアに【精霊契約】を活かせる上位クラスになって欲しいんだけど何を取れば良い?
『【精霊契約】ですか? それはまたレアスキルを持っていますね。なら精霊術師辺を取り敢えず目指すべきかと、なので最初は魔術師のクラスが良いと思いますbyティリス』
そっかありがとうティリス。
『分からない事があったら何時でも呼んで下さい! これくらいの事なら何時でも教えますよ! では、また後でbyティリス』
また後で? まあ良いや。
「まじゅつしからおぼえよう」
「魔術師ですか? あっ、ありました。じゃあ取りますね? ───今取りました」
「これでどうすればいいの?」
「ああこの村だと冒険者ギルドの交響珠って有っただろ? それでギルドに金を払って、職業神のクラリスって神に取得したスキルを付けて貰うんだ」
「またギルド?」
今終わったばかりなんだけど?
「普通なら職業神を奉ってる神殿でタダで出来るけどな」
くそ~! 小さな村だと無いのか。いや待てよティリス?
『先程振りですねハクアさん♪byティリス』
知っててやった?
『テヘペロbyティリス』
神がテヘペロしてんなよ!!
『あっ、すいません。でもちゃんとクラリスちゃん呼んでおいたんですよ! byティリス』
『ティリス……ちゃん付けは止めて欲しいのだけど? まぁいいわ。貴女がティリス達が言っていたハクアね? よろしく。私の事もティリスと同じようにクラリスと呼んでいいわ。byクラリス』
デカイ!? 私の頭に浮かんで来たのは、今まで会った中で一番の胸部装甲を持ったナイスバディ! としか言えないお姉さまタイプの女神だった。
ピンクの髪を腰まで伸ばし、おっとりとした目で此方を見ながら笑うクラリスは、妖艶と言う表現が似合う魔性の持ち主だった。
『フフッ、ティリス達が言っていた通り面白い子ね。それでクラスを変えたい子が居るのよねbyクラリス』
うん、そう、でもまあ取り敢えず。はじめましてだね。
『ええはじめまして。私はこの世界で職業神をやっているわ。貴女はモンスターだから直接何かをする訳ではないけれど、貴女の仲間とは絡む機会がありそうねbyクラリス』
うん、そうだね! アリシアはお世話になるからよろしく。
『ええ、たっぷりサービスしてあ・げ・るbyクラリス』
お手柔らかに、しかしなぜいちいちここまでエロく言うんだろう?
『フフッ、私も貴女の活躍を楽しみにしてるわ。それと、私もこれからは参加しても良いかしら?byクラリス』
今更変わらないから良いよ。大変になるとしたらあの駄女神だろうから!!
『あら、本当にあの子の事をそんな風に呼んでるのねbyクラリス』
『ね、ね、ハクアさん凄いでしょクラリスちゃんbyティリス』
『だから……はぁ、もういいわ。それじゃあハクアそのクラスを変えるアリシア? って子に貴女と手を繋いで貰ってくれるかしらbyクラリス』
『あっ、ティリスちゃん。その前にステイシアの腕輪をクラリスちゃんも使えるようにしないとbyティリス』
『あっ、そうだったわね。ハクア少し良いかしら? byクラリス』
クラリスはそう言うと私にしなだれ掛かり腕輪に手を添えて来た。
って、なんで? なんでしなだれ掛かるの? しかも何これ? 今まで感じた事が無いくらい柔らかいんだけど、マジで何!? この柔らかい新兵器そりゃ皆大好きになるよこんな物!!
『クラリスちゃんずるい! 私ももう一回力を注ぎ直すbyティリス』
うわ!? ティリスまで反対側から抱き付いて来た! クラリス程ではないけど目茶苦茶柔らかい。
はっ、これが新しい扉か!?
私が混乱しているとクラリスが手を添えていた腕輪が輝き出した。
▶職業神クラリスの力がステイシアの腕輪に注がれ、ステイシアの腕輪がゼーゲンの腕輪に進化しました。
クラリスが私の体から離れる。
ああ、柔らかさが消えた……って違う、違うこれ何?
『ああ~、私のあげた腕輪が!! byティリス』
『ステイシアの腕輪はティリスが貴女の為に力を注いで作った腕輪なの。それで、その腕輪に私の力も注いで私も使える様にしたの』
ほほう、なるほど。
『まぁ、私達二人の力が入って腕輪自体が進化したみたいだけどね? でもこれでゼーゲンの腕輪を使えば、何時でも私の事を呼んでクラスを変更出来るようになるわbyクラリス』
そっか、ありがとう。じゃあちょっとアリシア呼んでくるね。
『『行ってらっしゃいbyクラリス&ティリス』』
私が目を開けると全員私の方を見て驚いていた。
またか───。
〈しょうがないと思いますよ〉
そう言えばヘルさんって女神達と話してる時は話さないね?
〈あの空間には干渉出来ないので〉
えっ? あそこそんな超空間なの?
〈はい〉
「あの、ご主人様? 何がどうなっているんですか? その腕輪が光ったと思ったらいきなり形が変わりましたし」
アリシアが皆を代表して聞いてきたが、大分動揺しているのだろう。私の呼び方がご主人様に戻っている。
「ティリスからもらったうでわに、クラリスがちからそそいだらかわった」
あっ、皆また驚いてる。
ミランダもレイドもエレオノも、ティリスとの事知らないからな~。まぁ良いか?
取り敢えずは先に───。
「アリシア、て、かして」
「へっ、あっ、はい」
アリシアが手を差し出してきたのでその手を取り手を繋ぐ。
「えっ? あの、ご主人様?」
「め、つぶって」
「は、はい」
私達は二人揃って目を瞑ると先程の空間に戻る。
『『おかえりなさいbyティリス&クラリス』』
「えっ? あの、ここはそれにこの方達は?」
『ここは、言ってしまえば精神世界よbyクラリス』
あっちの茶パツでツインテの巨乳ッ子がティリスで、こっちのピンクのストレートロングの妖艶な美女がクラリスだよ。
「えっ? ご主人様の声が頭に直接!?」
アレ? そう言えば私ここで喋ったこと無いのになんで会話成立してんの?
『今更ですね。クラリスちゃんが言った通り、ここでの二人は精神そのものなので別に喋る必要が無いんですよ。とは言え、何時もの癖で普通は喋るんですけどね? その点ハクアさんは最初から思考で発声出来るから凄いです! byティリス』
「はぁ~、やっぱりご主人様は凄いです!」
『フフッ、二人は気が合いそうねbyクラリス』
「あっ、そう言えば私まだ女神様に自己紹介もしていませんでした。その、はじめましてエルフのアリシアと申します。女神様方」
『ええ、よろしくbyクラリス』
『よろしく私はティリスで良いですよbyティリス』
「そんな、畏れ多いです」
そんな事無いんだけどな~? まぁ良いか、それじゃあクラリスよろしく。
『ええ、アリシアこっちにいらっしゃいbyクラリス』
「はい」
クラリスに呼ばれたアリシアはクラリスに近付いていき、目の前まで移動する。するとクラリスがアリシアの頭に手を乗せ、そのクラリスの手が一瞬光ると直ぐに光りが消える。
『終わったわbyクラリス』
えっ、もう?
『本来なら直接会わずに声だけでやりとりしてやる事ですからbyティリス』
そうなの?
『はい、だから私はアリシアに会うのは今が初めてですよbyティリス』
「はい、冒険者登録の時は声だけのやり取りでした」
マジか! ここで会うのが普通だと思ってたよ! 私だけ違うのか!
『ええ、職権濫用ですbyティリス』
自分で言うなよ!?
『まぁ良いじゃない楽しいし、アリシアも次は神殿でやるなら声だけの対応になるけど、ハクアの腕輪でやるならまた直接対応してあげるわbyクラリス』
「あっ、ありがとうございます」
それじゃあそろそろ戻るよ。
『はい、また会いましょうbyティリス』
『ええ、ティリスが会うときたまに顔出すわねbyクラリス』
またね~。
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私は目を開けアリシアの手を離す。
「ここは? 戻ってきたんですか?」
「なんの話をしてるんだ?」
「こっちのはなし」
皆何を言っているか分からないようだが、私が話す気が無いと悟るとアリシアのクラスの話に戻った。
「それでこれからギルドに行くのか?」
「だいじょうぶこのうでわが、こうきょうじゅとおなじこうかのアクセサリだから、いまへんこうした」
「ええ!? 貴女そんな物まで持っているの?」
ミランダの言葉に頷き軽く説明する。
「お前、本当にとんでもないな」
そんな事無いよ! しょせんゴブリンだしまだまだ弱いよ!!
「まぁでもクラスの変更が出来たならステータス見ておいた方が良いわよ」
「なんで?」
「クラスを変えると、そのクラス毎の向き不向きでステータスが多少上下するのよ」
ほう、それは大事だね。どれどれっと?
名前:アリシア・アールヴ
レベル:10
性別:女
種族:エルフ
クラス:魔術師LV.1
HP:310→290
MP:270→300
物攻:42→35+6
物防:40→33
魔攻:92→105
魔防:92→105
敏捷:50→45
知恵:200→220
器用:100→100
運 :10→10
武器:支給弓
副武器:銅のナイフ
防具:布の服
アクセ:無し
魔法:風魔法LV.5土魔法LV.3火魔法LV.7水魔法LV.2、除去魔法
魔法名:ウインドブラスト、ウインドカッター、ファイアブラスト、ファイアアロー、ウォーターウォール、アースクリエイト、クオリア
称号:奴隷、王家の血筋、
スキル:技能系スキル【薬草調合LV.5】【集中LV.6】【料理LV.6】【野生LV.3】
ステータスUP系スキル:【剛力LV.2】【堅牢LV.2】【魔術LV.1新】【魔坑LV.1新】
スキル補助系【魔法の天才LV.5】【魔法の技巧LV.5】【弓のコツLV.1】
攻撃ダメージUP系【魔力覚醒】
補助、その他スキル【精霊契約】【速攻魔法】
「いまかきだす」
私が見た数値と新しく増えたスキルをアリシアに書いてもらう。
「魔法系の数値が上がってますけど、物理系の数値は下がってますね? でも【魔術】と【魔坑】が増えたのは嬉しいです」
「これは、大物になるな」
「ええ、今のうちにスカウトしたい位だわ」
「私はハクアさんと一緒に居ます!」
ミランダの言葉に慌てて言うアリシアに皆が笑う。
「そういえば、このむらにぶきやとぼうぐやってある?」
「ああ、そうか、お前達まだ武器も防具もちゃんとしたの無いんだよな」
「あるのはこれくらい」
そう言って私はゼーゲンの腕輪を見せる。
そう言えばステイシアからゼーゲンに変わってからどう進化したのか見てないや。
〈今出します〉
名前:ゼーゲンの腕輪
HP:50
物防:20
魔防:20
その他:各属性耐性が10%上がる
備考:ステイタス神ティリス、職業神クラリスの加護を受けた腕輪
うわ!? HPと魔防まで上がってる! これもしかして結構凄い物になってる?
〈この調子で女神様をたらして下さい〉
人聞きが悪いにも程がある! しかも私、女だしね!
「えと、大きい都市みたいに分かれてはないけど、武器も防具も売ってる所なら在りますよ? 今から案内しますか?」
「おねがいしていい?」
「おいおい今からか? 明日にしろよ」
「そうなんだけど、みんなにはなしと、そうだんがある」
「「「相談?」」」
私は今日一日考えていた事を話し始めた。
「おい、それは本気で言ってるのか?」
「じょうだんじゃ、いわない」
「そんな、嘘……」
「エレオノさん落ち着いて下さい」
「そうよ、まだ決まった訳じゃないわそうでしょ?」
「うん、でもだからこそけいかいしたい、おもいすごしならただわたしがおこられればいい」
「そうだな、確かにこの所の事を考えると辻褄が合うからな」
レイドの言葉に頷き、私はエレオノの目をじっと見る。
「エレオノはどうする?」
「───っ!? 私が、私がやります! 私がちゃんと……」
「そんな、危ないですよ」
「いいの? きけんだよ?」
「これは私がやらなくちゃいけない事だと思うから、それに……何かあったら、また、助けてくれます……よね?」
「もちろん」
「はい」
「ゴブ!」
私達の言葉に笑顔になったエレオノを見たレイドが、頬を緩め帰り支度を始める。
「話は決まったな。取り敢えずこの辺の冒険者に軽く頼んで来る」
「私も行くわ」
「ふたりともありがとう」
「お互い様よ」
「そうと決まれば装備品の買出しですね!! 行きましょう」
「エレオノごめんね」
宿を出て武器屋に向かう途中、やはりエレオノの元気が無い事に気が付いていた私は意を決して謝る。
「いいえ。私もハクアさんの話を聞いてから、少しオカシイと思ったんで……それより急ぎましょうお店閉まっちゃいますよ!」
こんな時でも明るく振舞おうとしてくれるエレオノの優しさに感謝しつつ、私達は装備品を買う為に武器屋を訪れた。
「いらっしゃい。あぁ、エレオノちゃん何をお求めで?」
「そう言えば何を買う予定なんですか?」
「とりあえずぼうぐをかう」
一応、私達攻撃力はあるからね。
「そうですね。私達、ミランダさんから貰った服しか有りませんもんね」
「えぇっ!? それだけなんですか?」
「いろいろあったから」
「じゃあどんなのにしましょうか? ハクアさんならこういうのも似合いそうですよね!」
「こっちのも似合いそうですよ。エレオノ」
何か、女子のショッピングモードになってるな。
「べつに、どんなのでもいいんだけど───」
防御力高くて、なるべく安いならどんなんだって良いよ? 私がそう言った瞬間、女子二人の空気が変わる。
「何を言ってるんですかご主人様! こんなに綺麗で、可愛いんだからちゃんとした服を選ばないと!」
「そうですよ。アリシアさんの言う通りです!」
「「全員分の衣装は私達が見繕います!!」」
こうして私とアクアは、アリシアとエレオノに店が閉まるぎりぎりまで着せ替え人形にされるのだった。
結論! 女子のショッピングは長い!
〈マスターも女子なのでは───〉