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第9話 私って凄いの拾った〈はい、大物です〉

 エルフっ子こと、アリシア・アールヴを仲間にした。


 そこで私達は仲間が増えレベルも上がった為、ここでステータスやスキルを確認しようという話になった。


 と、いうわけでヘルさんよろしくお願いします。


 〈分かりました。今回はマスターだけではなくアリシアにもお見せしましょうか?〉


「ご主人様は【鑑定士】のスキルを持っているんですか?」


 私はアリシアの言葉に頷きながらヘルさんにお願いした。


 因みにゴブゑに見せないのは、ゴブリンの中では頭が良いとはいえまだ難しいからだ。


 〈では、マスターから順に見ていきたいと思います〉


 名前:ゴブ子

 レベル:7

 性別:女

 年齢:17日

 種族:ミニゴブリン

 HP:160

 MP:75

 物攻:15+5

 物防:15

 魔攻:19

 魔防:19

 敏捷:30

 知恵:150

 器用:100

 運 :30

 武器:骨のナイフ

 魔法:無し

 称号:転生者、同族殺し

 スキル:【喰吸LV.3】【鑑定士LV.3】

【魔法の片鱗LV.2】【魔法のコツLV.2】

【魔物調教LV.4→LV.6】【集中LV.2】

【野生LV.3→LV.4】【罠師LV.4】

【マヒ耐性LV.6】【毒耐性LV.2→LV.3】

【言語LV.5】【武器のコツLV.2】

【風魔法のコツLV.1】

【背後攻撃LV.1→LV.2(新)】

【急所攻撃LV.1(新)】【奴隷術(新)】


 うん、スキルが増えてきて見辛いね!


 〈これだけのスキルがあってその感想はどうかと、まぁ次回から見易く整理します〉


 取り敢えず前回の確認から増えたのは【背後攻撃】と【急所攻撃】【奴隷術】の三つ。


 前のニつは命中補正が無く、攻撃威力とダメージ率が上昇【奴隷術】は【魔物調教】と似たものだがレベルはなく、出来る事は奴隷の解放の有無、クラス変更等が出来るらしい。


 クラス変更?


 〈後程説明します〉


 お願いします! スキルに関しては特にもう無いかな?


「あの、ご主人様の【喰吸】ってなんですか?」


 この体では説明しにくい私の代わりに、ヘルさんに【喰吸】について説明して貰う。その間にゴブゑに食料の調達を頼み、私は説明を一緒に聞く。


 決して食料調達しに洞窟周りを歩きたくなかった訳ではない!


 〈そしてマスターにも今話しますが、レベルが3になった事で、今まで1回の食事でニつまでしか取れなかったスキルポイントが三つに増えました〉


 えっ! その情報初耳なんだけど? ニつからしか取れなかったんだ?


 〈レベルアップで増えると思わなかったので、あえて言うほどの事でもないかと〉


 まあ、確かにそうか。


 〈続いては私です〉


 名前:ヘル

 ステータス不明

 スキル:【全種族言語理解】【スキル大全】

【俯瞰LV.4】【聞き耳LV.3】【念話】


「【念話】は助かってます【俯瞰】と【聞き耳】とは?」


 またヘルさんの講義が始まる。


 私としてもヘルさんの【俯瞰】【聞き耳】が無ければ、ゴブリンと戦おうとも思わなかったし、アリシアを助けてもいなかっただろうな。


 ヘルさんの説明を聞き流しながらそんな事を思っていると、いつの間にか説明を終えていたようだ。


「そんな便利なスキルなんですね? 初めて聞きました」


 〈次はゴブゑです〉


 名前:ゴブゑ

 レベル:4→7

 性別:女

 年齢:18日

 種族:ミニゴブリン

 HP:80→120

 MP:110→150

 物攻:4→8+2

 物防:3→7

 魔攻:20→30

 魔防:20→30

 敏捷:10→17

 知恵:70→100

 器用:50→80

 運 :15→25

 武器:木の棒

 魔法:風魔法LV.2→LV.3

 称号:眷属、同族殺し

 スキル:【風魔法LV.2→LV.3】

【言語理解LV.2→LV.6】

【野生LV.1→LV.3】【罠師LV.1→LV.4】

【背後攻撃LV.1(新)】【癒しの才能LV.1(新)】

【癒しの扱いLV.1(新)】【杖のコツLV.1(新)】

【言語LV.1(新)】


 色々増えてる!?


 〈新しく増えたスキルは四つですが───〉


 そう前置して説明していない【癒しの扱い】と【癒しの才能】について説明してくれた。


 両方共回復系魔法のみ適応されるが、前者はスキル【~のコツ】の上位版でそれぞれMP消費にレベル×2%の補正と効力にレベル×5%の補正。


 後者は【~の片鱗】の上位版で熟練度の取得にレベル×4の補正が付く。


 へ~、上位版なんてものがあるんだ?


 〈はい、それぞれ【コツ】【扱い】【技巧】の順【片鱗】【才能】【天才】の順になっています〉


 そういうのは解るんだ?


 〈……その上があるかは解りませんが〉


 なにやら意味深な発言。


 〈続いて、アリシアです〉


「お、お願いします」


 名前:アリシア・アールヴ

 レベル:2

 性別:女

 年齢:30

 種族:エルフ

 クラス:なし

 HP:180

 MP:150

 物攻:25

 物防:25

 魔攻:50

 魔防:50

 敏捷:25

 知恵:100

 器用:50

  運 :1

 武器:なし

 魔法:風魔法LV.1土魔法LV.1

 火魔法LV.1水魔法LV.1

 称号:奴隷、王家の血筋

 スキル:【薬草調合LV.3】【風魔法LV.1】

【土魔法LV.1】【火魔法LV.1】

【水魔法LV.1】【魔法の天才LV.1】

【魔法の技巧LV.1】【弓のコツLV.1】

【集中LV.2】【料理LV.4】


 ───もしかして私って凄いの拾った?


 〈はい、大物です〉


 何これ、天才と技巧あるじゃん! レベル2なのに私より断然強いよ!? しかも、称号欄にある王家の血筋って、何これ!?


 〈まず最初に伝えるべきでしたが。魔物以外の種族はほとんどが進化はしないので、ステータスは総じて高めになっています〉


 これは人間は子供から大人になって成長する事で、レベルアップしなくてもステータスが上がるかららしい。


 次にスキルだが【魔法の~】は、私達のように特定の属性だけではなく、魔法全てに影響がある。


 前者の【天才】の方は、熟練度の取得にレベル×7の、後者の【技巧】の方は、MPの消費にレベル×4%の補正効力にレベル×7%の補正が入るのだとか。


 〈ニつのスキルは王家の血筋があることで取得したようです〉


 うぅっ! 途中参戦キャラが強いのは当たり前だけど、実在だと落ち込む。


「ご、ご主人様何かの間違いではないですか?」


 〈間違いはありません〉


「でも、私は王族でもなんでもないですよ」


 〈恐らくは、何代か前に王家の方がいたのだと思います〉


「し、知りませんでした……」


 〈では、説明を続けます。【薬草調合】は調合によりアイテムを作る際の成功率と効果がアップするものです。【料理】はそのままの意味です〉


「姉と薬草の回復アイテムを作って生計を立てていたので、このスキルは知っていました」


「かい、ふ、くあ、いてむ、つっ、くれ、るの?」


「はっ、はい、調合の道具は無いですけど、石などで磨り潰せばなんとかなるので、簡単な回復薬程度なら今でも作れます。でも、効果の高い回復アイテムは流石に道具が無いと無理です」


「それ、で、いい、つくれ、る」


「わ、分かりました。この花畑にも作れる材料があるので出来るだけ多く作ります」


 アリシアの言葉に首を縦に振る。


 〈最後にクラスについての説明をします。アリシアはご存知でしょうが、魔物以外の種族は最初レベルが10になると、スキルポイントを消費してクラスを変更する事が出来るようになります〉


 私に分かりやすく言うとゲームの職業のようなものらしい。


 〈アリシアはマスターの奴隷になった為、クラスの変更はマスターが行えます〉


 へ~、面白そう早く選んでみたいかも。


 〈これで全て終了です〉


 その時、丁度良くゴブゑが帰ってきた。


「ギギ!!」


「この短時間でこんなに!?」


「すこ、し、ま、えか、らかく、してた」


 そう、私達は少し前から狩った獲物の一部をこの近くの土の中に隠していたのだ。だから、スキル説明の間で食料を調達出来たのだ。


 それもここで休んでた理由の一つだからね。


 私は帰ってきたゴブゑの頭を撫でながら、近くの洞窟へアリシアを案内する為に声を掛ける。


 それにしても今日はたくさん話すな~。


「つい、て、きて」


 ▶熟練度が一定に貯まりました【言語LV.5→LV.6】に上がりました。


 洞くつに行く途中で焚き火用の枝を拾いながら歩いていく。


「ここを拠点にするんですか?」


 ゴブリンの巣から近からず遠からずの位置で丁度良いしね。焚き火の準備をしてアリシアにお願いする。


「ひ、おねがい」


「分かりました。ファイアっ!」


 アリシアは先程よりも少しだけ流暢になった私の言葉に驚きつつ、魔法で焚き火に火を点けた。


 しかし、これが魔法か……やっぱり良いな。私も使いたい。


 この世界に来て初めて見た魔法にテンション上がる私である。


「魔法見るの初めてなんですか? ゴブゑさんも使えるようなのに?」


 〈ゴブリンが魔法を使うためにはゴブリンメイジか、ゴブリンシャーマン、もしくはゴブリンプリーストに進化する必要があります〉


「そうだったんですね? じゃあ、この兎は私が捌いてきますね」


 アリシアはゴブリンが使っていたナイフの片方を持って、ゴブゑと一緒に洞窟に入っていく。その間に私は殺したゴブリンの腕を焚き火にくべる。


 〈食べるんですか?〉


 いやっ、だって食べないとスキル発動しないし、私だってゴブリンなんて食べたくないけど、少しでも戦力上げなきゃだし。


 〈それもそうですね〉


 う~ん? どれくらい焼けばいいんだろう?


 そんな事を考えていると二人が戻ってきた! 意外と早い!!


「ギギ?」


「なんですかこの臭い? ──ッ! それってさっきの……」


 私は頷きつつ「……すきるの、ため」と、適当に焼き上げたゴブ焼きを火から出す。そしてその代わりにと、アリシアが兎の肉を串に刺し焼いていく。


「食べるんですよね?」


 なかなか踏ん切りが着かずにいる私にアリシアが話し掛ける。私は頷き思い切ってゴブ焼きを口に入れる。


 ガブッ! と、食べたゴブ焼きは、口の中に苦味が拡がり、肉の抵抗がゴムでも齧っているかのように固い。


これは───!!


「まずい!」


「やっぱり」


 うわっ! 何これスキルの補正効いてれば毒の果物すら美味しいのに不味い! 不味過ぎるこれ全部食べないと駄目なの!?


 〈恐らくは、半分くらい食べないとカウントされません〉


「うわぁ……」


 ヘルさんの言葉にアリシアが引いている。


 ごめんアリシア。マジで引かないで……。


 私は若干涙目になりながらなんとか半分ずつ食べ切り、アリシアが焼いた兎で口直しするのだった。


 余談だが涙目になりながら食べてる最中、ゴブゑが頭を撫でてくれていた。ウチの子やさしい!!


 残りのゴブリンは後七匹、全て食べるとなると憂鬱になるのだった。


 もしかしてゴブリンの最大の脅威は、私にとってこの味なのでは───と、思わずには居られなかった。


 ▶称号【同族喰らい】獲得しました。

【同族喰らい】の称号によりスキル【ゴブリンキラーLV.1新】習得しました。


 ▶【喰吸】のスキルが発動しました

【マヒ耐性LV.6→LV.7】に上がりました。

【急所攻撃LV.1→LV.2】に上がりました。

【武器のコツLV.2→LV.4】に上がりました。

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